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スマートフォンの普及率は減少したが経済効果はさらに拡大していく

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成長し続けていたスマートフォン市場、しかし前回の記事でこの勢いも失われつつあることをご説明しました。それにもかかわらず、いまだに多くの企業がスマートフォンという市場をビジネスの要にしようとしています。

もちろん、メディア運用などはいまだにスマートフォンが最適な媒体であることに変わりはありませんが、それだけでは決め手に欠けます。今回は、普及率が減少してもスマートフォンの経済効果は下がるどころか、拡大していくと予測されている理由についてご説明していきたいと思います。

Googleが発表したモバイルファーストインデックス

まず、スマートフォンの経済効果が拡大される最大の理由ともいえるのが、検索エンジンの最大手Googleが2018年3月27日にMobile First Index(MFI)という検索結果の順位決定を行うことを発表しました。MFIとは、これまで検索エンジンはパソコンサイトの内容をもとにクオリティや検索結果の表示順位を決めていました。しかし、今後はパソコンサイトではなくスマートフォンサイトの評価をメインに表示順位を決めていくということです。

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これにより、スマートフォンサイトで表示される文字の大きさ、レイアウトがスマートフォンに最適化されていないページは、必然的に検索結果の表示順位が下げられてしまいます。つまり今後は、全てのウェブサイトがスマートフォンに対応しているかが優先され、対応しているか、してないかを基準に検索順位が決定されるというわけです。もちろん、完全にスマートフォンだけではなく、従来のパソコンでの表示も関係してきます。

この理由はいくつかありますが、最大の理由は間違いなく2015年に発表された「モバイルの検索がデスクトップ検索を超えた」ことと関係しています。皆さんも心当たりがあるのではないでしょうか?筆者自身、簡単な検索をするときはいちいちパソコンを起動するよりもスマートフォンで検索する頻度の方が高くなっています。
これには、スマートフォンの性能が向上したことはもちろん、世界的にもインターネットインフラの設備が整い野外でのインターネット利用がしやすくなったことも関係しているといえます。

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引用:平成29年版 情報通信白書

もちろん、書類を作成したり長文を打ち込んだりという作業はいまだにパソコンの方が良いですが、何かを調べるといった簡単な作業にはスマートフォンといった携帯デバイスが最も適しています。ましてや野外で調べごとをする際に、いちいちパソコンを起動させるよりも手が空いたすきに調べることができるスマートフォンの方が、利便性が高く使用できるシチュエーションも限定されません。
このように、こういった理由からユーザー満足度を向上させるためにはスマートフォンをメインとした検索結果を表示させる必要があるのです。

スマートフォン市場が伸び悩んだ理由は他社との差別化の失敗

スマートフォン市場が伸び悩んだ最大の理由、それは各社が力を入れる部分が似てしまい他社との差別化の失敗による原因が大きいといえます。
近年のスマートフォンが力を入れている部分といえば、CPUなどの処理性能やディスプレイ・カメラの解像度の高さなどが話題に上がります。CPUなどの処理能力は使用しているうちに分かりますが、ディスプレイやカメラの解像度は既にかなりの高性能のため、一般人の方にそこまでの高解像度の違いは分かりにくい部分でもあります。

現に、人間の網膜が認識できるピクセル密度は300ppi(ppi=ピクセル密度、密度が高ければそれだけ細かい表現ができる)が限界といわれており、250ppiを超えたらほとんどの人は違いが分かりません。そのため、スマートフォンを製造する企業はディスプレイや解像度ではなく、新たに他社との差別化を狙う新しい動きを開始しました。

その1つが、iPhoneと同じく高いブランド価値を持っているSamsungの「Galaxy」です。今年1月に開催された世界最大級の家電見本市「CES2018」、そこで「Foldable(フォルダブル)」と呼ばれる折りたたみ式のスマートフォンのプロトタイムモデル「Galaxy X」を一部関係者にのみ公開したという噂があります。

