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小規模持続化補助金採択のポイント ~加点減点項目編~

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前回の記事「小規模持続化補助金採択のポイント・申請書作成の基本編」では、従来から求められている申請時の基本的なポイントについて説明をいたしました。基本編でお伝えしたポイントをしっかり抑えることが申請採択の必要条件ではありますが、事業者にとって便利な制度のため競争率も高くなることが予想されます。
なるべく確実に採択を得るために、平成29年度補正予算での小規模事業者持続化補助金で新たに設定された審査加点・減点の内容について詳しく見ていきましょう。なお、今回は加点項目が複雑なので、追加様式等の確認には細心の注意を払ってください。

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審査加点対象の項目は全部で5項目です

加点対象は下記5項目で、それぞれの加点数値は未定とされていて、各項目で加点上限値が設定されるとの見通しです。ちょっと判りにくいのですが、例えばそれぞれの項目で10点加点とした場合、すべての加点対象条件を満たすと50点の加点となります。
しかし全体での加点上限値は25点とする、等の仕組みです。加点数値と加点上限値がいったいどの程度の影響力なのかというのは審査する側でなければ判りません。申請する際には該当しそうな項目は全て網羅することが現実的な対策になりそうです。

加点対象の5項目

  1. 生産性向上加点
  2. 事業承継計画作成加点
  3. 代表者が満60歳以上で後継者候補が中心となり補助事業を行う加点
  4. 経営力向上計画加点
  5. 過疎地加点

生産性向上加点

今回の小規模事業者持続化補助金で最も注目される加点項目と思われますが、「生産性向上特別措置法」が今春施行の法律のため馴染みがなく、手続きの際に前例もないため取り扱いが他と比べて難しい加点項目です。

申請時

経営計画書4-2に記載が必要。
(従来からあった申請時の経営計画書に今回から追加された項目です。書式に書いてある通りなのですが、今後の設備投資計画についての記載をしてください。機械の種類(できれば型番も)、メーカー、見積価格などです。採択審査時に「生産性向上加点」付与を希望する事業者はこのスペースに記載をしなければ加点対象になりません。また、先端設備等導入計画の認定申請を行う意志がある場合は項目下部にある「先端設備等の導入(設置)場所」も記入する必要があります)

実績報告時

市町村の先端設備導入計画申請書受領証の添付要。

先端設備導入計画申請書受領証 取得の流れ

  1. 国が「生産性向上特別措置法」を制定。
  2. 法に基づき市町村が「導入促進基本計画」を策定。
    (「導入促進基本計画」とは市町村が策定する「先端設備等導入促進基本計画(名称は各自治体で多少異なります)」に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるような真に生産性革命を実現するものとして中小企業者等が策定した「先端設備等導入計画」を市町村が認定する制度です。「導入促進基本計画」で固定資産税率0に取組んだ市町村のみが対象です。中企庁アンケート2次調査では、ほとんどの市町村が固定資産税率0での計画策定予定とされています)
  3. 計画対象機械の工業会証明書取得。
    (生産性向上の指標が旧モデル比年1%以上であることを確認の為)
  4. 事業所による先端設備等導入計画申請書作成。
    (申請書の記載内容、先端設備等の種類及び導入時期、先端設備等導入の内容、先端設備等導入に必要な資金の額およびその調達方法)
  5. 商工会等認定支援機関による事業者への確認書発行。
    (設備導入により労働生産性が年平均3%以上向上することの確認)
  6. 事業者による市町への申請。

申請時に「様式2経営計画書4-2」に記載があれば加点対象です。生産性向上加点がなくても通常の審査ポイントで採択ラインにある場合は特に問題はありません。生産性向上加点で上乗せされて採択となった場合(要するにギリギリで採択された場合)、条件付き採択になります。

条件は、採択事業者が「導入促進基本計画」を策定した市町に「先端設備等導入計画」を認定申請し、申請の受理証明書を提出することです。実績報告時までに申請の受理証明書が添付できなかった場合、遡っての不採択となります。
工業会証明書の取得には、時間を要すると予想されます。又、市町は証明書がないと申請受付しない可能性もあり注意が必要です。

先端設備等導入計画はまだ始まったばかりの制度ですが、既に実施されている、似たような制度で今回の加点項目にもなっている経営力向上計画(平成28年度より実施)では否決の手続きが定められていません。逆に言うと問題がなくなるまで原則受け付けてもらえません。

