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世界で認められたeスポーツ、2022年に市場規模は29.6億ドルにまで成長

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世界初のテレビゲーム機が誕生して40年以上が経とうとしています。誕生当時のドット絵が動く単純な遊びから3Dポリゴンへ変化し、現在ではCGと区別がつかないほどの映像美、ゲーム内の生き物の動きはまるで魂があるようです。

現実の世界に限りなく近づいたゲームは、今や遊びの枠を超え大きなビジネスチャンスを生む”eスポーツ”へと変貌を遂げました。それも一部の層だけが盛り上がるマイノリティなものではなく、世界中でさまざまな企業が参入するビッグビジネスの市場に成長しています。

そこで今回は、世界で認められているeスポーツの現状、そして日本国内と世界の温度差について考えてみたいと思います。

eスポーツとは?ゲームから本格的な競技へ

皆さんは「eスポーツ」という言葉をご存知でしょうか? eスポーツとはエレクトロニック・スポーツを略したもので、コンピューターゲームを用いて個人やチームで競い合うスポーツのことを指します。

国内のメディアでは「eスポーツはいずれオリンピックの正式種目になるのでは?」と取り上げられたことで、最近になり多くの方の目に止まるようになりました。あまり聞かなかった言葉のため新しい文化と考えている人が多いかもしれませんが、海外では古いものですと1972年にアメリカのスタンフォード大学で開催されたという記録があり、歴史がある競技です。

当時はローカルエリアネットワークで接続するしかマルチプレイの方法はありませんでしたが、インターネットやPCの普及で簡単に多人数でプレイすることができるようになり、その結果1990年代後半から世界規模の大会やプレイヤーのプロ化など盛んな動きを見せるようになりました。

2000年に韓国でeスポーツ協会「KeSPA」が発足するのを皮切りに、世界各地でeスポーツ協会が次々と誕生し本格的な競技へと盛り上がりをみせるようになりました。
この盛り上がりに世界中の企業はeスポーツに秘められたビジネスポテンシャルに注目し、現在に至るまで数多くの企業がスポンサーなどとして参入し始めています。

eスポーツになりやすいゲームジャンルや特徴ですが、まず重要なのは相手と競争をする競技性が高いことが挙げられます。特に人気のジャンルは「MOBA」や「FPS」、日本人プロゲーマーも活躍している「格闘ゲーム」などです。
これらのゲームジャンルにおいて共通していえるのは “戦略性が非常に高い” ということ。

例えばMOBAやFPSの場合、チーム一丸となって相手の陣地を攻める必要があります。それもただ闇雲に攻めるのではなく、時には囮や個人プレイなどによる緻密な戦略が重要になります。格闘ゲームの場合は相手の行動パターンや癖を見抜く観察眼、土壇場での爆発力といったように、現実で体を動かすスポーツと共通する部分が多くあります。

eスポーツの市場規模は2022年までに爆発的に拡大する

国内ではようやく認知され始めたeスポーツですが、海外では既に立派なビジネスとして成り立っています。つい先日は、アジア版オリンピックともいわれているアジア競技大会に公開競技としても採用されましたし、2024年に開催されるオリンピックではeスポーツが正式種目になるのではと期待され話題になりました。

残念ながらIOCのトーマス・バッハ会長は、「eスポーツの採用はオリンピックの価値観と矛盾する」などが理由で取り入れることは難しいと語っています。これはFPSなどの場合は「暴力表現」があるためとのことですが、一番はゲーム会社が持っている「著作権」とオリンピック委員会の「放送権」の権利問題について折り合いがつかないだけのような気がします。しかし、話題に挙がるということは期待しても良いでしょう。もしかすると近い将来に五輪種目の一つになっているかもしれません。

jp.gamesindustry.biz


これほどまでに大きな勢いに乗っているeスポーツですが、アメリカに本社を置く証券会社ゴールドマン・サックスの調査によるとオンラインゲームのプレイヤー人口は世界中で約22億人、そこからeスポーツ関連の大会を視聴・参加しているのは約5%しかいないとのことです。つまり、eスポーツイベントなどの顧客層はまだまだ獲得が可能ということです。

このまま市場が順調に発展していった場合は、ゴールドマン・サックスが現在予想している29.6億ドル(日本円にして3,400億円)以上の市場拡大を期待することができるといえるでしょう。また、今後のeスポーツのメインとなる売上は5Gなどの次世代インフラ設備の登場により、放映権などのメディア権利が大きく成長するのではないかと考えられます。

総務省がゲームメディア事業とeスポーツ事業を行うGzブレインに委託したeスポーツ産業に関する調査研究報告書では、eスポーツの世界市場規模は2018年の約970億円(約9億ドル)から2021年までに約1766億円(約16億ドル)へと大幅に成長すると予測されています。

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引用元:eスポーツ産業に関する調査研究報告書

視聴者数も同様に急成長しており、2017年では3億3500万人だったものが2021年には5億6000万人にまで増加すると予測されています。単純計算で国内の総人口の約4倍もの人が視聴しているということになります。

