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「バブル」一服も、乱高下は必至の仮想通貨の今後

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ビットコインをはじめとする仮想通貨が“投機”対象として脚光を浴び、昨2017年は1年間で、その価格がざっと20倍に高騰するという「バブル」となった。年末の流出事件も受け、一時の熱狂ぶりはやや後退したものの、またここにきてジワリ価格は上昇に入っている。

さて今後も予測不能の超弩級のバブル現象は続くのか。「仮想通貨に対して一般の関心は募る一途。まだ先、上がり続ける」との見方に対し「かつてのチューリップ相場(注)の写し絵だ。ある日、突然に消える」との意見もあり、百花繚乱である。(※17世紀にオランダで発生したチューリップの球根相場<文中詳述>)

ただ、根幹にあるブロックチェーン(分散型台帳:取引の相互監視が可能の体制)の仕組みは、管理者やサーバーの必要なく、維持・管理・セキュリティ維持に要する膨大なコスト不要のシステムとして、今後に想定される金融機関や企業インフラの中核になる公算が高い。その点で、進化・開発で形を変えても、仮想通貨は乱高下を繰り返しながら存続しつづけるはずである。

昨年1年間で20倍超になったビットコイン価格

1月末、大手の仮想通貨取引所、コインチェックが保管していた仮想通貨「NEM(ネム)」約580億円分が流出した。被害に遭った約26万人の顧客に対し、同社は3日後、その後の相場下落分を反映した総額推定460億円を日本円で返済すると表明したことで、当面の混乱は避けられたが、返金時期や方法を明示していない。解決するまでには、まだ今後も尾を引きそうだ。

昨年いっぱい急上昇を続けてきた反動で年初来やや低調気味に推移していたビットコインなど他の仮想通貨も、このハッキング騒動を機に、一斉に値下がりムードに転じた。実際の数値を代表的なビットコイン価格の推移で追ってみよう。

2015年1月の1ビットコインは2万円だったが年末には5万円前後に、翌16年もおしなべて上昇し年末には11万円と、約2倍超の価格上昇だったものが、昨17年に入ると一気に騰勢を強め、暮れの12月17日には226.5万円にまで高騰した。このピーク時の価格と比べると、実にこの3年間で110倍超の驚異的な上昇をしたことになる。

しかし、この価格もシカゴ先物取引所(CME)のオープン(12/18)が原因で4割近くも大暴落した。その後は徐々に回復し、年末には168.9万円(12/29)となるなど乱高下を繰り返している。
よく「20倍に増えた」と喧伝されるのは、年初の11万円がピークアウトの226.5万円になったことを伝えているものである。だが、それにしても年末の数字で比較しても15倍超、3年のスパンで捉えれば84倍超という、ケタ違いの凄い上昇率であることには間違いない。

ビットコイン価格:過去3年間の月足および移動平均線
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zai.diamond.jp

価格上昇を期待する投機対象の資産という位置づけに

「バブル」というのは、常識的に想定している期待価格よりかけ離れた価格に上昇する現象を指す。その点、上述したビットコイン価格などは、まさにバブルといえよう。私たちが経験した株価や住宅のバブルの場合は、価格そのものは下落したものの、株式からは配当が、住宅からは賃貸料が受け取れるので、必ず計算できる「底値」というものが存在する。

しかしビットコインなど仮想通貨には「底値」は存在せずゼロ。円やドルなど国が発行する“法定通貨”と違って、仮想通貨に対し政府や中央銀行は価値を一切保証していない。責任ある管理者は存在しないし、会社収益などの裏付けもない。景気の動向や企業業績の良し悪しによる期待値で、その価格が上下することは全くない。

株式の場合、大幅に値下がりすると、業績に比較して「割安」との判断が働き買い戻しが入ったりして安定する一因となる。そういった“適正な”価格という一応の目安(基準)があるのだが、その点、仮想通貨にはもともと適正価格というものが存在しない。
したがって変動幅は大きく、あっという間に価格が何倍、何十倍にもなったり、逆に大幅に減少し、半値になったりする。
合理的な説明がつかない狂乱の市場を「バブル」の定義とするなら、時価総額でいうと、2016年の年末にはせいぜい2兆円だったものが、昨17年末には40兆円前後まで急膨張した現象は、バブルというより他に言いようがない。そして、仮想通貨は価格上昇を期待する投機対象の資産という位置づけになろう。

