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嘘が真実になる時代ーフェイクニュースによる世論操作は世界規模で起きている

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SNSの発展により、誰もが気軽に情報を発信し伝達しあえる時代になりました。一見すると大変素晴らしいことのように感じますが、実はこういったSNSを利用して拡散される「フェイクニュース」が世界規模で大きな問題となっています。

特にこのフェイクニュースに敏感なのが、仮想通貨市場や政治的世論です。そこで今回は、時には世界を大きく狂わしてしまうかもしれないフェイクニュースの危険性について考えてみたいと思います。

フェイクニュースとは?何が危険なのか?

そもそもフェイクニュースとは、読んで時のごとく「虚偽・事実ではないデタラメのニュース」のことを指します。事実とはまったく異なるデタラメの内容を、SNSなどを通じて拡散され、時には世論を巻き込んで大きな問題へと発展することもあります。NHKでも、フェイクニュースをテーマにしたドラマが放送されたのでご存知の方も多いのではないでしょうか?

フェイクニュースの危険なところは、SNSなどの情報を拡散しやすいメディアを媒体にしているため、短期間でまたたく間に世界中へ拡散され、あたかもそれが世間では「常識、当たり前」という認識にまで刷り込ませることが可能なところです。

近年で記憶に新しいのは、2016年の米大統領選でのFacebook内の動きです。候補者の一人だった、ドナルド・トランプ氏を後押しするようなフェイクニュースがFacebook内のいたる所でシェアされ、世論の多くがトランプ氏を応援しているという錯覚を作り出していました。

そして驚くことに、信憑性がどこにも見当たらないフェイクニュースの方が、主要メディアの選挙記事よりもユーザーからのエンゲージメント率(SNSユーザーが投稿に対して反応した割合を示す値)が高かったのです。エンゲージメント率は高ければ高いほど、ユーザーから支持されている投稿ということになります。つまり、Facebookではフェイクニュースの方が支持をされるという結果になりました。

もちろん、こういったフェイクニュースが支持された背景には、トランプ氏の「メキシコ国境に壁を造る」「イスラム教徒をアメリカへの入国を禁止する」といった型破りな公約があったからと考えられます。しかし、このようにフェイクニュースが世論を動かすことは実際に起こりますし、このようなことはこれからも注意していかなくてはいけません。

gendai.ismedia.jp

仮想通貨市場の操作も容易に行える

フェイクニュースが注目されるのは、なにも政治的な話しだけではありません。特に最新情報に敏感な金融商品などは、このようなフェイクニュースに大きく踊らされることが度々あります。2018年9月、アメリカのビジネスや技術ニュースの専門サイト「BUSINESS INSIDER」で報じられた「ゴールドマン・サックス(アメリカニューヨーク州に本社を置く世界最大の投資銀行)がビットコインとのプロジェクトを白紙にする」というフェイクニュースが報じられたことにより、ビットコインの相場は大きく下落することになりました。

これまでビットコインは堅調な動きを見せており、金融商品の中では比較的安定しているとされていました。9月5日までは7,300ドル台で推移していたビットコインですが、ニュースが報道されてからは僅かな時間で1,000ドル近く暴落、一時6,400ドルまで割り込みました。

このことを受けて、ゴールドマン・サックスのCFO(最高財務責任者)がサンフランシスコで開催されたカンファレンスの中で、「先日の報道はフェイクニュース」ときっぱりと断言しましたが、それでもビットコインの相場は現在も戻っていません。こういったニュースが報道された要因は、上記のトランプ氏と同じように組織のトップの発言が大きく関係しています。

ちなみに、このフェイクニュースが報じられる2日ほど前に、好調だったビットコインをなぜか10,000BTCのショートポジション(株を借りて現時点の価格で売り払うこと、株価が下がった頃に買い戻し借りていた株を返すことで差額の利益を得る)を保有していた者がいることが明らかになりました。株価の予測を行うアナリストの間では、何者かが事前に情報を取得しインサイダー取引を行ったという疑惑まで浮上しています。

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引用元:CCN

このように、SNSだけではなく信頼できる大手メディアでもフェイクニュースと疑う情報は普通にあります。そしてそのデマが市場へと大きく関与し、市場操作を容易に行うことができるという認識を私たちは持つ必要があります。

インターネット上での言論の自由が大きな課題

上記の件などを見て分かるように、中には明らかに悪意のあるフェイクニュースを拡散しているメディアもあります。最近になりFacebookもようやく重い腰を上げ、あまりにも酷いデマを流すアカウントはアカウント停止処置をするなど取り締まるようになりました。ただし、これはあくまで暴力を目的にしたものや暴動を誘発するような過激な誤情報についてです。

