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【理想と現実】日本のキャッシュレス化が進まない本当の原因とは

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コンビニやスーパーでの会計時、皆さんが財布から取り出すのは現金だろうか。それとも、電子マネーやクレジットカード、もしくはスマートフォン決済をするのだろうか。
私が思うに、ほとんどの人は現金支払いを選ぶだろう。
普段あなたが何気なく支払い方法を選択する裏には、「キャッシュレス社会に変えたい」という日本の政策が隠れている。今回は、キャッシュレス化を進めたい政府と国民の実態を詳しく見ていこう。

そもそもキャッシュレスとは何か

クレジットカードやデビットカード、電子マネーなどの現金を使わない決済方法のことを「キャッシュレス」と呼ぶ。中国ではAlipay(アリペイ)、WeChatpay(ウィーチャットペイ)と呼ばれるQRコード決済が浸透し、またスウェーデンではSwish(スウィッシュ)と呼ばれる電子決済システムが広がり、現金お断りの店舗があるほど日常的にキャッシュレスが利用されている。
日本は世界と比べると、キャッシュレスが普及しておらず、未だに現金支払いが多い傾向にある。

日本のキャッシュレス比率は非常に低い

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引用:経済産業省 キャッシュレスビジョン

上図を見てわかる通り、日本のキャッシュレス決済比率は約20%で、この数値は世界的に見てかなり低い。日本政府は2025年に開催される大阪・関西万博に向けて、キャッシュレス比率を40%に引き上げるという目標を掲げている。最終的には、80%まで到達させる見込みだ。

日本政府がキャッシュレス化を推進する3つの理由

日本は世界的にキャッシュレス比率が低いこともあるが、下記の3点もキャッシュレスを推進したい理由に挙げられるだろう。

1.決済記録がビッグデータとして活用できる

キャッシュレス決済が浸透した社会では、誰が、どこのお店で、何を、いくらで買ったかという個人のお金の流れが詳細に記録される。このデータを企業が活用すれば、消費者の行動パターンが予測でき、商品の改善やサービスの向上に繋がる。それに伴い、個人の消費が上がれば企業の売上も伸びる。日本政府はキャッシュレスを推進することで、企業の成長を促そうとしているのだろう。

2.現金決済にかかるコストを抑えられる

現金決済が衰退しない理由の一つに、全国各所に設けられているATMの設置が挙げられる。このATMの普及は大変便利であるが維持費に年間2兆円ものコストがかかっている。このコストに関しては消費者が手数料として負担しているため、キャッシュレス化が進めばこのコストも削減することができる。

3.外国人観光客の増加による消費の促進

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2020年にオリンピックが控えていることや、外国人観光客が年々増加していることも関係する。外国人観光客が現金支払いのみの店舗に訪れると、自身のキャッシュレス決済が使えず、購買意欲の減少につながってしまう。その結果、大きな経済損失を引き起こすことになる。日本政府がインバウンド消費(外国人観光客による日本国内での消費活動)を増やしたいことも理由のひとつだろう。

現金に対する信頼度や依存度が高い

キャッシュレスを進めていきたい日本政府に対し、我々国民の意識はどうだろうか。
普段の生活で、キャッシュレス決済を挙げるとすれば、「Suica(スイカ)」や「ICOCA(イコカ)」を始めとする、交通系ICカードを思い浮かべる方が多いのではないだろうか。

しかし普段の買い物では、現金を出すことが当たり前で現金のみでしか支払えない店舗も多い。財布の中を見てみると使わないクレジットカードだらけで、そもそも何枚のカードが入っているのかを把握していない人もいるだろう。

また、日本の治安が良いこともひとつの理由だ。
街中を歩いていて、強盗に襲われたりする恐れも少ない。日常生活で偽札はほぼ見ないうえに、汚れた紙幣を銀行に持っていけば交換してくれるので、現金に対する信頼度もあり、依存度も高い。もちろん、昨年話題になったビットコインを始めとする仮想通貨は、まだまだ決済方法としては使い物にならない。