仮想通貨の相場も「突然死」する?との予言も

今後のビットコインをはじめ仮想通貨の値動きについては、識者の中でも意見は様々である。投機一辺倒で、かつ非合理的な動きから「いずれは暴落する」という判断も多い中にあって、オランダで17世紀に発生した「チューリップバブル」に酷似した現象と、明言する評論家も出てきている。

実際の価値は数百円にすぎないチューリップの球根1個がオランダ人の平均年収の5倍以上、優に家1軒が買える値段までに価格が暴騰したために、一時はその熱狂的な相場に世界が踊らされたことがあった。だが、3年でまさにある日突然、その相場は終わりを告げた。理由はなかった。突如として忽然と消滅してしまったのだ。

今回の仮想通貨バブルは、この歴史的なケースに酷似しているとして、あっ気ない「突然死」を主張・予言する専門家なるものも現れてきたりした。それだけ仮想通貨の未来は見通しにくいという証左でもあろう。

www.itmedia.co.jp

投機への関心を煽るマスメディアにも責任

仮想通貨への関心を煽るマスメディアにも責任の一端がある。ビットコインで資産が100倍になったとか、“億り人”とかのフレーズを使って1億円儲けたとかの報道を流してまことしやかに煽るために、視聴者の中には、時流に乗り遅れているのではないかとの錯覚から、積極的に乗り出してくる人もかなり多く出てきている。現に、冒頭に述べたコインチェックのNEM流出事件に26万人もの被害者が関係していた事実からも、その傾向が窺い知れるということだ。

フィンテックの時代に到達するのは、10年先か、20年先かの議論はあるが、その間の仮想通貨価格の乱高下は存続しよう。いずれにしても仮想通貨は「投機」対象としての本質は持ちつづけていくことには変わりはないからだ。今後の動きがどうなるにせよ、現時点でみても数十兆円規模のマーケットに成長したとなると、これまでFX投資、株式、不動産、貴金属市場などに向かっていた資金が、仮想通貨市場に回ってくる可能性は否定できない。

新時代に必要な使命が詰まっている仮想通貨

結論から言おう。
仮想通貨は価格変動が激しく、今のところ支払い決済にも、資産運用にも適性を欠くが、上下振幅が激しく、それだけ投機には魅力があるということだ。当然バブルの動向を示すだけに、値幅を取ろうとするギャンブル的な対象として注目を浴び続けよう。
今後の価格の動きは予見できないものの、様々な事象が起きるたびに、そのつど仮想通貨の相場は乱高下するだろうが、やはり厳然として、たとえ形はどのように変貌しても、仮想通貨そのものは存続することは間違いない。

これまでのように価格の激しい上下振動、大波小波、そのつど襲来することが容易に予見される。ただ、ここで改めて指摘されるのは、その流れの中で仮想通貨自体は一体、どのような開発に心掛け、どんな位置づけに自らを変化させていくか、その努力に注視したい。

仮想通貨の背景には新しい時代に必要とされるファクターがぎっしり詰まっているだけに、チューリップバブルのようにある日突然、理由もなく消滅してしまうことは考えられない。専門家の意見もその点で一致する。つまり、ブロックチェーン技術という既存サーバーを必要としない特性を活かしながら、フィンテック(金融関連のテクノロジー)の新しい波に収束していく時代が遠からず到来するとの意見で一致しているのである。

komugi.jp

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180209143106j:plain藤沢 佑吉
昭和45年に㈱野田経済研究所 編集部に入社、平成4年に経済誌『野田経済』 編集長、同8年に編集主幹、同12年に退任・退職。その後、執筆・講演活動に入る。なお、経済評論、ブログなどのペンネームは“宇佐美太郎”。『建設オピニオン』(建設公論社)、『サイクルプレスジャパン』(インタープレス)にて連載執筆経験がある。