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消費税率10%引き上げに備えたキャッシュレス決済への支援とは?メリットや課題も!

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2019年10月1日に消費税率が8%から10%へ引き上げられることが予定されている。増税負担分の緩和のため、政府は中小の小売店や飲食店に対してキャッシュレス決済の導入を支援すると公表している。

果たして支援することで本当にキャッシュレス決済が普及するのだろうか。また、利用者側にメリットはあるのだろうか。本記事ではキャッシュレス決済を促すために考えられている支援内容やメリット、独自の見解を述べていく。

キャッシュレス決済普及に向けた中小支援内容

政府は6月15日に閣議決定した2018年の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)で中小企業と小規模事業者を対象に「IT・決済端末の導入やポイント制・キャッシュレス決済普及を促進する」と明記し、2019年10月に予定している消費税率10%への引き上げ時に、中小の小売店や飲食店に対してキャッシュレス決済の導入を支援する方針を示した。

支援内容は6月24日付の日本経済新聞によると

必要な端末を配布するほか、買い物代金の一部をポイントで還元するための補助を検討する」「買い物や飲食をする人にポイントを付与するためのお金を小売店に補助する案も出ている。購入金額の2%程度を、増税から1~2年に限って補助することを軸に検討を進める。

と記されている。

中小支援による利用者のメリットは?

正式に中小支援が決定されたわけではないが、ポイント制度を導入していなかった小売店がポイント付与を行うことで、集客効果があるであろう。

また、消費税増税が行われることで極力買い物を控える方が増える可能性がある中、ポイント付与を行うことで消費を促進させる狙いがある。もし仮に2%のポイントが付与されるのであれば、増税分以上のメリットがある。価格が100円の商品を購入する際で考えてみよう。

  • 消費税8%…支払額108円
  • 消費税10%…支払額110円(2.2ポイント付与)

こう考えると、実質的に107.8円で購入したことに繋がる。ただ、端数は切り捨てられる可能性が高いため、消費税8%の時と購入価格が同等と考えるのが良いだろう。
消費税増税分を数年間ポイント制度で賄う方針は利用者にとってメリットが大きい。ただ、どの範囲の小売店に支援を行うのか定かではない上、懸念すべき点がいくつかあるため後述で記載する。

キャッシュレス決済に対し政府が動く理由

日本政府は「日本再興戦略」を掲げている。2020年に開催される東京オリンピックまでに、「外国人が訪れる主要な商業施設、宿泊施設及び観光スポットにおいて100%のクレジットカード決済対応及び100%の決済端末のIC対応を実現するため、クレジットカード決済・IC対応端末の普及を促進する」としている。

日本の貨幣の1年あたりの製造コストは約517億円、お金を引き出すためのATMの維持管理費は年間約2兆円にも上ると言われている。キャッシュレス決済に対し政府が動く根本的な理由の1つとして、経費削減であることが伺える。
最近、諸外国と比較すると日本は犯罪が少ないことから、キャッシュレス決済を普及させる必要がないのでは?との声を聞く。キャッシュレス決済は犯罪の減少だけでなく、膨大な経費の削減、決済効率の上昇などメリットが多い。

また、経済産業省によると「現金しか使えないことに不満を持つ訪日客は4割に上る」「キャッシュレス化が進まないまま東京オリンピックが開催され、訪日客が4000万人となった場合、約1.2兆円の機会損失を被る」という試算があると公表している。

外国人労働者の獲得にも繋がる中小支援

2018年の経済財政運営の基本方針には「新たな外国人材の受入れ」と題し、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる新たな在留資格の創設を検討していると記載されている。中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、長時間労働や生産性の低下などが懸念されてきた。

キャッシュレス決済普及に向けた中小支援を行うことで、外国人労働者が働きやすい環境を作り出すことにも繋がる。中小企業や小規模事業者に務めている方々にとって労働環境改善への糸口になるかもしれない。キャッシュレス決済と聞くと金銭のやり取りに焦点が当てられがちだが、意外な点でメリットを被る方がいることが伺える。

