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NISA-金融機関職員約100名から説明を受けて感じた注意点&デメリット

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「NISA」は、その言葉を知らない人はいないほど身近になりつつある、株や投資信託などをおこなう際に活用する制度のひとつです。ただ、このNISAのメリットとデメリット、注意点などについて詳しく知っている人は意外に少ないようです。
実際、金融機関職員約100名から説明を受けて感じたのは、「メリットばかりが記憶に残ってしまう」ということでした。

では何故、メリットばかりが記憶に残ったのでしょうか?
それは簡単です。メリットばかりを強調して説明する職員が非常に多かったからです。
そこで、金融機関職員約100名からNISAの説明を受けて感じた注意点やデメリットについて、注意喚起のためにまとめてみました。

よく聞くけど、「NISA」って何だろう?

「NISA」とは、毎年決められた範囲内で金融商品を購入し、得られた利益が非課税になるという制度です。そして「非課税」とは、「税金がかからない」という意味です。
NISAは、「NISA口座(非課税口座)」と呼ばれる専用の口座を作ることでスタートできる、投資信託などをおこなうためのひとつの手法となります。
2016年1月からスタートした、「ジュニアNISA」や2018年1月に販売を開始した「つみたてNISA」も仲間入りし、さらに身近に感じられるようになった制度です。
では、それぞれの特徴についても見ていきましょう。

www.jsda.or.jp

NISA

別名「少額投資非課税制度」と呼ばれ、個人投資家のための税制優遇制度として、2014年1月にスタートした制度です。
2018年現在、毎年120万までの非課税枠ができ、その範囲内で購入した金融商品の配当・譲渡益などが非課税の対象となります。つまり、毎年120万までの金融商品を購入することができ、得られた利益には税金がかかりません。

ジュニアNISA

別名「未成年者少額投資非課税制度」と呼ばれる制度で、名前の通り、未成年者が対象となっています。ちなみに未成年者とは、0歳から19歳までのことです。
非課税投資枠は年間80万円で、その範囲内で購入した金融商品の配当・譲渡益などが非課税の対象となります。

つみたてNISA

特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
年間40万の枠ができ、その範囲内で購入した金融商品の配当・譲渡益などが非課税の対象となります。
非課税期間が20年と、NISAの4倍長くなっています。また、販売商品については細かい決まりがあり、公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。

そもそも、金融機関の職員はどうしてNISAを説明したか?

これは、金融機関職員約100名から説明を受けて感じたことです。
どの金融機関を回っても、みんなが口を揃えて同じNISAについて説明をおこなってくれるため、特に一番よい手法ではないのかもしれないと疑問をもちはじめます。
疑問をもつ理由は、ほとんどの金融機関職員が、NISAならNISAの説明しかしないからです。

例えば、こちらのニーズをよく聞いたうえで、「◎◎様のニーズをお聞きしていると、先日スタートしましたNISAが扱いやすいかもしれません」などと説明してくれた場合、こちらのニーズに沿った手法や商品を案内してくれていると感じます。
しかし、ほとんどの金融機関職員は、そうではありません。

「資産運用について聞きたい」と言うと、突然NISAの説明をはじめるのです。
もちろんNISAは、配当・譲渡益などが非課税の対象になるお得な制度です。けれど、最初からNISAの説明しかなければ、「資産運用するならNISAしかない」ような感覚すら持つ人もいるでしょう。
だから私は、こちらのニーズも聞かないままNISAの説明をおこなう金融機関職員は不親切だと思いますし、そういう金融機関職員には手続きをお願いしたくないと思っています。

ただ、普通のお客様は、いくつもの金融機関で説明を聞くことがないため疑問を持つことは少ないようです。
金融機関職員の多くは、テレビCMや話題になっている商品を説明し、ノルマ達成のために頑張っています。しかしそれは金融機関職員が悪いというわけではありません。説明を聞く側が、注意する必要があります。

資産を運用しようと思えば、他にも個人年金保険や積立利率変動型終身保険などの保険商品もあります。もちろん、銀行などの金融機関でも販売されています。
もし、手堅い資産の運用を考えているのであれば、金利は低いですが定期預金という方法もあります。

さてここで、1つめの注意点です。
金融機関に資産運用の相談に行くと、高い確率で投資信託などのリスク商品について説明があるため、つい勘違いしてしまうのですが、そもそも「資産運用」とは、自分の持っている資産を増やす目的で貯蓄や投資をおこなうことであり、「必ずしも投資をしなければならない」というわけではないのです。

ですから金融機関に資産運用の相談に行く前にまず、資産運用に使える金額や、どのぐらいのリスクであれば許容範囲なのか、について決めておく必要があります。
リスクの許容範囲を決めるのは難しいですが、ここではザックリと、「ハイリスクOK」「ローリスクがいい」というリスクの幅を決めておきましょう。

