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厳しいアプリゲーム市場で成功するための秘訣はリアルなユーザー体験

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1983年、一般の家庭でも購入できる家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ(以下ファミコン)」が任天堂から発売されました。ファミコンの登場以降、数多くの家庭用ゲーム機や名作と呼ばれる作品が発売され、ニュースに取り上げられるほどの社会現象が幾度となく起きましたね。月日は流れ、今やメインとなるゲーム市場はアプリゲームへと場所を移しており、アプリゲームの売上1つで会社の業績に大きな変化が起きるほどの影響力があります。

今回は、現在のアプリゲーム市場の実態、アプリゲームがここまで成長できた理由や今後について考えてみたいと思います。

新しい技術と共に変化してきたゲーム市場

アプリゲーム市場について考える前に、少しばかりゲームの歴史をおさらいしておきましょう。日本で最初に社会現象にまでなったタイトルといえば、1970年代後半に登場した「スペースインベーダー」ではないでしょうか?アーケード市場最大のヒット作といわれており、1年半足らずの間に純正・コピー品などを含め約50万台が設置されました。

これをきっかけに、全国で多くのゲームセンター(当時はインベーダーハウスという名称)やテーブルの代わりにインベーダー筐体を設置した喫茶店が開店するなどの盛り上がりを見せたようです。この数年後、ファミコンなどが販売されゲームの中心は家庭用ゲーム機へと移りました。

1990年代以降、さまざまな分野で技術が進化し日常生活に大きな変化が起きました。インターネットが普及され、パソコンが一般家庭に置かれるようになったのもこの時代ですね。これによりMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)という新ジャンルが生まれ、マルチプレイというシステムが注目されます。

2000年代前半、フィーチャーフォンでSNSブームが起きたのを覚えている方も多いと思います。20代以降の方ならGREEやmixiといえば実に馴染み深いサービスではないでしょうか?筆者も愛用していたサービスのため、名前を見ただけで懐かしい思い出が蘇ります。そして、SNSサービスから今のアプリゲームの原型ともいえるソーシャルゲームが誕生し、インベーダー以来の社会現象となり世間をさまざまな意味で騒がせます。

2010年以降、世界中で盛り上がりを見せているアプリゲームが登場します。アプリゲームの大きな特徴として、ソーシャルゲームの「手軽にできる」はそのままに「本格的なゲーム性」が多くのユーザーを魅了し大人気となりました。

国内のアプリゲーム市場の動向

技術の進化と共に、メインとなるゲーム市場も移り変わっているのがお分かり頂けたかと思います。変化していくゲーム市場の中、アプリゲーム市場は他に類を見ないほど著しく急成長しました。

その証拠に、ゲーム総合情報メディアの「ファミ通」が国内のゲーム市場を調査した「ファミ通ゲーム白書2017」によると、2016年の国内家庭用ゲーム市場規模は3,440億円なのに対し、オンラインプラットフォーム市場は1兆3,801億円となりました。

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出典:ファミ通白書ゲーム2017

オンラインプラットフォームには、ゲームアプリだけではなくフィーチャーフォンのゲーム、パソコンのオンラインゲームを含んでおりますが、国内ゲーム市場全体の約75%を占めておりその差は誰が見ても一目瞭然です。

また、ゲームアプリだけに注目してみると2016年の国内ゲームアプリ市場規模は9,690億円となり、北米や欧州を抜くほどまでに成長しています。(北米9,500億円、欧州4,100億円)ここまでアプリゲームが成長した背景には、日本人ならではの忙しいライフスタイルが関係しているといえます。

従来のゲームはやり込まないと強くなれず成長することができません。ですが、アプリゲームならば「時間をお金で買う」といったように、高性能なアイテムやキャラクターは現金を使うことで手に入れることができます。これにより、ゲームをやり込まないカジュアルプレイヤーでも十分にゲームを楽しむことができ、膨大なプレイ時間を必要としないゲーム性は日本人のライフスタイルにマッチし、さまざまなユーザー層を取り込むことに成功したことが大きいといえます。

もう少し詳しく説明するならば、アプリゲームをプレイするユーザー層は大きく2つに分けることができます。1つは、コンシューマーゲームのようにプレイヤースキルを重視し、やりこみ要素を重視するタイプです。もう1つが、気楽にプレイすることができやり込みを必要としないゲームを求める層です。アプリゲームの良いところは、このどちらもターゲットにすることができるところです。

例えば、プレイヤースキルを重視するようなゲームならば直接の性能に関係するものではなく、アバターなどキャラクターの見た目が変化するものが好まれるでしょう。特に海外のゲーム市場も視野に入れているならば、こちらの販売戦略の方が好まれます。(海外では「Loot Box」と呼ばれ、ギャンブルとみなされる場合が多く好まれない)

反対に、手の空いた隙間時間にプレイするカジュアルゲームならば、ゲームの攻略を簡単にするようなキャラクターやアイテムを販売するのが良いでしょう。この場合、日本では当たり前となった「ガチャ」はこちらになります。

上記のように、ユーザー層は大きく2つに分けることができますが、この両者をターゲットにした戦略が「基本無料」のゲームです。プレイヤースキルを重視する人は攻略を楽にするキャラクターを入手しなければ良いだけですし、反対に気軽に攻略したい方は入手すれば良いだけです。

また、アプリゲームならばスマートフォンでプレイが可能のため初期コストが0です。パソコンや「PlayStation」「Wii」といった製品を購入する必要もありません。これだけで、大きなアドバンテージをアプリゲームは持っているといえます。

成長を続けるアプリゲーム市場も新規参入の余地は無し?