日本国内においてキャッシュレス決済は本当に普及するのか

経済産業省は2025年までにキャッシュレス決済の比率を40%まで上げるとしている。今回閣議決定した中小支援は今後内容を更に詰めていくはずだが、キャッシュレス・ビジョンで掲げた目標を達成できるのだろうか。

これはあくまで個人の見解だが、中小支援の内容があまりにも甘い気がしてならない。「必要な端末を配布する」これは素晴らしい。設備投資に資金を割くことが厳しい中小企業にとっては、ためらっていたキャッシュレス決済導入への糸口になる上、外国人観光客の増加も見込める。
更に言えば、決済端末を支援してもらえるということは減価償却する必要がないため利益の増加が見込める。ただ、これらは外国人観光客や外国人労働者の集客に特化しているだけであり、日本国民のキャッシュレス決済普及に繋がるかというと話が別だ。

「買い物代金の一部をポイントで還元」こちらの支援内容はどうだろうか。元々利用金額に応じてポイントで還元している店舗には支援されないのだろうか。還元されるポイントは利用店舗でのみ利用できるものなのか、それともQRコード決済と絡めて様々な店舗で利用できるポイントなのだろうか。

現段階では疑問点が多いが、クレジットカードやデビットカード等の利用時にポイントが還元されることを考慮すると、全くもって真新しさを感じない。斬新で画期的な還元方法であることに期待したい。例えば、キャッシュレス会員のようなものを作り、キャッシュレスで決済した方は決済手段の内容を問わず数%のポイントを還元するといったものや、キャッシュレス事業者と政府が手を組み、そもそもの還元率を増加させるなど。例として挙げたが、それほど斬新で利用者が魅力を感じる案を出さなければ現金主義国家である日本国民の心を動かすことは難を極めるのではないだろうか。

「購入金額の2%程度を、増税から1~2年に限って補助することを検討」これは非常に謎である。開始1年~2年は事業主にとってありがたい施策だが、そんな短期間で良いのだろうか。
消費税が増税されるのは2019年10月であるため、多く見積もっても2021年には補助を終えることになる。2025年までにキャッシュレス決済の比率を40%まで上げると掲げていながら、目標期間まで4年を残し補助を終えてしまう。補助を終えた後の事業主はポイント付与を辞めてしまうかもしれない。

政府は日本の未来のためにキャッシュレス決済を推進しているはず。であればこれらの施策は先行投資であると言える。目標としている期日まで4年を残し先行投資を辞めてしまうのは本当にキャッシュレス決済を導入していきたいとは思えない。

キャッシュレス決済が魅力と思える政策に期待

キャッシュレス決済は利便性が高いことから魅力的だ!語ったところで、利用者が伸びるかというとそうではない。今後キャッシュレス決済利用者を増加させていくためには、キャッシュレスという決済手段を利用することに魅力を感じるようにしなければならない。

3年間でクレジットカードの使用金額が7倍にも増えた韓国の事例を見てみよう。韓国では1999年に「年間カード利用額の20%を控除する」といった制度を設けた。

www.recordchina.co.jp

これにより結果としてキャッシュレス決済の比率が上がっているのだ。日本は韓国の成果を考慮し、所得控除案を議論し、2019年度の予算と税制改正等に反映する計画であるとの声もある。

今後どのような政策を打ち出しキャッシュレス決済を促進していくのかは定かではないが、基本的には現金を持ち歩かない筆者にとってキャッシュレスで決済できる店舗が増えてくれると大変ありがたい。
自動販売機で飲料を購入する際スマホで決済を行っているが、種類によってスマホ決済が行えない自動販売機も中にはある。これは事業者側がキャッシュレス決済に魅力を感じていないからこその結果である。今年から来年までの間にキャッシュレス決済推進のための基本方針が策定されるであろう。利用者、事業者共にメリットを享受できるシステム構築に期待するしかない。

shogyokai.jp
www.nikkei.com

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180405174056j:plain武田 宏輔/フリーライター
食品会社での勤務を経てフリーランスとして独立。現在は数多くのセミナーや本で培ったライティングスキルを活かし、金融関連のフリーライターとして活動する傍ら、ファンド投資や為替取引等で資産運用を行っている。