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急ピッチのフィンテック進化で待ったなしとなった「銀行大変革」

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超低金利が長期化し銀行の儲けの柱だった利ザヤ(預金金利と貸出金利の差)は、じりじりと年を追って縮小の一途にあります。
保有する株や債券の売却による益出しや、金融商品の販売で手数料収入を得ようと懸命ですが、抜本的なこれといった打開策が見いだせないまま、各メガバンクとも昨年暮れ、一斉に従業員・業務量・店舗数などの大幅な縮小案を公表したのは記憶に新しいところです。

とどまるところのない人工知能(AI)の台頭・進化によって、銀行員の仕事は次々に消える可能性が言われるようになりました。そこに追い打ちを掛けてきたのが、IT(情報技術)の申し子、フィンテック(金融関連のテクノロジー)の進化です。またブロックチェーン技術も、これまでの銀行業務の仕組みを根本から変貌させる手法として、注目を浴びるようになってきました。

いや応なく迫ってくる変革のうねりに対して、銀行は的確に対応していけるのかどうか。なす術もなく、大淘汰の嵐が吹きまくることになるのでしょうか。ここではいま銀行の抱える現実や問題点に焦点を合わせながら、必至となった銀行の将来について見ていくことにいたします。

低収益に悩まされる原因は?

銀行の足元を揺るがす主因の1つは、日本銀行の金融緩和策による超低金利にあります。
低い金利で預かった預金を元手に、企業や個人により高い利息を付けて融資するのが銀行の本来のあり方ですが、金利が低いので利ザヤが稼げなくなったのです。

それに08年のリーマン・ショックを機に、経営乗り切りに苦労させられた企業は、万が一の事態に備えて手元資金を厚くし、借り入れに頼らない傾向が目立つようになりました。こんな風潮が一層、銀行の収益低下に拍車をかけていったのです。

金利が低いために、一般の人たちも以前のように銀行にお金を預ける魅力も感じなくなり、銀行預金から遠ざかる傾向が出てきております。長い間、銀行を支え続けてきた従来のビジネスモデルも、こんな経過から次第に縮小化する道をたどっていきました。

旧態依然の事業体系に切り込むフィンテック

以前から銀行のいわば“専売特許”といわれてきた、預金・融資・為替の3大業務の牙城を切り崩そうとしているのが、新しい時代の担い手、フィンテックに関わる勢力です。
「フィンテック」とは、金融【ファイナンス】と技術【テクノロジー】を掛け合わせた造語ですが、ネットを介した新技術を駆使することによって、旧態依然の銀行業務にさまざまな形で切り込んできているのが実態です。

たとえば預金と為替業務の場面で、個人間送金という新領域から攻め込んでくるベンチャーも出現しているほか、最近ではネット上で貸し手と借り手を募集し融資を仲介する企業まで登場しています。

このように、預金・貸し出しをベースにした銀行の事業体系は、これらベンチャー企業の台頭、エネルギッシュな進化によって、この先ますます侵略されていくと予想されており、各銀行トップが一様に“危機感”を強める大きな要因ともなっています。

toyokeizai.net

消える預金・振り込みなどの窓口業務

日進月歩で進化している人工知能(AI)を想定しても、まず銀行員の仕事の中で消える可能性が高いのは、預金・振り込みなどの窓口業務でしょう。ソフトバンクグループがヒト型ロボットの「ペッパー」を店頭接客に採用しておりますように、店頭のIT化はすでに現実化しているのです。

また、融資・外為・信託業務も各タスクを徹底学習したAI搭載のコンピュータ活用によって、質・量ともに革命的な変化をきたすことが容易に想定されます。しかし、銀行員の仕事を奪うのはAIだけではありません。その1つが、ブロックチェーンです。

gendai.ismedia.jp

脅威のブロックチェーン革命

取引履歴を利用者全員が監視し合う仕組み

ビットコインをはじめとする仮想通貨が将来、どのように銀行業務に関わってくるかはともかくとして、一般的にいわれているのは、仮想通貨を支える根幹技術のブロックチェーンの仕組みが、銀行業界の従来型システムに風穴を開ける、との見方が強まっていることです。

ブロックチェーンとは、「分散型台帳」システムとも呼ばれているもので、取引の記録をチェーンのように追加していくことに由来しています。ブロックの中に利用者の全取引データが格納され、取引記録は消えることなくチェーンの中に残り続けます。

取引の全ての履歴は、ネット上で利用者全員がチェック可能で、相互に監視し合っているので、記録の改ざんは決してできません。仮想通貨のような経済的価値の記録(移転を含む)だけでなく、不動産の資産管理などさまざまな事業分野での活用が今後見込まれています。

システム管理の莫大な維持コストは不要に

このネットワークの特徴は、「非中央集権型」で管理主体が存在しない点です。いま銀行の中央管理の方法は、システムの保全・メンテナンスに莫大な維持コストがかかっていますが、ブロックチェーンによる分散型の台帳技術は、その必要がないのです。

逆に言うと、今まで莫大な投資と長い年月掛けて築き上げてきた銀行の従来型システムが、これらIT(情報技術)をベースとしたフィンテック進化によって、一瞬の間に変革され、取って代わられることも考えられることです。

遅れてしまった銀行のフィンテック対応

これまでのような預金・融資・為替をベースにした銀行の旧態依然の事業体系は、フィンテックに関わる旺盛な勢力の台頭と進化によって、まさに切り崩されようとしております。

金融庁もフィンテックについて、「金融業・市場の将来的な姿を大きく変えていく可能性を有している」とし、具体的な重点施策の1つに掲げてきましたが、各メガバンク以下、各銀行は、目先の業績確保に追われ、抜本的な戦略スキームまで立ち至っていない印象を強く受けます。

依然と継続される先送りの「発方ふさがり」経営に、追い打ちを掛けるフィンテック進化。銀行業界に変革と淘汰の嵐が吹きまくるのは、避けられない見通しとなってきたように思われます。

clip.money-book.jp

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180209143106j:plain藤沢 佑吉
昭和45年に㈱野田経済研究所 編集部に入社、平成4年に経済誌『野田経済』 編集長、同8年に編集主幹、同12年に退任・退職。その後、執筆・講演活動に入る。なお、経済評論、ブログなどのペンネームは“宇佐美太郎”。『建設オピニオン』(建設公論社)、『サイクルプレスジャパン』(インタープレス)にて連載執筆経験がある。