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【生涯支払う保険料がわかる?】インシュアテックが保険業界に起こす革命とは

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「あなたの寿命は85歳になり、生涯を通しての保険料は1500万円です」
生まれたその日にAIによって寿命が正確に計算され、さらに保険料まで算出されるシステムがテクノロジーの進歩によって生み出されるかもしれない。
この技術はまだ夢物語かもしれないが、保険業界はインシュアテックによって転換期を迎えようとしている。

フィンテックが金融業界に影響を与えてるというニュースを見る機会があるのではないだろうか。それと同じようにインシュアテックが保険業界を根本から変えようとしている。
AIの進歩やビッグデータの活用により、一人ひとりに合わせたオンリーワンの保険内容、保険料をインシュアテックがもたらすに違いない。

この記事では保険業界の問題点とインシュアテックが保険業界をどのように変革していくのかをみていこう。

そもそもInsurTech(インシュアテック)とは

 

インシュアテックとは

Insurance(保険)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語だ。AI(人工知能)やIoT※1、ブロックチェーン※2など最新のテクノロジーを利用して、保険業務の効率化、収益性の向上を図ることを目的とした新しい保険サービスを生み出すことを表している。

※1 身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながること
※2 分散型取引台帳とも呼ばれユーザー同士でシステムを管理することが可能でデータの改ざんが難しい

インシュアテックはフィンテックの保険業界バージョンと言えばわかりやすいかもしれない。
アメリカやイギリスなどでは2015年頃より注目されており、インシュアテックのスタートアップ企業の資金調達額は飛躍的に伸びてきている。

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しかし、インシュアテックに対する日本での認知度は、フィンテックに比べてまだまだ低く、マスメディアでも見る機会が少ない。
実際にインシュアテックのスタートアップ企業の資金調達を行った国々の比率を見ても日本はグラフにも出てきていない。

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この背景には日本の保険業界の問題点が関係している。
逆に言えば、この問題点を解消していけば日本でもインシュアテックが身近になっていくことだろう。

保険業界の問題点

保険業界は規制が厳しく、インシュアテックのような新しい技術を取り入れにくいということもある。それに加えて、複雑な保険商品、料金設定など、問題点は多い。

煩雑な手続き

一般的に、保険の契約から保険金を受け取るまでの保険事業者と保険加入者とのプロセスは

保険商品の募集

契約

保険加入者の情報保全

保険料受領

保険金支払い

となり、さらに言うと保険商品の販売者、保険会社、仲介業者、再保険会社なども関与してくる。多くの手続きを行わなければならないうえに、保険という商品の性質上、取引会社との間で共有できる情報も限られてしまう。
この手続きの多さから保険を契約するまでに時間を要することも問題であろう。

料金設定がわかりにくく、個人に合わせた保険商品が提供できていない

これは私自身の経験によるものだが、保険料金の妥当性や保険に加入するメリットがわかりにくいと感じてしまう。

保険会社が収入状況や健康状態、持病の有無などの個人情報に応じて、さまざまな料金設定や保険プランを提案を行うのはわかる。けれども、人によっては保険料を高く感じたり、金銭的な問題から保険に加入できないことや保険内容がオーバースペックである場合も考えられるだろう。
保険会社から提案される保険プランではなく、一人ひとりの経済状況、健康状態に合わせた保険内容であるべきだと感じている。

インシュアテックを活用した保険業界の取り組みとは

上で挙げたような問題を解消するために、各保険会社もインシュアテックを取り入れる動きが出てきている。具体的なサービスをみてみよう。

テレマティクス保険

 

テレマティクス保険とは

運転者の運転技術等からリスクに応じた保険料が算出されるという新しい自動車保険の仕組みを用いている。
スマホアプリや自動車に設置された専用機器から運転者の特徴が分析されて、安全な運転を行う人には保険料金の割引を受けることができる。

保険加入者の安全運転に対する意識の向上や、事故に関するデータを収集できるため保険会社にもメリットがある。
テレマティクス保険によって安全運転が奨励されれば、交通事故の減少や渋滞の解消にもなり、社会貢献にもつながるため注目されている。

LINEほけん

今の若者はスマートフォンを1人1台持つのが当たり前になっている「スマホネイティブ」と呼べる。コミュニケーションアプリLINEは損保ジャパン日本興亜と業務提携を結び、「LINEほけん」のサービスを開始している。

linecorp.com


100円から保険に加入することが可能で、旅行・スポーツといったイベントに合わせて、そのときに必要な最低限の保険に加入できる。
LINEのアプリ上で保険への加入、保険料の支払い、保険金の受け取りまでが可能になる。したがって、今までの保険の複雑な手続が不要になる。
スマートフォン1台で保険への加入が完結するので、保険に対するハードルが下がるのはもちろんのこと、「難しい」「めんどくさい」といったマイナスイメージの解消にもつながるだろう。

この「LINEほけん」のように、大手企業がシンプルな仕組みの保険サービスを提供することはこれからますます増えていくことになると思われる。

ブロックチェーン技術を活用

保険業界にとって顧客のデータは絶対であり改ざんは許されない。
しかし、保険の契約ひとつをとっても保険会社、販売会社、仲介業者など多くの企業が別々に取引をしている。したがって、顧客のデータを一括で管理することが難しいのが現状だ。

ブロックチェーンとは

分散型取引台帳と呼ばれて、改ざんされにくい仕組みを持つ。保険の複雑な仕組みを解消するためにはこの技術が非常に相性が良いと言えよう。

実際にiCainという日本のスタートアップ企業がブロックチェーン技術を活用した保険ウォレットのサービス提供を進めている。

具体的なサービス内容は、加入している保険商品全てをスマートフォン1つで管理することを可能にして、家族とも情報を共有することができる。今までの紙の契約書が不要になり、住所変更や名義変更が専用のアプリを通して手続きを行うこともできるようになる。

さらに言うと、ブロックチェーンだけでなくAIの活用も必然になってくるだろう。
保険加入者の医療情報や健康状態のデータをAIによって分析させて、その人独自の保険商品の提案を行うことも可能になる技術も今後出てくると思われる。

インシュアテックは保険業界を破壊するのか

インシュアテックという言葉をこの記事を通して初めて知ったという人も多いだろう。けれども、水面下では着実にインシュアテックが保険業界に変化を与えていることは間違いないと言える。これから超高齢化社会を迎える日本にとって、保険の変革というのは必須事項といえるだろう。

保険業界の企業にとっては顧客のデータ管理や保険料の支払いなどのバックオフィスが容易になっていき、AIでは対応できない心理的な部分で被保険者に寄り添うことも可能になる。
われわれ被保険者は保険に対する煩わしいという幻影から開放されて、スマートフォンのアプリをインストールするかのように保険に加入できる未来がインシュアテックによってもたらされる。

保険業界は新しいテクノロジーによって変わっていくだろうが、インシュアテックが保険業界そのものを破壊してしまうとは私は考えない。

既存の保険システムとインシュアテックがうまく融合すれば、よりユーザーファーストな保険サービスが登場するに違いないだろう。
インシュアテックが「保険=万が一の備え」という考え方を「保険=身近な存在」に変えるキッカケとなることを私は期待したい。

japan.zdnet.com

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180928150329j:plain野本 一貴
福岡県北九州市出身。回転寿司のアルバイトがきっかけで寿司屋での修行を経験。その後、営業職や2年間のニート時代を過ごしました。異色な経歴ですが、田舎フリーランス養成講座を受講後にフリーライターの道へ。得意なジャンルは金融系。特にキャッシュレスやソーシャルレンディング・つみたてNISAなど初心者向けの資産運用に関することを書いています。