日本政府がいくら立派な目標を打ち立てたとしても、国民の現金に対する信頼度や依存度が根本的に変わらない限り、キャッシュレスが浸透することはないだろう。

決済方法の乱立を避けたい

最近では、3メガ銀行(三菱UFJフィナンシャルグループ、三井住友FG、みずほFG)がQRコード決済の規格統一で合意した「Bank Pay(バンクペイ)」や、ゆうちょ銀行の「ゆうちょPay」がQRコードを利用したキャッシュレス決済に参入を決めている。
現金に対する信用度が高いにも関わらず、なぜ銀行がキャッシュレス決済を導入したのかと疑問に思うだろう。しかし、「Bank Pay」「ゆうちょPay」が急速に普及するポテンシャルは十分にある。

スマートフォンがあれば決済できるLINE Payや楽天ペイ、Origami Payなど徐々に使える店舗が広まっているが、自身の銀行口座以外のサービスを通じているので、やや利用するのに抵抗感がある。

3メガ銀行の個人が保有する預金口座数は9千万以上あり、ゆうちょ銀行については、正確な口座数は開示されていないが、1億2千万とも言われている。「Bank Pay」「ゆうちょPay」が普及すれば、ATMからお金を引き出す、クレジットカードで支払うといった行為がなくなる。
自身の口座から引き落としが直接行われるので安心感が伴う。このことは利用者にとってプラスに働き、普及につながるだろう。

銀行や企業が様々な決済サービスを打ち出すのもいいが、すべての店舗で利用可能ではないうえに、店舗側もそれぞれの決済端末を用意しなくてはいけなくなるなどの問題も多いことがこれからの課題だ。
利用者がどの決済手段を用いたらいいかわからずに、結局、現金支払いに落ち着いているのかもしれない。どの決済手段でも可能な端末を開発するなどの対応も、今後は必要になってくるだろう。

この状況を打破できる政策とは

ここで、キャッシュレス化に向けた私なりの政策を考えてみたい。

1.キャッシュレス決済に関する税制優遇

消費税が10%に変わるタイミングで、キャッシュレス決済は現状の8%のままにしてはどうだろうか。たった2%の違いだが、キャッシュレス比率の増加が見込める。
税制優遇に関しては、既にQRコード決済導入店に検討されているので、実現すれば中・小型店舗の導入につながるだろう。

news.livedoor.com

2.高額紙幣の廃止

これは実際にインドが実施しており、国全体のキャッシュレス化に成功している。日本での実現はなかなか難しいかもしれないが、高額紙幣の流通を減らしていくことは可能だろう。また、マネーロンダリング(※)の防止や紙幣製造コストの削減にもつながる。
(※)マネーロンダリング:麻薬取引、脱税など犯罪で得られた資金を銀行の口座から口座へと転々とさせて、資金の出所をわからなくすること。

forbesjapan.com

3.キャッシュレス店舗の普及

ロイヤルホールディングスが運営する「GATHERING TABLE PANTRY」や静岡県熱海市の「Inquiry Counter ATMICT」など、現金お断りのキャッシュレス店舗が出てきて、世間的にも徐々に認知されているように感じる。
特に飲食店のチェーン店舗は、積極的にキャッシュレス決済のみにしていくべきだ。特に現金のみの店舗は、キャッシュレス決済の導入が必須だろう。

キャッシュレス店舗の普及で生じるデメリット
  • デジタル機器が苦手な高齢者をどうするのか
  • 災害時に停電が起こった場合、決済ができない
  • 店舗側の手数料負担が高い

これらの課題を解決していくことが、キャッシュレス社会の普及に必要だろう。

日本人の現金主義の考えをまず取り払うべき

日本のキャッシュレス化が進まない原因は、政府の目標や政策が悪いわけではなく、日本人特有の環境や考え方にある。まず政府が行うべきことは、キャッシュレスが当たり前の雰囲気作りだろう。
現金を使わなくていい環境を作ることで、現金主義の考え方も少しずつ変わっていくのではないだろうか。遠くない未来、現金が厳禁になる時代が来るのかもしれない。

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180928150329j:plain野本 一貴
福岡県北九州市出身。回転寿司のアルバイトがきっかけで寿司屋での修行を経験。その後、営業職や2年間のニート時代を過ごしました。異色な経歴ですが、田舎フリーランス養成講座を受講後にフリーライターの道へ。得意なジャンルは金融系。特にキャッシュレスやソーシャルレンディング・つみたてNISAなど初心者向けの資産運用に関することを書いています。