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5G通信がスタートするとこれまでの全てが一新される

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ITテクノロジーの急速な進化により、数年前までは不可能といわれていた技術がどんどん実現可能な世界になってきています。
例えば、1999年9月11日に公開され当時は大きな話題となったSF映画「マトリックス」ですが、公開当時は「こんなことが実際に起きるわけない」と誰もが信じていませんでした。ですが、次世代型高速通信「5G」により不可能だったコンテンツや技術が可能になろうとしています。実現されれば世界中に大きなイノベーションを生む5G通信、今回はその可能性について解説していきたいと思います。

2018年2月末「モバイル・ワールド・コングレス」にて驚きの発表

近年、世界中を驚かせるニュースが発表されました。2018年2月末、スペインのバルセロナで開催された世界最大のモバイル機器見本市「モバイル・ワールド・コングレス」

www.mobileworldcongress.com


これは、各国のモバイルメーカーが集結して最新機種の展示や、各メーカー(端末製造や販売会社、コンテンツ会社など)の有名最高経営責任者が出席するカンファレンスを開催し重大発表をするなど、毎年世界中から大きな注目を集めています。

そして、今年は世界中に大きな衝撃を与える発表がされました。その発表というのが、各国のモバイルメーカーや通信機器メーカーが、次世代通信規格である5G通信の商用可を前倒しすると表明したのです。

IT先進国でもあるアメリカでは「ベライゾン」「AT&T」の通信大手2社が、今年中を目標に商用可に踏み切ると発表しています。他にも、欧州では「ボーダフォン」「オレンジ」といった通信大手が5G通信の運用に向けてプロジェクトをスタートさせました。
当初は2020年、オリンピックに併せて実用化・商用可を目標として発表されていただけに、これには世界中に大きな驚きと関心が寄せられました。

moneyforward.com

5G通信の何がそこまで凄いのか?

それでは、5G通信の何がそこまで凄いのか?もちろん、5G通信になることで速さが数倍上がるといった簡単な話しだけではありません。これからの新しい技術、既存の技術をパワーアップさせるには非常に重要な部分なのです。
まず、5G通信の要求条件「大容量化」「高速通信」「低遅延」「超多数端末の同時接続」「低コスト・省電力化」が含まれています。それぞれ、順々に説明していきたいと思います。

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出典:IHS MARKIT TECHNOLOGY

まず「大容量化」ですが、主な目的として今後も増大するであろうトラフィック(一定時間内に転送されるデータ量)への対処を目的としています。なぜなら、日本で最も高速と呼ばれているNTTドコモのLTE(最大788Mbps)の25倍にあたる20Gbps以上の速度での通信が可能になるため、それに対応できるようにならなくてはいけません。普段の生活でそこまで速度は必要ないと思うかもしれませんが、身の回りのデータも少しずつですが大容量化が進んでいます。

例えば、8Kテレビで30分録画をした場合は約500GBもの容量になります。500GBものデータを送受信するとなったら、現在の4G通信では時間が掛かり過ぎてしまい非常に時間が掛かってしまいます。ですが、5G通信ならばかなりスムーズにやり取りができるようになります。

次に「高速通信」、これは動画を使ったリッチコンテンツの多様化やクラウドサービスの普及具合から見ても、既存の4G通信の速度では難しくなってきています。現状、4G通信のインフラ設備は国内のほとんどをカバーしており、カバー率だけで見たら十分に思うかもしれません。しかし、ピーク時や混雑した場所などでは速度遅延が頻繁に発生します。そのため、時間帯や場所に関係ない十分な通信品質を提供していくために、さらなる高速通信化は重要な部分であるのです。

「低遅延」ですが、インターネットでLIVE動画などの生配信を見ている方は、双方のやり取りにタイムラグがあることに気付いてる方もいると思います。なんの問題もなく通信できているように見えて、実はインターネットの中では送信されてから受信するまでの間に数秒の遅延が発生しています。現行LTEの遅延は50ミリ秒とされていますが、5G通信になるとこれを1ミリ秒にまで小さくすることができます。一見するとそこまで重要に思えない部分かもしれませんが、これにより誰かの命を救えるかもしれないほど重要な部分に関係してきます。その1つが、最近話題にもなっている車の自動運転などの遠隔操作をする分野です。また、この低遅延で触覚通信(離れた場所でも触覚の情報が伝わる技術)の性能も格段に上がります。それにより、医者と患者が遠く離れた場所での遠隔手術にも応用することができます。また、現実世界にバーチャル視覚情報を重ねるAR(拡張現実)といった分野での新サービスにも期待することができます。

「超多数端末の同時接続」ですが、これもスマートフォンだけに限った話しではありません。最近注目されているモノとインターネットを繋げる仕組み、「IoT(モノのインターネット化)」において非常に重要になってきます。特に、IoTデバイスはこれから急速に増加していくことが予測されています。

