Money Clip

お金に関するニュースをクリップ!

小学校で始まるプログラミング教育の必要性は?子供たちは何を学ぶのか?

f:id:Money_Clip:20180711184348j:plain

2018年度から新しく、小学中学年の間に英語の授業が前倒しで導入されるようになりました。さらには、2020年度からはプログラミングも必修化されるようになり、小学生のお子様を持つ保護者の方は大きく変化していく義務教育の環境に不安を覚えるかもしれません。今回は、子供たちが学ぶプログラミングの意味について、文部科学省が公開している資料などをもとに確認していきたいと思います。

プログラミング教育の目的とは?

文部科学省が、学習カリキュラムを編成する際の基準として公開する新学習指導要領にて、政府は2020年度から小学校でプログラミング学習を始めるとしています。保護者の方からすると「なぜ小学生にプログラミングを学習させる必要があるのか?」「プログラミングを小さいうちから覚えさせ、映画に出てくるようなエリートプログラマーを作るの?」と疑問に思う方は非常に多いと思います。しかし政府は「プログラミング教育の目的は、プログラミング言語を用いた記述を学ぶためではない」としており、実際に学ぶ理由は、「プログラミング的思考」を育むためとされています。

プログラミング的思考とは、今後も大きく変化していくであろう環境や技術に柔軟に対応し、課題を解決するためにはどのように物事を進めれば答えに辿り着くのかを導き出すための「論理的思考力」のことです。また、実際にプログラミングという教科が作られるのではなく、保護者の方でも馴染みのある「算数」や「理科」、総合学習の時間などに組み込まれます。そのため、プログラミング学習の内容や時間は各学校により変わるため、蓋を開けてみないことには学習効果は未知数といえます。

それだけではなく、実際に行う授業内容も残念ながらまだ決まってはいません。現段階で既に対応し、前倒しで導入を始めている学校もあるにはあります。しかし、多くの教育現場では現在も導入に向けて授業内容を検討中のところが多いでしょう。最も考えられているのは、プログラミングというよりあくまで論理的思考を作るための理科の実験に近いような内容になるのではないかと思います。もちろん、高校生になれば本格的にプログラミング言語を用いたプログラム作りが始まることが考えられます。

小学校プログラミング教育の手引(第一版):文部科学省

保護者の理解力は?

今までは、早くても中学の学習で情報の1つとして学んでいたプログラミング。今後プログラミング学習が導入されることについて、保護者の方はどう思っているのか?株式会社学研ホールディングスのグループ会社「学研プラス」が、30~40代の女性200人を対象にプログラミング教育の認知度についてインターネット調査しました。その結果、4人に3人はプログラミング教育について「知らない」と回答しており、まだまだプログラミング教育が認知されていないことが分かりました。

f:id:Money_Clip:20180711184427j:plain
prtimes.jp

すぐに始まるわけではありませんが、事前の準備が全く必要ないというわけでもありません。もう少し、各方面が協力をして保護者の方への認知を広める努力をした方が良いのでは?と不安に思う結果となりました。

他にも、既にプログラミング教育を実施している全国の私立中高一貫校を対象に、コアネット教育総合研究所が実施の有り無についてアンケート調査を行いました。調査の結果、プログラミング学習を実施している学校は約6割となり、プログラミング教育を様子見する学校も少なくはありませんでした。

f:id:Money_Clip:20180711184517j:plain
core-net.net

実施していない学校の理由としては「教員のスキル不足」が半数を超える結果となり、2020年までに情報科目の知識・プログラミングスキルだけではなく指導免許の取得も望まれています。しかし、部活顧問などを担当している教員からは負担増加を懸念されており、プログラミング学習を教えることができる環境を準備できるかは難しい状況といえます。ましてや、現場の教育者だけは授業内容を検討するのも難しい分野です。これを解決するためには、フリーランスエンジニアなどの外部人材を派遣するといった手助けを、国や自治体が率先して行うといった協力関係が期待されます。

また、プログラミングを学ぶ環境として「ICT(Information and Communication Technology)」の導入が必要になります。ICTという単語、初めて聞く方も多いのではないでしょうか?IT(Information Technology)とほぼ同義の言葉ですが、ITはコンピューター関連の情報技術だけを指します。一方ICTは、コンピューター技術やそれを活用することを指し、知識の共有や伝達といった意味もあります。海外などでは、どちらを指す場合でもICTという言葉が使われているため、日本でもITという呼び方からICTという呼び方へ変わりつつあります。

世界では既にプログラミング学習は始まっている

小学生が習うプログラミング学習についてご説明しましたが、それでも日本にはまだまだ馴染みのないプログラミング学習。内容を理解した上でも、小学生のうちからそんなことを学習させるのは早いのでは?と思う保護者の方もまだ十分いると思います。筆者も「プログラミング学習」という単語を聞いた段階ではそう思っていました。しかし、調べてみると世界の先進国では20年以上も前から既にプログラミング学習ともいえる教育は始まっているのです。

IT関連のことに関しては、海外と比べ数年以上の遅れがあるといわれている日本。海外の初等教育(小学校に相当)では、プログラミングが必修になっている国が幾つかあります。例えばイギリスですが、2013年から全学年にアルゴリズム(コンピューター内で行われる問題解決への手順・計算方法)の理解やプログラミング言語の学習を取り入れた授業を必修化すると定めました。他にも、コミュニケーションツールとして世界中で使われている「Skype」、そのSkypeを生んだエストニアでは2012年から始まっており、マイクロソフト社がこれを支援しています。

また、アジアではお隣の国の韓国も2007年には既に選択科目として導入もしており、日本がどれだけICT(IT)関連への取り組みが遅れているかが分かると思います。また、プログラミング学習の必修化から、常に人手不足なIT業界の技術者も将来的には充実するかもしれません。

techacademy.jp

プログラミング学習により上場企業が増加する?

また、早い段階からプログラミング教育を行ってきたイスラエルでは、アメリカのNASDAQ市場への上場企業数が他の国よりも頭一つ抜けた2位にまで成長しました。これは、子供の頃からプログラミングという環境に触れておくことでITの基礎を作り、多くの成功したスタートアップ企業を作る基盤となりました。また、成功したスタートアップ企業の中には、数千億円規模の非常に大きなM&Aの対象にもなっています。

日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、現在イスラエルは世界中の企業から注目されるほどのICT先進国になっています。特に、イスラエル国防軍の情報技術のレベルは非常に高く世界でも指折りのトップクラスです。また、優秀な生徒には大学などの学費を軍が支援するなどといった取り組みもそれを後押しする形となっています。

このように、海外のプログラミング学習導入事例を見ていくことで、ICT(IT)導入の重要性、将来的な技術進歩を視野に入れたときの必要性も理解することができると思います。

www.fnn.jp

次世代のリーダーを育成するために

最も、プログラミング学習を始める目的として最大の理由は、これから始まる第4次産業革命などに向けた次世代のリーダー育成への取り組みが一番の理由だと思います。

日々刻々と変化していくIT技術、常に教えてくれる人がいるとは限りません。時には、自分で考え自分で行動し課題を解決しなくてはいけないときが必ず来ます。そのときに、ロジカルに解決策を導き出すためにも、プログラムのようなスマートな思考が必要になってくるのではないでしょうか?

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180208132702j:plain松本 竜二/フリーライター
不動産営業として勤務の傍ら、フリーランスという働き方を知り退職を決意。ライターとして活躍している先人の著書物を読み漁り、独学と実戦によりライティングスキルや知識を身に付け、IT・ビジネス関連をメインとしたフリーライターとして数々のクライアントからの依頼を請け負い、現在に至る。