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脱・ZOZOTOWN!ブランド価値を蔑ろにした新サービスで不満爆発

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昨年まで飛ぶ鳥を落とす勢いだった国内最大規模のファッション通販サイトZOZOTOWN(ゾゾタウン)」。しかし、そのZOZOTOWNの牙城が崩れ始めたというニュースを最近よく見掛けるようになりました。

なぜあれほどまでに好調だったZOZOTOWNが、今年に入ってから窮地に立たされてしまったのか?その原因となる新サービス、そしてZOZOTOWNの今後について考えてみたいと思います。

これまでZOZOTOWNのマーケティングは大成功ばかり

国内最大級の約7,000店舗が出店し、今や「楽天」「Amazon」と同じくらいメジャーな通販サイトZOZOTOWN。2016年に始まった「ツケ払い」など、ユーザーの購買意欲をキャッチするネーミングを付けるのが非常に上手く、その結果またたく間に大勢の人びとへZOZOTOWNは浸透していきました。

例えばツケ払いですが、このシステムはシンプルに現金を用いた後払い決済サービスとなっています。このサービスの上手いところは、あえて「後払い」ではなく「ツケ払い」というワードにすることで、ユーザーへの心理負担を軽くしているところです。実際には、「後払い」も「ツケ払い」も後々お金を払うことには変わりませんし、「後払い」というサービス自体めずらしいものではなく多くの通販サイトが行っています。

しかし、この「ツケ払い」という軽い語感にすることで、ユーザーの精神的負担を少なくし商品を購入しやすい心理状態へ誘導することが可能です。そして支払いも「今すぐ」必要があるのではなく、最大で「2ヶ月後まで先延ばし」できるためお金を支払うといった痛みを負う準備ができるため精神的ダメージも軽減してくれます。

もちろんそれだけではなく、常連しかできない支払い方法のイメージがある「ツケ」を利用することで、ZOZOTOWNと消費者の距離感が近いと錯覚を起こすこともできるでしょう。特にクレジットカードを持てない若い世代にとって、このツケ払いは大人気のサービスとなりました。

「ツケ」の効果は公表されていませんが、一部では「数十億単位でツケ払いが行われた」と予想するニュースサイトや専門家も少なくはありません。実際に、サービスを開始した2017年は取扱高が38.3%も増加しています。それだけ「ツケ払い」というネーミングが秀逸だったといえるでしょう。

顧客管理システムによる顧客に合わせたクーポンの配布

ZOZOTOWNを利用した人ならばご存知かもしれませんが、ZOZOTOWNでは一度購入したブランドが新商品やセールを行っている場合にクーポンが送られてきます。有効期限は長いものだと1週間ほどあるので、ゆっくりと考える時間も与えられます。

なぜ、ただのクーポンの評価が高いのかというと、ZOZOTOWNのクーポンはショップやブランドが違う場合は何枚でも利用することが可能となっています。そのため、他の通販サイトと比べても非常に安い価格で購入できるケースも少なくないためです。

このように、「クーポンを使わないともったいない」「クーポンを使うとさまざまな商品が安くなる」というユーザーの心理を上手く狙った割引サービスが、購買促進へと繋がっているのです。

2018年はZOZOTOWNにとって波乱の年

これまでユーザーのハートをがっしりとキャッチする新サービスを次々と展開し、大きく急成長を遂げていたZOZOTOWNですが、2018年はZOZOTOWNにとって波乱の年となってしまいました。まず、大きな話題となった採寸用の「ゾゾスーツ」の無料配布、こちらのコストが予想以上にかさんでしまい業績に大きな足かせとなりました。そもそもこのゾゾスーツですが、ZOZOTOWNが新たに展開しようとしているプライベートブランド(以下PB)のために用意されたものです。

結論からいうと、このゾゾスーツもPBも失敗に終わったといえます。もちろん可能性を探るという意味ならば、失敗ではないといえるかもしれません。しかし、筆者としてはわざわざコストがかかるスーツを用意するよりも、スマートフォンを利用したアプリで代用できたのでは?と疑問が浮かびます。確かに「店舗に行かず自宅で最適な採寸を行うことができる」といえば聞こえは良いですが、実際に利用したユーザーの声は「サイズが合っていない」「計算精度が悪い」といった残念な意見ばかりです。

さらにZOZOTOWNがいう採寸の誤差も「3センチ以内」と、洋服のサイズ選びにおいては致命的な範囲といえる誤差、少なくとも他のアプリでスーツを着用しなくても採寸できるものがある以上、今後とはいわず現状でスーツは必要ないといえるでしょう。