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出典:総務省|平成28年版 情報通信白書|平成28年版 情報通信白書のポイント

例えば、IoT化が進むと自宅の部屋内だけでも約100個近くのIoTデバイス・センサーがネットに繋がっていることになります。そのため、既存の4G通信では十分にトラフィック処理をすることができず、どんどん遅延が大きくなっていきます。この自体に対応するためにも、5G通信は必須の技術なのです。

「低コスト・省電力化」では、今まで以上の高い性能と品質を目標にする一方で、それを利用するユーザーに対してネットワークコストを削減し、現在のWi-Fiアクセスポイントと同じ程度のものにしなくてはいけません。せっかく高い性能の通信サービスが開始されても、それに対してのコストが高くなってしまっては意味がないからです。また、高い性能を維持するための電力でも同じです。エコロジーの観点からも地球環境を考えて作り、消費電力を4G通信と同じくらい、可能ならばもっと低電力化を目指すことも重要になってきます。それには、IoTデバイスなどのバッテリーの長寿命化も重要になってきます。

これら全てを達成すれば新しい技術革新が始まる

これら全てを達成したときに、世界のさまざまな分野で多くの技術革新が起きることでしょう。例えば、上記の「低遅延」が達成した場合には車の自動運転は当たり前の世界になるはずです。信頼と安心が必要な分野だからこそ、低遅延化が非常に重要な部分といえます。

4G通信の遅延速度ですと、ブレーキを踏んでから1メートルほど進んでしまうため誤差の範囲とはいえず、安全性が高いとはいえません。ですが、5G通信になることで数センチの遅れに留めることができるようになり、誤差の範囲といえるほどに収まります。そのため、本格的な実用化に向けて大きく前進することができます。

また、低遅延化することで今までは難しかった「遠隔手術」も可能になります。遠隔手術とは、文字通り離れた場所にいる医師がロボットアームとVRを使い遠くの地から手術をすることです。手術室の映像はVRのヘッドマウントディスプレイに送られ、感触の再現は力や振動などを使い皮膚感覚をフィードバックさせるハプティクス技術を用いります、これにより、装着している手袋に感覚をフィードバックすることでよりリアルな手術が可能なのです。遠隔手術の問題点でもあった、映像の遅延やロボットアーム操作の精密性も5G通信になることによりほぼ解決できると期待されています。

さらに期待できるのが、5G通信を使うことによる「無人運転」の技術です。これは自動運転の技術を応用し、日本の大手携帯キャリアでも多種多様な検証が行われています。例えば、ソフトバングでは2018年3月27日に茨城県城里町で5G通信を使ったトラック隊列走行のデモが披露されました。縦列を組んだ3台のトラックを28Ghz帯の無線通信で接続し、有人1台のトラックを先頭に無人の車両が2台縦列を組んだまま走行させるといったものです。これには、物流業界が抱えている深刻なドライバー不足や高齢化という大きな課題を解決する鍵になるとして期待されています。

他にも、KDDI・大林組・NECが5G通信を使い建機の遠隔施工に成功しました。無人施工といった技術、実はさほど珍しいものではありません。現在でも、災害現場などの危険な場所では無人施工が行われています。しかし、4G通信の中でも一番メジャーな規格であるLTEは下り優先の設計になっており、現地から映像を送る上り速度は早くありません。そのため、無人とはいいつつも現場に無線LANを設置する必要や、作業員があまり離れることができないなど弱点が存在しました。しかし、5G通信に変えることでどんなに遠く離れた場所からでも遠隔操作で安心・安全に無人施工ができるようになるのです。

このように、多くの分野で技術革新が起きることは間違いありません。数年後には、無人の自動運転の車でオリンピック会場に向かうか、もしくはVRを利用した8K映像で現地にいるかのような映像を見るかといった贅沢な選択を迫られる日が来るかもしれません。

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SF小説のような未来がすぐそこにある

いかがでしたでしょうか?5G通信が始まることにより、今まではSFの世界だったようなことが現実に起きようとしています。映像のホログラム化、今まで以上に高性能なAIの誕生、よりリアルな仮想現実世界の実現など、この分野の発展は既存の技術全てを一新するほどのパワーを秘めています。

既に、この技術革新が違いと気が付いている企業も多数存在します。既に京セラは、5G通信の重要性を理解し設備投資に1,000億円ほど投資すると発表しています。今後は京セラに追随するように、各携帯キャリアや通信機器メーカーも次々と大きな投資をしていくことでしょう。今後この市場が、日本経済にどのような流れを生むか慎重に品定めしていく必要があります。

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180208132702j:plain松本 竜二/フリーライター
不動産営業として勤務の傍ら、フリーランスという働き方を知り退職を決意。ライターとして活躍している先人の著書物を読み漁り、独学と実戦によりライティングスキルや知識を身に付け、IT・ビジネス関連をメインとしたフリーライターとして数々のクライアントからの依頼を請け負い、現在に至る。