そして、資産運用したいお金に対し、「大きな利益が期待できるなら失っても良い」「絶対に1円たりとも減るのは嫌」など、どのような考え方をしているのか、もう一度よく整理しておきましょう。
自分の決めたリスクの許容範囲と資産運用に使うお金に対する考え方を伝え、「資産運用を考えていますが、定期預金や個人年金なども含め、こちらではどのような資産運用法がありますか?」と尋ねてみてください。
きっと、複数の資産運用法を説明してくれることでしょう。

NISAの注意点とデメリット

NISAのメリットばかりが記憶に残ってしまうような説明では、残念ながら、本当に「NISA」という手法が自分自身に合っているかどうかがわかりにくくなってしまいます。
そこで、NISAの注意点やデメリットをまとめてみましたので、こういった部分を踏まえて「NISA」が自分自身に合っているかを判断してみてくださいね。

元本割れのリスクがある

預けたお金がそのまま返ってくるとは限りません。増えることもあれば、もちろん減ることもあり、元本割れのリスクがあります。

NISA口座は、各金融機関で1つしか作ることができない

口座を変更することはできますが、複数の金融機関でNISA口座を持つことはできません。

課税口座で運用している株や投資信託を移すことはできない

例えNISA口座を作っても、課税口座で運用している株や投資信託を移すことはできません。
もちろん、課税口座で運用している株や投資信託から得られた利益は課税対象となります。

損益通算ができない

課税口座は複数持つことができますが、Aの口座で10万の利益が出ていて、Bの口座で10万の損失が出ている場合、損益通算すると0円の利益となるため、税金がかかりません。
ただ、Bの口座がNISA口座だった場合、課税口座であるAの10万は課税対象となります。

損益の繰り越しができない

課税口座の場合、3年間赤字を繰り越すことができます。
しかし、NISA口座の場合は赤字を繰り越すことができません。
売却損が出た翌年に課税口座で利益が出た場合に、この損益の繰り越しが関わってきます。

非課税枠の繰り越しができない

年間120万のNISAの非課税枠を次の年へ繰り越すことはできません。そのため、2018年に60万の金融商品しか購入していなくても、2019年の非課税枠は120万となり、増えることはありません。

非課税の枠は5年間のみ

2018年現在、非課税枠は5年間となり、5年経つと、購入した金融商品を売却するか、課税口座に移すか、どちらかを選択しなければなりません。

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こういった注意点やデメリットについての説明が無い場合には、金融機関職員へ尋ねることをオススメします。
上記で挙げた注意点やデメリット説明は、はじめてNISAの説明を受けるお客様に対し、網羅しておくべき説明事項です。そのため、こういった説明をしてくれない金融機関職員には、二通りのパターンが多く見受けられました。

1つめは、「知っているだろう」「特に説明するとではない」という、初心者に不親切なパターン。
もうひとつは、「実はNISAの説明に不慣れな職員」というパターンです。
こちらが尋ねて詳しく説明してくれた場合には、そのまま説明を受けても良いと思います。


ただ、以下の場合は説明を受ける担当者を変更したほうが無難でしょう。

  • こちらが尋ねても面倒臭そうな対応だった場合
  • じゅうぶんに説明できなかった場合
  • 職員の説明がよく理解できない場合


大切な資産を預けるわけですから、遠慮は一切不要です。
説明をはじめる前にしっかりと、資産運用に使うお金に対する考え方やリスク許容の範囲、ニーズを聞きとり、こちらに合った手法や商品を説明してくれること。そして、デメリットや注意点も含め、どうしてその手法や商品を案内したのか、わかりやすく、しっかりと説明をおこなってくれる担当者が良い職員だと言えるでしょう。
これが、2つめの注意点です。

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「資産運用」という考え方からしっかりと見直そう

NISAは投資信託をおこなう際、一定の条件の元、決められた範囲内で購入した金融商品の配当・譲渡益などが非課税の対象となる制度です。ただ、メリットだけでなくデメリットもあり、そもそも投資信託とは、元本割れの可能性もあるリスク商品です。

ほとんどの金融機関職員は、元本割れするリスクやリスクヘッジなどについては説明してくれますが、「いま持っている資産を、リスクを背負ってまで投資する必要があるのか」までは考えてくれません。

「この前、日経平均株価が下がって、私の買った商品も買ったときより基準価格がちょっと値下がりしちゃったんですけど、長く置いておけるので、また上がるかな?と思ってます。これが長く置いておけるというメリットだと思います」などと説明してくれる職員も複数いましたが、よく考えてみてください。投資期間はいつか終わりますし、値下がりし続けることもあります。
金融機関職員約100名から話を聞き、「失っても良い」と思えるお金以外は、正直、リスクのある商品を購入したくないと思いました。

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180523134604p:plain山内 良子/コンサルティング・ライター
金融系や資産運用系の記事を得意とするが、旅行、不動産、住まい、美容関連、小説などジャンルは幅広い。情報量があふれている現代で、「何を選択するか」はとても重要。幅広い知識を生かしつつ入念な下調べをおこない、読者の選択に役立つ記事の執筆を心がけている。