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【銀行がなくなる?】フィンテック革命が金融機関に及ぼす影響とは

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「銀行機能は必要だが、今ある銀行は必要なくなる」
マイクロソフトの生みの親であるビル・ゲイツが、1994年に会計ソフトの開発を行っていたインテュイット(Intuit Inc.)への投資を決めた際に唱えた言葉だ。

この当時は「フィンテック」という言葉も知られてなかっただろうし、ましてや銀行がなくなると誰が考えていただろうか。
しかし、今まさに銀行がなくなることが、現実味を帯びている。
ニュースやインターネット上では「銀行は不要である」という声も多く見かけるようになった。この記事では、フィンテックが金融機関に与えた影響を元に、銀行の必要性がなくなるのかどうかを考えていきたい。

フィンテックとは

フィンテックという言葉は、金融を意味する「ファイナンス」と、技術を意味する「テクノロジー」を組み合わせた造語である。広い意味では、ITを活用した金融サービス全般を示すが、最近ではベンチャー企業が生み出す新しい金融サービスを指す用語として、金融業界全体から非常に注目されている。もう少し噛み砕いて言えば、「お金の使い方や流れが変化していく」ということだろう。

フィンテックを用いた決済サービス

身近なもので言えば、決済関連のサービスが挙げられる。
PayPal」はアカウントを作成すれば、クレジットカードの情報を相手に開示せずに、メールアドレスだけでオンライン決済可能になる。安全で簡単に、しかも個人間で決済ができるため、ネットオークションサイト「eBay」の決済手段として爆発的に普及した。

より身近なものを考えると、日常のコミュニケーションアプリとして欠かせないサービスになっている「LINE」が挙げられる。
2014年12月から「LINE Pay」のサービスが開始している。オンラインショッピングの決済ができるのはもちろんのこと、LINEの友達へ簡単に送金が可能だ。また、「LINEフィナンシャル」という金融子会社を設立して、仮想通貨取引のサービスを開始する予定も控えている。
さらに、ネット証券のFOLIOと資本業務提携を結び、資産運用事業にまで取り組むなど、異業種への参入が目立っている。

prtimes.jp

このように、従来は銀行が行っていたサービスを企業が行うことによって、普段の生活の中でお金に関するサービスがより身近に、より便利になってきている。

また、「ブロックチェーン」「ビッグデータ」「AI(人工知能)」という言葉を最近耳にすることも多いのではないだろうか。これらの技術もフィンテックと非常に相性が良い。
これまでは銀行などの金融機関がお金の流れの中心であったが、フィンテックにより根本から変わろうとしている。

例えば、クラウドファンディングが良い例だろう。
今までは、「世の中の問題を解決したい」、「アイデアをかたちにしたい」ことがあっても、金銭的な理由で実現できなかったり、実績のないベンチャー企業だと銀行から融資を受けられかった。
しかし、クラウドファンディングは銀行を介さずに、インターネットを通じて不特定多数の人からお金を集めることができる。

このように、フィンテックが発展することにより、銀行がお金を管理する中央集権的な仕組みが、既存のシステムに頼らずに独自の経済圏を生み出すことができる非中央集権的な仕組みへと移ってきていることがわかる。

銀行の問題点

就職先で人気だった銀行も今は影をひそめるようになった。三菱UFJ銀行などの3メガ銀行が人員や店舗の削減に踏み出していることからもわかるように、金融機関での銀行の牙城が崩れてことは明らかだ。

この原因は「フィンテック」がここ十数年で急速に発展したことが原因だろう。
銀行が今まで担ってきた役割が、フィンテックを活用したベンチャー企業に移ってきている。
スマートフォンが1つあれば、「決済・送金・融資」などが簡単にできるので、しばらく銀行に行ってない人も多いのではないだろうか。
フィンテックが進んだことにより、銀行へ様々な影響が出ている。現状の問題点をみていこう。

顧客が減り続けている

金融機関の店舗数はここ30年の間に大きな変化はないが、顧客数は毎年数%ずつ減り続けている。
■銀行で私達が使う主要サービス

  • 預金
  • 引き出し
  • 振り込み

しかし、コンビニに行けば、ATMで上記のサービスを済ますことができる。スマートフォンのアプリやインターネットバンキングを活用すれば、家にいながらでも銀行のサービスを行うことが可能になった。
これらを踏まえれば、銀行の顧客が減り続けていることは自然と考えることができよう。
また、キャッシュレス決済が普及していけば、現金の取り扱いも減るため、ATMの必要性も今後なくなっていくだろう。