また、肝心のPBも洋服の出荷が遅れてしまうなど、ユーザーの信用を落とすトラブルが続き株価を低迷させる大きな要因となってしまいました。これまでZOZOTOWNはユーザーニーズを汲み取るのが上手く、それをマーケティングに活かして成功させてきました。しかし、ここにきて話題性しか重視してないかのようなマーケティング手法、これまで築いてきたZOZOTOWNの信用やブランド力は見る見るうちに落ちていき、結果多くの人が不信感を募らせる形となってしまいました。もちろん原因はこれだけではなく、社長である前澤氏が行うパフォーマンスに対しても疑問に思う人は少なくありません。

日頃の感謝を向ける相手はユーザーだけではなかった

そして現在、ZOZOTOWNへの不満が爆発するきっかけとなった新サービスが2018年12月25日より始まりました。

その名も有料会員制の割引サービスZOZOARIGATO(ゾゾアリガト)メンバーシップ」。この新サービスの発表を受け、出店しているブランドが次々とZOZOTOWNに見切りをつけ始めているようです。この割引サービスの内容ですが、年会費3,000円または月会費500円を払うことでZOZOTOWNでの買い物が常に10%引きになるというものです。確かにユーザーにとっては非常に嬉しいサービスとなり、これまでユーザー目線のマーケティングを行ってきたZOZOTOWNらしいといえばらしい新サービスといえます。

しかし、このサービスはあくまで消費者目線でのサービスです。実際に出品しているブランドからすれば「事前連絡はメールのみでしっかりとした説明も無く勝手にブランド価値を下げられてしまっている」と考え、反発意見が出るのも当然といえます。

例えば、「オンワード」「ミキハウス」「4℃」「NORTH FACE(ノースフェイス)」といった有名ブランドなどは、恒常的に行われる割引サービスにより自社のブランド価値までも安く見られてしまうと危惧し、撤退する意向を表明しました。

さらに、事業が拡大するとともにZOZOTOWNというサイト自体のブランド価値も下がってきていることも、大きな要因の1つといえます。

news.yahoo.co.jp

オシャレな通販サイトから何でも屋になったZOZOTOWN

ZOZOTOWNへ見切りをつけているブランドの中には、ZOZOTOWNというサイト自体の価値が大きく下がってしまっているという問題点が指摘されています。

そもそも、ZOZOTOWNが開設された2004年という時代は多くの新サービスや新技術が生まれた時代です。その中で、当時はあまり信用されていなかったEコマース(ネットショッピング)というジャンルの中で、アパレル商材の救世主として生まれました。当時の通販サイトといえば、商品の写真が掲載されているだけの工夫が何一つない陳腐なものばかりでしたが、その中でZOZOTOWNは違いました。

ブランドが持つイメージや価値観を尊重したサイト作り、当時百貨店などで蔑ろにされていたブランドの世界観を第一に考え二人三脚で両者が成長できる環境でした。また、メインとなるターゲットは20代や30代などのファッションに関心の高い世代を相手にしているため、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」といったセレクトショップが中心とした、少し敷居の高いオシャレな通販サイトとして確かな地位を築いていきました。

しかし、現在のZOZOTOWNは違います。気が付けば常に割引クーポンなどが発行され安く買えるのは当たり前、中価格帯ブランドサイトだったものが今や事業拡大によりさまざまな価格帯のブランドが入り混じり、その結果何でも屋といえるような状況になってしまっています。

サイト開設当初とは違い、現在は上場しているため利益を優先した事業展開が確かに必要になっていくのも分かります。そのためには世間から注目される必要がありますし、前澤氏のパフォーマンスもTwitterの世界記録を達成するなど決して無駄とはいえません。しかし、ZOZOTOWNの顧客はユーザーだけではなく、出店するブランドも大切な顧客です。

現在、数々の迷走を続けながらもZOZOTOWNの事業は順調に拡大しています。しかし、今回の件により生まれた亀裂が今後大きくなる可能性があることも否めないでしょう。Eコマースにおいて多くのInnovationを生み出してきたZOZOTOWN、次に起きるのは第三者によるRevolutionかもしれません。

www.itmedia.co.jp
www.dailyshincho.jp

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180208132702j:plain松本 竜二/フリーライター
不動産営業として勤務の傍ら、フリーランスという働き方を知り退職を決意。ライターとして活躍している先人の著書物を読み漁り、独学と実戦によりライティングスキルや知識を身に付け、IT・ビジネス関連をメインとしたフリーライターとして数々のクライアントからの依頼を請け負い、現在に至る。