スマートフォンといえば、近年はファブレット化(5.5インチ以上7インチ未満のスマートフォン)が進み画面も大きくなってきています。しかし、画面が大きくなる一方で操作性の問題も出てきています。
そこでただ単に大型化にするのではなく、折りたたみ式にすることで片手での操作性を確保し、なおかつ画面もタブレットのように大画面にすることが可能になります。この折りたたみ式スマートフォンが、今後の市場に新たな流れを生み出すことは間違いないと推測されます。

しかし、折りたたみ式のスマートフォンに着手しているのはSamsungだけではありません。LenovoやLGエレクトロニクス、格安ながら高性能スマートフォンでお馴染みのHuaweiでも折りたたみ式スマートフォンの開発が進められているといいます。今後どの企業が最初に折りたたみ式のスマートフォンを販売し、他社との差別化をリードし新しいブランド力を確立するか非常に楽しみでもあります。

新しい企業もスマートフォン市場に参入

さらには、既存のメーカーだけではなく別ジャンルのメーカーからも新規参入が期待されています。シネマなどプロ向けのカメラメーカーでもある「RED」から、ホログラフィックディスプレイを搭載したスマートフォンの開発をしているという発表がされました。ホログラフィックディスプレイとは、特殊なフィルムなどに特殊な光線(レーザーなど)を当てることにより、立体画像を表示する機能のことをいいます。
もしこの機能が搭載されたスマートフォンが販売されたら、他社との差別化は大成功といえるでしょう。
さらには、近年注目されているビジネスモデルに「モノのIoT化」があります。

gigazine.net

モノのIoT化にはスマートフォンが必要不可欠

今後ビジネスモデルの要ともいえるのが、筆者自身が何度も紹介しているモノとインターネットを繋ぐ「Internet of Things(IoT)」というビジネスモデルです。皆さんも生活に使う電化製品を思い出してみてください、テレビやペット用カメラなどそのほとんどがインターネットに接続されていると思います。既に多くの製品はIoT化が進んでおり、最近では玄関ドアのロックやカーテンの開け閉めにもスマートフォンで操作ができるようになりました。

そしてこのIoT化に最適なシステムを開発するのには、スマートフォンを利用するのが最も適しているのです。その理由の1つに、スマートフォンを利用することにより専用デバイスを制作する必要がなくコストを抑えられ、また使い慣れているスマートフォンで操作可能のため、操作性の不明確さをなくすことができます。

最近では、熱電動テクノロジーを利用し僅か数分で15~35℃に温度調節ができるTシャツまで発売されました。このTシャツの温度調節も、もちろんスマートフォンを利用して行います。
また、この取り組みは行政でも着実に浸透してきています。横浜市交通局ではMAMORIO社の紛失防止タグを活用した「お忘れ物自動通知サービス」を、正式に導入すると発表がありました。
所持品に専用紛失防止タグを取り付けることにより、駅や営業所に紛失した品物が届けられた場合にタグから発せられている電波を検知し、位置情報をスマートフォンに通知されます。また、この紛失物の位置情報は他のMAMORIOユーザーが検知した場合でも、持ち主のスマートフォンに位置情報が届くため離れた場所にいったとしても見つけやすくなります。

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今度はスマートフォンがないと生活が不便になる

このように、既にスマートフォンはただの電化製品以上の存在になっています。家電の電源のON/OFFだけではなく、QRコードがあればATM出入金取引が可能になるなど生活の重要な部分にはスマートフォンが存在しています。個人的には、AIがもっと進化し家族の一員のような存在になる時代が早く来ないかなと期待しています。

しかし一方で、日本企業はこういった新しい波に乗るのを苦手としており、ただでさえ先進国の中で多数のIT分野で遅れているのも事実です。上記の理由から、スマートフォン市場は今後も縮小するどころかテクノロジーが進化すれば進化するほど拡大していくのは明白、少しでも世界に追いつくために日本の企業には勇気を出して、あと一歩踏み込んだ開発を期待したいところです。

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180208132702j:plain松本 竜二/フリーライター
不動産営業として勤務の傍ら、フリーランスという働き方を知り退職を決意。ライターとして活躍している先人の著書物を読み漁り、独学と実戦によりライティングスキルや知識を身に付け、IT・ビジネス関連をメインとしたフリーライターとして数々のクライアントからの依頼を請け負い、現在に至る。