しかし、急成長を続けたということはそれだけ市場に登場したゲームの数も多く、新作を作ったとしても肝心のシステムは出尽くした感があります。そのため、何をしても目新しさが感じられないのが課題となっています。以上のことから、新しい作品を初めから作るよりは既存の資産(ビッグタイトルのゲーム、マンガやアニメ)をベースに制作する方がそのタイトルのファンを取り込めるためリスクを軽減することができます。

それ以外にも、以前までならば少人数のチームで制作しユーザーの反応を見ながら改善していくという運営手段がありましたが、既にアプリゲームは成熟しきった市場です。プレイするユーザーも「最初から完成した作品」を遊びたいと望んでおり、新規ゲームのハードルも高くなっています。バグが多数残るものやゲームシステムの大幅な改修が必要なものなど、プレイしていく上でリスクがあるゲームは好まれません。そう思われた時点で、ゲームを存続していくのは難しいでしょう。

ただでさえ、新作のヒット率が低下しておりゲームアプリ市場はレッドオーシャン化が加速しているといわれています。その中で、新規ゲームが注目されるにはどうすれば良いのか?その答えは、ユーザーとの関わり方が重要になってきます。

ゲーム以外でユーザーとの繋がりを持つことが重要

近年のマーケティングを成功させる秘訣は、顧客に「親近感」を持たせることだと思います。それは某アイドルに始まり、大手メーカーのSNSなどを見れば一目瞭然です。「情報を発信する側が遠い存在」の時代はとっくの昔に終わっています。

ゲームアプリブームのきっかけとなった「パズルアンドドラゴンズ(以下パズドラ)」を運営するガンホーでは、ユーザーサポートを他社に任せず自社で運営しています。それだけではなく、Twitterのアカウントでも頻繁に情報の発信を行い、「ニコニコ生放送」などではプレイしているユーザーとのコミュニケーションを大切にしています。また、ガンホーフェスティバルというガンホーのファン感謝祭イベントを全国各地で開催し、現実においてパズドラ(に関係あるイベント)を体験させ繋がりをより一層強化しています。

このように、ゲーム以外でのユーザーとのコミュニケーションを重視しているのはガンホーだけではありません。「モンスターストライク(以下モンスト)」を運営するXFLAGも、今でこそ当たり前となった多人数で遊ぶマルチプレイシステムの導入や、ユーザー参加型のイベントを積極的に行っています。モンストグッズの販売などをしている「XFLAG STORE」では、広報の方が毎週ゲームの最新情報を公開収録しておりこれを楽しみに店舗へ向かうユーザーも少なくはありません。

また、2016年から「XFLAG PARK(通称フラパ)」というゲームや音楽、eスポーツ(エレクトリックスポーツ、ゲームを競技化したもの)が融合したLive型エンターテインメントを開催。ゲーム以外の部分でも飽きさせない工夫が、さらなるユーザーの獲得増加へと繋がっています。

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出典:FY2018 Q2 決算説明資料

上記のように、マーチャンダイジング(ユーザーのニーズに適切に応える企業活動)などゲーム以外でのユーザー還元を行った結果、売上高862億5200万円(前年同四半期比8.6%増)、セグメント利益390億8700万円(同5.9%増)となりました。

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出典:FY2018 Q2 決算説明資料


以上のことから、長く続いているゲームほどユーザーとのコミュニケーションを大切にしている傾向にあります。新しいゲームタイトルの配信や、これから参入しようとしている企業はぜひ参考にするべき手法でしょう。最近では人気格闘ゲーム「THE KING OF FIGHTERS」のゲームアプリが配信され、それに伴いゲーム内のキャラクターが広報としてVtuber(バーチャルなユーチューバー)デビューもしています。トレンドなコンテンツとすぐに繋がれるのも、ゲームアプリの最大のメリットといえます。

本来ゲームとは架空のデータですが、今のゲームはデータが消えても終わりというわけではありません。SNSでの繋がり、リアルイベントなどによりデータ以上の強い繋がりを作ることが、ゲームアプリを成功させる重要なポイントでしょう。

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180208132702j:plain松本 竜二/フリーライター
不動産営業として勤務の傍ら、フリーランスという働き方を知り退職を決意。ライターとして活躍している先人の著書物を読み漁り、独学と実戦によりライティングスキルや知識を身に付け、IT・ビジネス関連をメインとしたフリーライターとして数々のクライアントからの依頼を請け負い、現在に至る。