続いて海外と国内の賞金事情について見ていきましょう。国内では法規制が厳しいながらも『モンスターストライク』が賞金5,000万円と頑張っていますね。一方海外は『Dota2/約157億円』『League of Legends/約58億円』と驚愕の高額賞金が出ています。当然プレイヤー人口の多さなども関係しますが、これだけの高額賞金が出る大会が盛り上がらないわけありませんね。

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引用元:拡大する世界のeスポーツ市場と日本市場における展望

また、ここまで海外で大きく成長した背景には「GAME」という言葉の価値観の違いによるものが大きいと考えられます。例えば海外ではゲームという単語には複数の意味があり、その中にスポーツの “試合” も含まれます。しかし、日本人の場合は真剣勝負の意味ではなく、どうしても “娯楽としてのゲーム” という意味合いが強くなってしまいます。

他にも、海外では早くからオンラインゲームが流通していたため、リアルタイムで誰かと競争をする環境に慣れ親しんでいたことも重要かと思います。俗にいうPK(プレイヤーキラー:オンラインゲームで他のプレイヤーに対し攻撃を行うこと)なども、海外の人にとっては競争の一つといえるでしょう。

日本の市場規模はまだまだ未開拓

少しずつですが日本でも認知されてきているeスポーツ、国内市場規模は2018年11月に48.3億円、eスポーツファン数も約383万人と世界レベルにようやく追いついてきています。しかし、国内市場が成長するにはまだまだ多くの課題があるのも事実です。

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引用元:Gzブレイン

まず一つが、先程も述べたようにゲームに対する言葉への意識改革です。良くも悪くも日本人は真面目な人が多いということにもなりますが、この「ゲーム」という言葉一つでスポーツとして見れない人もいるのではないでしょうか?

さらに「景品表示法」「風俗営業法」「賭博罪」の3つの法規制により、高額賞金が出せない環境もeスポーツ発展の足かせとなっています。そこで一般社団法人日本eスポーツ連合は、大会優勝者にプロライセンスを発行し賞金を「プロが受け取る仕事の報酬」という形にすることで賞金を提供することを可能にしました。

最近になり多くのゲームが「プロライセンス」を発行していると思います。これはプロライセンスを発行することで宣伝力を高めるという理由だけではなく、賞金を提供するために「プロとして仕事をしてもらう」必要があるからなのです。しかし、これではプロゲーマーの資格保持者しか受け取れないため、一般人は受け取ることができず根本的な解決には至っていません。

スマートフォンゲームはeスポーツ業界へ参入しやすいとされています。それは景品表示法で規制されている「Pay to Win(お金を出して強くなる、優位性を生む)」に、課金(ルートボックス、俗に言うガチャ)は該当しないと判断されているからです。そのためゲームを購入する必要がない「基本無料」のスマートフォンゲームやPCゲームは、課金をしても「強くなる、優位になる」のではなく「ゲーム性を加速させる」に留まると判断され問題ないと考えられています。

そうなると、プロライセンスの存在自体が怪しいものとなってしまいます。なぜなら「Pay to Winではないゲーム」ならば賞金の上限は決まっていないからです。さらに言うなら、賞金ではないビジネスモデルなんていくつでも思いつくと思いませんか?それなのにわざわざ回りくどいスキームでビジネスモデルを展開していくようでは、日本のeスポーツの先行きが不安になります。

また、国内のeスポーツに対するPR不足も否めません。ネットリサーチ会社MyVoiceのアンケート調査によると、eスポーツの認知率は全体の43.9%に留まる結果となりました。

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引用元:【 eスポーツ 】に関するアンケート調査

eスポーツに対しての意見として「ゲームは遊びの一つ」「競技としてのイメージが付きにくい」といったマイナスの意見が多くあり、日本のeスポーツは競技コンテンツとしてまだ浸透しきっていないということが明白になりました。

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引用元:【 eスポーツ 】に関するアンケート調査

このように法規制によるスポンサーなど資金調達の難しさ、一般への認知不足による集客力の低さによって、結果的にプロ選手の育成環境がまったく整っていないのも大きな課題の一つといえるでしょう。

eスポーツは世界では競技、日本では娯楽

既に世界中で多くの企業が参入しているeスポーツ業界、2020年にはサッカーやバスケットボールと同等かそれ以上の人口増加が期待されているだけに、一日でも早く日本eスポーツ連合には現状を打開してもらいたいものです。

筆者としては、eスポーツに選ばれるタイトルはルールが複雑なものが多く一般の方が楽しむには敷居が高い気がします。そのため日本では『スマッシュブラザーズ』やスマートフォンゲームのような、一般層に受け入れてもらいやすいeスポーツに注力をするのが認知を高める近道な気がします。

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180208132702j:plain松本 竜二/フリーライター
不動産営業として勤務の傍ら、フリーランスという働き方を知り退職を決意。ライターとして活躍している先人の著書物を読み漁り、独学と実戦によりライティングスキルや知識を身に付け、IT・ビジネス関連をメインとしたフリーライターとして数々のクライアントからの依頼を請け負い、現在に至る。