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すべてのBotには善悪がある!Botが起こす社会問題と社会貢献

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SNSなどでよく見かけるようになった『Bot』。皆さんはBotに対してどのようなイメージを持っていますか?「SNSに投稿を自動で行ってくれる便利なアプリケーション」「人間以上の早さで指定した処理を自動で行ってくれる便利なプログラム」といった友好的な意見が多いかもしれませんね。

一見するとSNSなどの連続投稿が迷惑なくらいで、私たちの生活へ特に大きな害は無いように思えます。しかし、時として悪意あるBotの存在は大きな社会問題へと発展しているのです。

今回は、悪性Botが巻き起こす経済・社会への脅威、それに対して日本はどのように対応すべきか?反対に社会や企業で活躍している良性Botの事例紹介など、私たちの生活において『Bot』とはどのような存在と考えるべきかについて解説していきたいと思います。

Botという存在

皆さんは「Bot(ボット)」をご存知でしょうか?SNSを利用している方にとっては、既に聞き慣れた単語かもしれません。Botとは、「一定のタスク処理などを自動化するためのアプリケーションまたはプログラム」のことを指します。
SNSに決まった時間に自動で投稿してくれるものや、ゲームのキャラクターを自動で操作してくれたりするもの、さらに身近なものですとSiriや「Cortana」もBotといえます。

例えばTwitterの場合、あらかじめ決められた特定の言葉をつぶやく以外に話しかけられたら自動で返信をしてくれるものや、天気予報やグルメ情報など生活に役に立つ情報を自動的に配信してくれるBotがよく見かけられるのではないでしょうか?生活に役立つ情報が多いと思われるBotですが、ここで注意したいのがBotは誰でも簡単に作ることが可能な点です。

SNS以外にも、多くのインターネットテクノロジーにBotは使われています。Botの中にはウィルスに分類され、侵入した端末を遠隔操作し大量のスパムメールや情報を漏洩する悪意あるものなど多種多様です。そしてそういったBotを生んでいるのは、機械ではなく人の悪意であるということを忘れないようにしましょう。

悪意あるBotは企業へ大きな負担となる

さまざまなタスク処理を自動で、しかも人よりも高速に処理することができるBot。当然多くの企業や分野でBotは大活躍してくれています。こういった良性のBotが進化していく反面、社会や多くの企業にとって迷惑といえる悪性のBotがいることを忘れてはいけません。

悩まされていた企業の一つに、日本航空(以下JAL)があります。JALでは、空席紹介・座席予約などを含めた航空券の予約システムを、国際線予約サイトにデータを提供しています。サイトで空席照会や座席予約をすることで、外部の国際線共通予約エンジンサービスにリクエストを出します。この際にリクエスト数に応じて、JALは外部サービスに料金を支払うといった仕組みになっています。しかし空席を参照するだけで支払いが発生してしまうため、購入に結びつかないアクセスが増加すると、それだけJALの負担額は増えていってしまうのです。

そこでJALは、アカマイ・テクノロジーズによるBot検知システム「Bot Manager」を導入しアクセスを解析したところ、全アクセス数の約86%がBotだったという事実が判明。Botの挙動に対応できるようチューニングを続けた結果、トラフィックの8割を占めるBot問題を解決することに成功しました。これにより、長年大きな負担となっていた外部に支払う課金額を59%削減することに成功しました。

www.itmedia.co.jp

しかし悪性のBotは日本だけではなく、世界中で報告されています。Botの目的としては、航空券の高額転売が目当てと考えられます。このような問題は航空業界だけに留まらず、チケットが必要になるスポーツ観戦やライブイベントの予約サイトでも猛威を奮っていることでしょう。

またBot対策は企業だけでは限界が出てくるため、国が率先して対策を行う必要があると考えられます。米国は一早く、Botによって買い占めたチケットの転売を禁止する「BOTS法(Better Online Ticket Sales Act)」が2016年に成立しています。日本国内でも同じ様な法律が作られることを望みますが、Botが行っているのか人が行っているのか可視化する技術が必要のため、現時点では正確な対応できるか大きな不安が残ります。

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日本国内では既に世論操作のためのBotが活動しているといわれている

2017年12月1日、ドイツのエアランゲン=ニュルンベルク大学のファビアン・シェーファー博士が公開した論文『Japan’s 2014 General Election: Political Bots, Right-Wing Internet Activism, and Prime Minister Shinzō Abe’s Hidden Nationalist Agenda』において、2014年12月8日から30日間の政治に関係あると考えられるつぶやき54万2584件を抽出し、「選挙期間の政治的な意見がどのように拡散し分散されたか」についてTwitterなどのビックデータを分析した結果が発表されました。

