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大手企業も導入!新入社員の定着と成長への仕組み「オンボーディング」とは?

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2018年大卒者の就職率が98.0%と過去最高値を記録しました。(参考:文部科学省より)
すごいですね。しかし、就職率は年々増加しているにもかかわらず早期離職者が減ることはありません。

そこで、海外でも取り入れられている「オンボーディング」という仕組みを日本の企業でも導入され始めています。オンボーディングはGoogle社やメルカリ社といった大企業にも導入されており、早期離職を予防できるので企業側にも新入社員側にもメリットがあるのが特徴。
本記事では、オンボーディングとはなにか、導入することによるメリットをお伝えしていきます。

オンボーディングとは

この言葉は、もともと「船や飛行機に乗っている」ことを表す”on-board”から派生したものです。
組織の一員やサービスのユーザーとして新しく加入したメンバーに手ほどきを行い、慣れさせるプロセスのことを指します。
(出典:オン・ボーディングとは - 人事労務用語 Weblio辞書

もともとは、ソフトウエアやネット内サービスでユーザーをより長く定着させるために、分かりやすい説明を用意して、いつでも疑問を解決できるようにする形で使用していました。
皆さんも新しいアプリをインストールした後、わかりやすくてかつ簡潔な説明を見ることがありますよね。これを、ジョージ・ブラッドとメアリー・ヴォネガットが企業の新人育成や定着にも使えると考え、その必要性を紹介したのがきっかけで取り入れる企業が増えていきました。

企業の文化やルールなどに早く慣れてもらうことで、その人の力を早い段階で十分に発揮してもらえ、企業にとっても本人にとってもメリットになるのです。
新人をできるだけ早く戦力にすることはもちろんですが、特に企業側は新しく採用した人の「定着」を目的としています。


オンボーディングを取り入れていることで有名な大企業Google社の事例をご紹介します。
Google社は活きこんで入社した新入社員が、カルチャーショックによって落ち込んでしまう時期の負担をできるだけ減らすために、オンボーディングを取り入れています。
そうすることによって、新入社員がスムーズに職場に加わることができ、現場への負担も小さくする効果がみられ一石二鳥です。
Google社におけるオンボーディングは、雇用主と新入社員の双方にメリットをもたらしているのですね。

mirai.doda.jp

オンボーディングが導入され始めた背景

早期離職者とは、就職後3年以内に離職する人のことを言います。
2018年厚生労働省が公表した大卒者の早期離職者の割合は、31.8%と前年よりも0.4%減少していますが、約30%あたりの横ばいでほとんど変化がない状況です。
なぜ、せっかく就職できたにもかかわらず3年以内の離職者が後を絶たないのでしょうか。

転職サイト「doda」が利用者約8万人に調査を行い、離職理由のランキングを出しています。
それによると、上位10位以内には「他にやりたい仕事がある」「給与に不満」「労働時間が長い」「休日が少ない」など、なかなか変えることが難しい理由が上がっています。

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出典:みんなが転職する理由は?転職理由ランキング 2018|転職ならdoda(デューダ)

特に、近年は一つの企業で定年まで勤め上げるスタイルが崩れてきていますよね。
SNSなどネットを使って自分でやりたい仕事を作ることもできるので、幾つかの職場で働くなどそのワークライフが変化してきているのです。
しかし、11位以下を見てみると、「人間関係が上手くいかない」「尊敬できる人がいない」「意見が言いにくい」「社員を育てる環境がない」など改善可能な内容も離職の理由になっています。

このような理由で離職してしまうのは、本人にとってもとてももったいないことですし、企業側もせっかく採用するコストや時間を割いているにもかかわらず、新規社員が育たないうちに辞められてしまうとかなりの損失です。
内定者側にも企業側にもメリットはありません。また、日本は超少子高齢化社会です。
これからどんどん人口も減少し、それと同時に労働者の確保も難しくなっていくと予想されています。

企業側は、ずっとここで働きたいと思ってもらえる体制を整える必要に迫られているのです。
こういった背景があり、新規採用者の早期離職を防ぎ本人の最大限のパフォーマンスを引き出しながらいきいきと働いてもらうためにこの「オンボーディング」が導入されつつあります。