銀行員の仕事がAI(人工知能)によってなくなる

「銀行の単純な事務処理や融資審査などのバックオフィス業務がAIに取って代わる」というニュースを最近目にした方も多いのではないだろうか。

銀行員といえば信用を第一にしており、それ相応のコストをかけてきた。しかし、フィンテックが進んだことにより、もはや無駄なコストになっているのだ。
現に、三菱UFJフィナンシャル・グループは9500人相当の労働力を削減すると発表している。

www.itmedia.co.jp

現状の銀行のシステムでは利益が出ないことは明らかで、銀行員のコストを削減するしか残された道がないことがわかる。

個人に対するサービス不足

銀行に親しみを感じている人は一体どれくらいいるだろうか。少なくとも私は、銀行が行うサービスに魅力を感じていない。
銀行が提案するサービスや商品はどれも同じように見える。一部の富裕層向けには資産運用の相談サービスを提供していてるが、あとは代わり映えのしない金融商品が並べられているだけだ。

さらに言えば、資産運用はフィンテックが進んでおり、ウェルスナビなどのロボアドバイザーなら個人に合わせた運用プランを設定してくれるので、わざわざ店舗にまで行く必要もなくなっている。個人に合わせたサービス不足から銀行離れが始まっているとも言えよう。

高齢者へのサービスを充実させなければならない

では、銀行はどのようなサービスを提供すればよいのか。
私が思うに、高齢者への対応が早急に必要なのではないだろうか。
スマートフォンが急速に普及して、それに追随するようにモバイルサービスが普及している。銀行も決済サービスに進出し、QRコード決済による「BankPay」を発表した。
しかし、それらのサービスを高齢者がすぐに対応できるかといえば、そうではないと思う。

www.nikkei.com
筆者が提案する高齢者向けサービス
  • BankPayがインストールされているスマートフォンを無償で貸し出し、銀行で操作方法を教える
  • 高齢者向けにモバイル決済についてのセミナーを実施する

上記のような、銀行が高齢者に対するサービスを充実させることが必要だと考える。
AIが発達して窓口業務はロボットに代替されていくだろう。そうなるからこそ、銀行が人と人のつながりを大事にしていくべきだと考える。

世界的大企業が金融サービスに乗り出している

Amazon、Google、Apple、アリババなどの世界的大企業が金融業界を脅かしている。それぞれの企業が、スマートフォンで店舗決済を可能にするサービスを提供していることは知っているだろう。
これらの大企業は銀行口座を開設できるシステムはまだないが、もし実現すれば金融業界に大きな衝撃を与えることになるだろうし、今までの銀行の存在意義も問われることに違いない。

フィンテックで銀行はなくなるのだろうか

今、世界規模でキャッシュレス化が進み、現金を使う機会が減ってきている。私自身、銀行を利用する頻度も少なくなっている。
融資業務に関しても、ソーシャルレンディング(企業と個人投資家を結びつける仲介業者)を利用すれば、実績のないベンチャー企業でも簡単に資金を調達できるようになってきている。
さらに言えば、資産運用に関してもロボアドバイザーを活用すれば、個人に対して最適な運用方法を提案してくれる。

銀行はこのままなくなってしまうのだろうか。
いや、銀行はなくならないというのが私の意見だ。フィンテックを活用しているベンチャー企業の多くのサービスは、まだまだ銀行機能を必要としている事が多い。ほとんどの決済サービスに言えることだが、どこかの銀行口座に紐づけする必要がある。
銀行が決済サービスを利用するエンドユーザーのために、紐づけしやすいようなシンプルな仕組みを作ることが必要だ。それが銀行の存在を今よりも身近に感じることにつながるだろう。

また、個人に寄り添ったサービスを提供していくことが大事になると考える。
銀行員の数は減っていき、多くの業務は機械化していくだろうが、全ての顧客のニーズをAIが判断できるまでには、まだまだ時間がかかるだろう。

顧客と密なコミュニケーションをとり、一人ひとりにとって最適なサービスを提供することが銀行の信頼度と価値を上げることにつながっていく。

銀行機能は企業へと徐々に移り、店舗数と人員も減っていくのは明らかだ。 しかし、銀行がフィンテックの発展と共に業務形態を変えていけば、企業や私達の生活において欠かせないものになり、「銀行」が今よりも必要な存在になるだろうと私は考える。

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180928150329j:plain野本 一貴
福岡県北九州市出身。回転寿司のアルバイトがきっかけで寿司屋での修行を経験。その後、営業職や2年間のニート時代を過ごしました。異色な経歴ですが、田舎フリーランス養成講座を受講後にフリーライターの道へ。得意なジャンルは金融系。特にキャッシュレスやソーシャルレンディング・つみたてNISAなど初心者向けの資産運用に関することを書いています。