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終身雇用の時代は終わった?転職をするなら今がチャンス

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有効求人倍率がバブル期以来の高水準で推移している、アベノミクス効果で日本経済が好況である・・・など、転職をするチャンスが来たように語られる機会が増えました。
今回は求人市場のデータや実態を見てみると、転職をするなら今が最後のチャンスかもしれないよ?というお話です。

現在の転職に関するデータ

戦後長年、終身雇用と年功序列が前提で運営されてきた日本の会社、それを前提とした社会構造がありました。これが理由で一昔前までは転職はあまり一般的ではなかった時代ですが、今の転職事業は様変わりしています。

転職サイトのリクナビNEXTのデータによると、20代では76%が「転職経験なし」。30代になると「転職経験なし」の割合が一気に減少し、半分以上の人が転職を経験。4人に1人は「転職1回」、そして約3割の人が「2回以上の転職」を経験しているという結果になったそうです。

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next.rikunabi.com

このデータが本当かどうかをあなた自身の環境で確認してください。
例えば私が身の回りの方々から適当に20人程ピックアップして、それぞれの転職事情をみるとちょうど10人が転職経験ありでした。
この中には定年間際の方も、20代の社会人経験数年目の方も含めてランダムに選んでいます。つまり、リクナビNEXTのデータはあながち間違ってもいないのかなという感触を持ちました。

日本の経済情勢を今一度振り返ってみます

日本株の相場上昇や仮想通貨の急騰が話題になるなど、確かに金融市場はアベノミクス効果で浮かれている状況が続いていますが、日本経済は本当に力強く復調しているのでしょうか?

ご自身もそうですし、地域社会を見ていただきたいのですが、好景気だという恩恵を明確に受けている人や会社ってどの程度ありますか?ご近所のテナント、空きが増えていませんか?街かどの広告看板、白いスペースが目立ちませんか?
データ上は確かに好景気ってことになっていますし、実際倒産件数などは減っています。私観ですが土木建設業などに限って言えば2020年の東京オリンピック需要の影響で地方まで仕事が巡回してきているなという傾向はあります。

同じ土木建設業の実例から続けて挙げますと、公共工事の減少による影響が大きく業界団体が地方自治体へ陳情で足を運ぶことも珍しくありません。そこに加えて人口減少社会に移行した結果、職人さんや労働者の確保が難しく工事の入札や受注を調整する必要が出てきています。人がいないから仕事ができない、という時代になったのですね。

私自身は経営コンサルタントの立場なので、土木建設業に限らず様々な産業分野を外野から拝見しているのですが、一部では好況感がある業界ですらこのような状況です。
アベノミクスというキーワード・印象操作と日本銀行による金融市場介入という手法で為替レートや株価を調整していく、などという状況はずっとは続きません。
それは誰しも何となくわかっている。こうした構図がある以上、一見景気が良さそうに見えている日本経済は本質的にはさほど好景気でもないはずなのです。潜在的に危うさをはらんでいると言えます。オリンピックの開催が2020年なので、今の空気感ってそこまでじゃないかなと予測しています。

「人手不足」と「人手過剰」が同時に起きている

人手不足のニュースが流れ、世間の誰もが人口減少だと嘆いています。転職のCMもかなり目に付くようになりました。人口の減少と産業構造の劇的な変化で転職の常識は大きく変わりつつあります。人手不足なのだから転職がうまくいく可能性は高そうに見えますが、転職のチャンスと早とちりしてはいけません。

有効求人倍率は1.59倍(2018年1月)と10カ月連続でバブル期の最高水準1.46倍(1990年7月)を超えています。深刻な人手不足ですね。人手不足は景気かいいからというよりも人口減少によるものです。今年で定年を迎える人が多い1958年生まれ(60歳)が165万人なのに対して大学を卒業する年頃の1996年生まれ(22歳)は120万人です。60歳と比較して新社会人予定者が45万人も少ないのです。

前で「働く人を確保できず受注したくても受けられない」ケースが出てきたことをお伝えしましたが、一方で大企業ではバブル期入社組を中心として人員削減に取り組んでいるところが多いこともよく話題にのぼります。人員削減の大きな原因のひとつは産業構造の変化です。現在はインターネット革命による産業の変化が進行中で、自動車や電機の登場が社会に与えたインパクトと同じような規模の変化がおきているのです。これから古い産業と新しい産業がどんどん入れ替わるはずです。

つまり日本では「人手不足」と「人手過剰」が同時に起きているのです。
転職の話からは少々脱線しますが、「人手不足」について企業は今一度自社の全従業員について年齢層やスキル等のデータを揃えて構成を洗い出し、中高年の大量退職を前提として中長期的に見た採用と育成の計画を立てるべきでしょう。

一方「人手過剰」については時代の変革に対応できなくなった従業員をどう活用するのか具体的な方策を検討し実行するべきです。例えば経験値が物を言う顧客対応等の分野に配置転換する、今後数十年は続くことが確定している日本の高齢化社会を想定したサービスを開発するチームを編成する・・・などが考えられます。

転職するなら今がチャンスは大嘘?

今まで当たり前にあった仕事がデジタル化され、人工知能、ロボットに変わりつつあります。その半面、働く人が不足しているならば人を確保するためには賃金は上がるはずです。積極的な転職で年収アップを図るチャンスもありそうと考えがちですが実際はそうではありません。

厚生労働省の発表によると有効求人倍率が高い職業は、建設躯体工事10.47、保安(警備員等)8.29、家庭生活支援サービス(訪問介護員、保育士等)7.39と肉体を使う仕事が上位に並びます。
人手不足の職種には長く働けるという利点もあります。問題はこれらの職種が希望する仕事とマッチしているかどうかということです。今まで日本の中産階級の多くを占めていたホワイトカラー事務職の有効求人倍率は0.41と圧倒的に低いです。

www.mhlw.go.jp

ご覧の通り、有効求人倍率がバブル期超えといっても平均値の話です。人手が足りない職種もあれば、余っている職種もあります。わかるのは人手不足という全体の傾向だけです。転職後の年収の増減を見ても転職初年度に年収が上がるのは30代までで、40代からは年収を維持するのは困難という傾向があります。

それでも、転職活動をするならば今がチャンスの理由

18年2月の正社員に限った有効求人倍率は1.07倍です。非正規雇用を除いて正社員のみで見ても仕事を探す人よりも求人の数が上回っているのです。6年前の同時期同条件で0.49倍でしたからかなりの高さです。
先にお伝えした通り今の日本経済は本質的な好況とは考えられないと私は見ておりまして、その立場からすると有効求人倍率が高い今のような状況が長く続くとは思えません。

誰もが希望するような条件の職種は希望者に対して圧倒的に求人数が少ないです。転職活動は難しいという当たり前のことに怯まず、今がチャンスであることを理解していただき、粘り強く取り組んでいただきたいです。

今、がんばらなければならない時期であることはデータや実情を踏まえてお話しした通りです。特にやむを得ず非正規雇用で働いている人にとっては正社員になるラストチャンスと考えて転職活動に取り組んでいただきたいです。
振らないバットにはボールは当たりません。いい結果が出ることを期待しましょう。

president.jp

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180226141801j:plain涼宮 ぷらち
大学卒業後にIT専門量販店へ就職。30代で社会人向資格専門学校に転職し、運営と公務員受験講座講師を担当。40代を目前に「本当に必要とされる場所で働きたい」と考えた結果、最初にスカウトされた経営コンサルタント会社に勤務。中小企業様の経営・金融・助成金制度・新事業等に関する支援を行う。