先端設備等導入計画も同様だとすると、期限間近で市町へ慌てて先端設備等導入計画の認定申請をしようとしても、不備がなくなるまで時間を要する可能性があります。
可能な限り早く申請する必要があると思われます。後でトラブルが生じないようご注意ください。
生産性向上特別措置法に基づく「先端設備等導入計画」等の概要は中小企業庁HPで公開されています。ご参照ください。 

事業承継計画作成加点

申請時

様式2-2事業承継計画書の添付が必要。
満60歳以上の事業承継診断票提出による加点(次に説明する項目です)を補完する為の、40歳後半から59歳までの事業者を想定したものというニュアンスがある加点項目です。20~30代の事業者はこのイメージに合わないと考えられます。但し、これは20~30代の事業者が不可ということではなく、実際にそのような状況下にあれば20代でも可能です。

未来の話なので申請時には事業承継がまだなされていないわけですが、採択された補助事業終了後、実際に事業承継がなされているかについて何らかの形で証拠の提出や現地調査があると思われます。慎重に活用していただきたい項目です。

代表者が満60歳以上で後継者候補が中心となり補助事業を行う加点

申請時

商工会作成の様式6事業承継診断票の添付が必要。
先に述べた事業承継計画作成加点とセットで活用する場面が増えそうな加点項目です。事業承継が確実になっていて、かつ1年以内での事業承継予定であれば事業承継計画作成加点とセットで申請しても問題ないと思われます。一方で事業承継は予定しているがそこまではっきりしていない、というケースではこの加点項目を単体で活用することになるでしょう。

経営力向上計画加点

申請時

認定書写しの添付が必要(平成30年2月28日までの認定者のみ対象)
経営力向上計画を認定済みの事業者のみが使える加点項目です。経営力向上計画自体は認定されるまでがそれほど難しくない制度なので、今回は間に合わない事業者も、これを期に申請しておくとよいでしょう。

過疎地加点

住所で加点を判断されます。指定された地方の事業者であれば加点対象です。過疎地域一覧は総務省ホームページ「過疎対策」にある、「過疎地域市町村等一覧(平成 29 年4月1日)」をご確認ください。

総務省|過疎対策

減点対象になるポイントについて

小規模事業者持続化補助金は新しい申請者を優遇したいとする意向があるため、過去採択者は減点となります。しかし2回、3回と採択される事業者も多いため、過去採択者が全く採択されないというわけではございません。過去事業との違いを、経営計画書の中で分かりやすく明記することが重要だと思われます。
私が実際に申請をお手伝いさせていただいている感触として3回目の申請からは相当厳しくなるなというのは確かです。

加点対象ポイントについてのまとめと予測

以上、加点減点のポイントを見てきました。ここからは私の個人的な見解になります。今回の公募ではギリギリでの制度導入になってしまった「生産性向上加点」に関しては活用できる事業者は少ないのではないかと見ています。

小規模事業者は事業そのものが多忙です。導入されたばかりの新制度に対応してでも50~100万円の補助金を取りたいのか?というと、微妙なところでしょう。故に、無理して加点対象を狙う必要はないかと思うのです。

一方で「事業承継計画作成加点」と「代表者が満60歳以上で後継者候補が中心となり補助事業を行う加点」については該当する方が非常に多いため、これを機に後継者を改めて定めたり、事業承継計画の作成を商工会や商工会議所へ依頼する動きは出てくるでしょう。
「経営力向上計画加点」と「過疎地加点」については該当するか否か、というだけの問題ですから見通しについては割愛させていただきます。

無理に加点項目を意識するよりは、適切な申請書作成を心がけよう

以上、加点項目を確認してきましたが意外と難しそうな項目が多かったと感じる方が多いのではないでしょうか。条件に該当する方は加点項目をうまく活用するとして、そうでない方も諦めずにしっかりした内容の申請書を作ることで十分採択は可能です。
小規模事業者持続化補助金は事業承継や「生産性向上特別措置法」に合致した事業者しか対象にしません、という制度ではないからです。

適切な申請書を作るには経営分析を行い、経営方針や目標を明らかにして経営計画書に記載してください。その際には「市場性」「実現性」「創意工夫」が重視されます。また、生産性向上が意識された制度ということは既にお分かりかと思います。加点項目に該当せずともIT活用を意識したものは高く評価される傾向があります。

takayuki.shinmoto.info

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180226141801j:plain涼宮 ぷらち
大学卒業後にIT専門量販店へ就職。30代で社会人向資格専門学校に転職し、運営と公務員受験講座講師を担当。40代を目前に「本当に必要とされる場所で働きたい」と考えた結果、最初にスカウトされた経営コンサルタント会社に勤務。中小企業様の経営・金融・助成金制度・新事業等に関する支援を行う。