オンボーディング導入のメリット

実際、オンボーディングを導入することでどのような効果があるのでしょうか。いくつかご紹介していきたいと思います。

仕事ができるようなるまでの時間を削減

新人を一から教育し、一人で働くことができるようになるまでは時間がかかります。
独り立ちするまで人手が取られることでその分周囲も負担がかかることは避けられません。
ですが、独り立ちするまでの期間を減らすための事業効率化を図ることは可能です。そのため例えば、仕事の内容が一人でも予習・復習できるようにマニュアル化を行い、誰でも理解できるようにするなどがあります。

あらかじめ、大まかな仕事内容を把握できれば実際に教えてもらう時も頭に入りやすく、終わった後もどこが分からなかったのか振り返ることができますよね。そうすることで、短期間で仕事を把握してもらいやすくなります。

採用コスト削減

新しく人を雇用するには、コストがかかります。雇用募集の広告・説明会日・面接など多額の費用をかけて採用に至っているのです。
転職サイトマイナビが発表した2017年の調査で採用費によると入社予定者1名にかけた採用コストは平均でおおよそ46.1万円。
1人でこの金額ですから莫大なコストがかかるのです。平均ですので、これ以上にコストがかかっている企業もあります。せっかくこれだけの費用をかけて採用しているので、企業はそれを無駄にしてしまうのはかなりもったいないです。

オンボーディングを取り入れ、新人・中途採用者の定着を行うことで再採用する必要がなくなり、採用コストを削減することができます。
ここを削減できると、企業への再投資・雇用者への賃金アップなどに資金を回すことができるので、企業の成長や雇用者満足感のアップにつながりますね。

内定者のやる気・モチベーションアップと不安解消

オンボーディングは、企業だけでなく内定者側にもメリットがあります。
入社してすぐは、何もかも初めてだらけなので誰に何を聞けばいいかもわからない状態です。
「聞きたいことがあるけどみんな忙しそうで聞きづらい」「この内容は誰に聞けばいいのかわからない」「職場の文化・価値観などわからず恥ずかしい思いをした」など、誰でも1度は体験したことがあるのではないでしょうか。もちろん新人もですが、中途採用者も同じ思いを抱えています。

すでに社会に出て働いているため言わなくてもわかるだろう・経験者だから助言しづらいなどと思われることもあり、本人も早くできないといけない!というプレッシャーを抱えていることが多いようです。そのため、誰に聞けばいいのか明確にしておく・気軽に質問できる仕組みを作っておく必要があります。

ある企業では、社内専用のコミュニケーションSNSを設け、そこに質問を投げることで回答してもらえるシステムを取り入れています。メールや上司への質問とは違い、気軽に質問できるため新人・中途採用者には重宝されているとのこと。
このような取り組みが行われれば、聞けなくて結局ミスに繋がったなど小さなつまずきや不安が軽減されます。
また、新人同士でコミュニケーションをとることができる場所があれば、情報を共有や互いに励まし合うことができるのでやる気アップにつながりますよね。一緒に頑張っている仲間がいることは、辛いことがあっても乗り越えることができる励みになります。

内定者がより早く職場に馴染み、自分の居場所を確保できる

新しい環境に馴染める期間は人それぞれ違います。
すぐに馴染める人は、早くから全体を理解し仕事も円滑に運ぶことができますが、なかなか馴染めない人にとってはそれが離職につながることもあります。

先にも少しあげましたが、職場ごとにその雰囲気や文化は違っています。今までは、多くの企業が「見て学べ」という姿勢だったかもしれません。
しかし、今はそうではなくあらかじめこの時はこうするとマニュアル化することで共通の認識を持ってもらう努力が必要です。そうすることで、内定者も働き始める前から職場の雰囲気を理解できますし、馴染みやすくなるからです。
オンボーディングを用いれば、早い段階でここに自分の居場所があると思えることができるのです。

いかがでしたか?まだまだ聞きなれない「オンボーディング」ですが、企業も労働者も互いにメリットが生まれる仕組みですので、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20181016175609j:plainしまづ@看護師ライター
現役看護師でありながらFP資格も保有。看護師として働く中でお金の知識がないと、時に自分や大切な家族の生活を脅かしてしまうことを知る。金融、医療の記事執筆を中心に活動し、確かで役に立つ情報をお届けすることをモットーとしている。