シェーファー博士の研究によると、全体の83.2%(45万1530件)のつぶやきがコピーまたは類似ツイートであり、それがBotを利用し拡散されていたということです。この論文の最大の注目点は、元になったオリジナルツイートは約2割程度の(9万1054件)しかなく、全体の16.8%のツイートしか人が書いていないということです。つまりたった2割程度のツイートで、「一方的な世論の意見」を作り出すことは可能ということになります。

これはツイートだけに限った話しではありません。「いいね」や「RT(リツイート)」といったものまで、Botを使うことで簡単に増加させることができます。本当はマイノリティな意見のはずが、Botによってマジョリティな意見であると印象操作を与えることが容易に行えるのです。

SNSで大人気のインフルエンサー(影響力が高い人物)の中にも、このようにBotを使った印象操作をしている人物は少なからずいることでしょう。それだけではなく、有名スポーツ選手になりますしたBotアカウントなどにも近年は非難が集まってきています。

最近SNSでよく見かけるようになった言葉はありませんか?気が付けばその言葉を自分も使ったりはしていませんか?SNSでの自分の投稿を思い出してみてください、自分の意見を投稿したつもりになっているだけで、気づかぬ内にBotと同じフレーズを拡散してしまっているかもしれません。扇動的な言葉を使う前に、自分の投稿を落ち着いて読み返してみることも必要です。

企業が導入しているチャットBot

これまでに紹介したBotは、あくまで社会や企業を混乱させる悪意のあるBotです。これとは反対に、社会や企業に貢献しているBotはどういったものがあるのか?実際にBotを導入している企業の事例を参考に紹介していきます。

まず、インターネット通販サービス「LOHACO」を運営しているアスクル株式会社では、Bot界隈では有名な「マナミ」というチャットBotが導入されています。こちらのマナミさんに、お問い合わせの3分の1を対応してもらうことで約6.5人分の人件費削減に成功しています。利用者としても、面倒な電話をする必要がなくチャットだけでFAQに答えてもらえるのは、まさにWin-Winな関係といえますね。

さらに、新しい技術を進んで導入している企業としても有名なユニクロから、AIコンシェルジュUNIQLO IQが始まりました。こちらはユーザーと「UNIQLO IQ」がチャットをしながら、おすすめコーディネートの提案や人気商品などの情報を教えてくれます。お目当ての商品が無かった場合、それに近い代替品を提案してくれるなど非常に優秀です。

株式会社ジェナでは、社内のITヘルプデスク業務にAIチャットBotサービスhitTOを提供しています。社内のITヘルプデスクにくる質問といえば、ほとんどが何度も同じ様な質問のケースが多いと思います。そこをBotに対応してもらうことで、多くの手間を省くことができます。また、外部サービスとの連携も可能のためすぐに自社システムに馴染むところもプログラムならではといえます。

このようなチャットBotは既に多くの企業で導入されており、その多くが私たちの生活で役に立っています。このことからも、一概にBotが悪いのではなくBotを作る側の問題が大きいということが伺えます。

フェイクニュースと分かっていても7%は許容

もちろん注意すべきはBotではなく人の悪意ともいえます。それが分かる調査が、米国の民間調査会社Pew Research Centerによって2018年10月に発表されました。Pew Research Centerが4851人を対象に調査した「Social Media Bots Draw Public's Attention and Concern」によると、「組織や個人によるフェイクニュースやニセ情報の配信」を7%の人は許容してしまうということが判明しました。

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出典:ガベージニュース

もちろん完全にネタと分かっていて「許容する」と答えた人もいると思いますが、このフェイクニュースを信じてしまう方も少なからずいます。SNSで情報を発信するということは、悪意あるBotを生み出す可能性があるということを肝に銘じておきましょう。

テクノロジーが進化することにより、さらに優秀なBotが登場してきます。筆者としては、SNS上においてすべてのBotに悪意の可能性があると考えています。Botが発信する情報は情報元を確認するまで決して信用しないことをおすすめします。

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コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180208132702j:plain松本 竜二/フリーライター
不動産営業として勤務の傍ら、フリーランスという働き方を知り退職を決意。ライターとして活躍している先人の著書物を読み漁り、独学と実戦によりライティングスキルや知識を身に付け、IT・ビジネス関連をメインとしたフリーライターとして数々のクライアントからの依頼を請け負い、現在に至る。