こういったニュースや情報を扱う話題になると、決まって出てくる課題があります。それは「言論の自由」です。言論の自由とは、簡単にいえば公権力から検閲されることなく自身の考えを表明できる自由。そして、それはインターネット上でも同じく、誰でも自由に考えを発言することが許されています。しかし、その自由がインターネットを介したSNSやメディアでは大きな問題となることも少なくはありません。

今回のテーマでもあるフェイクニュースも、言論の自由が要因であるともいえます。そのため、今や世界的にインターネット上の情報、特にフェイクニュースへの言論統制を行う国も増えてきているようです。

世界的に法規制の流れ、日本はどうなる?

マレーシアでは、世界で初めてフェイクニュースを作成した者に刑罰を科すという法案が2018年4月2日に成立しました。これにより、最高刑は禁固6年以下、罰金50万リンギット(日本円で約1,390万円)の罰が科されます。そしてこの法案が成立後の4月21日、世界初のフェイクニュースによる有罪判決第1号が誕生してしまいます。なんと、有罪判決第1号になってしまったのはマレーシアへの外国人旅行者だったのです。ちなみにこの法律は、当然ながら国外へも適用されるのでマレーシアをテーマに情報を発信する際は細心の注意が必要になるかもしれません。

www.newsweekjapan.jp


また、最も強硬派といえるドイツにも同じような法律があります。ドイツの場合は、SNS上の投稿内容について運営している企業が責任を負う「ネットワーク執行法」というもの、企業が違法コンテンツに対して適切な処置をしなかった場合は最高5,000万ユーロ(約66億円)の制裁金を支払う必要があります。

synodos.jp


当然ながら、これらの法規制に対しては賛否両論です。「報道の自由」「言論の自由」はもちろんのこと、ドイツに至っては「独裁者が再び出る」と皮肉をいわれるほどです。ここで心配になるのが、日本はフェイクニュースに対してどういう対策を取るのか?です。というのも、世界的に見ても日本は比較的表現に対して寛容、縛られることなく各々が自由に表現できる国だと思います。

その反面、Twitterなどの匿名性が高いSNSが日本では人気のためか、デマの拡散やフェイクニュースの広がる速度は早いといえます。国内のフェイクニュースですと、少し前に話題になったDeNAが運営する情報メディアにおいて、質が低い記事を大量生産していた問題もフェイクニュースの一部と呼べるでしょう。これにより、DeNAが運営していた9サイト(MERYを含めると10サイト)のすべてが非公開化、運営していた役員の処分、第三者による調査委員会を設置し厳重な調査を受けることになりました。

現状、日本には法規制の動きはなく特定非営利活動法人ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)というファクトチェック(メディアが報じた情報の真偽を検証)の推進・普及を行うNPO法人や、新聞記者や研究者などが立ち上げた「フェイクニュース研究会」などによるフェイクニュース対策、またフェイクニュースの悪影響を消費者に広く知ってもらうために「一般社団法人 国民の知る権利を守る自由報道協会」がフェイクニュース大賞を設立し一般公募などもしています。

ただし、あくまでフェイクニュースに対して法規制の動きがないというだけで、国内でもフェイクニュースをSNS上に流し世間を騒がせた場合には逮捕者なども出ています。

若者はフェイクニュースを楽しみ拡散、それを見た中高年が信じる

2ちゃんねる(現5ちゃんねる)という嘘の宝庫のような存在もあったためか、日本ではフェイクニュースはまだパロディやネタという認識が強い気がします。しかし、若者が面白おかしく拡散した情報を見た中高年の方は、それが真実であると誤った認識を起こしてしまうことは少なくありません。

世界的な動きを見ると危機感に乏しい気がする日本、「国際信州学院大学」を信じた方は既にフェイクニュースに踊らされたという認識を持って警戒しておきましょう。ちなみに筆者は踊らされた側のため、警戒心全開で日々のSNSを利用しています。

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180208132702j:plain松本 竜二/フリーライター
不動産営業として勤務の傍ら、フリーランスという働き方を知り退職を決意。ライターとして活躍している先人の著書物を読み漁り、独学と実戦によりライティングスキルや知識を身に付け、IT・ビジネス関連をメインとしたフリーライターとして数々のクライアントからの依頼を請け負い、現在に至る。