Money Clip

お金に関するニュースをクリップ!

小規模持続化補助金採択のポイント ~申請書作成の基本編~

f:id:Money_Clip:20180419135929j:plain

制度の開始以来、数回実施されている小規模事業者持続化補助金ですが、今回の募集期間は2018年5月18日までとなっております。だいぶ各方面で認知されてきたようで、そろそろ申請をしたいと考えておられる事業者様も多いかと思われます。
今回は小規模事業者持続化補助金を採択されるために気を付けておきたい基本的なポイントをご紹介します。まず、制度の基本的な内容の振り返りです。改めて、小規模事業者持続化補助金の内容について概要を確認してみましょう。

小規模事業者持続化補助金の概要

www.chusho.meti.go.jp

小規模事業者持続化補助金とは「小規模事業者が持続的な経営に向けた経営計画に基づいて実施する販路拡大等の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部が補助されるもの」とされています。小規模事業者が販路開拓に取り組むための事業に関する費用の2/3が助成されます。

補助金額
最大50万円(補助率2/3)
最大100万円(補助率2/3)
※補助金額最大100万円は①従業員の賃金を引き上げる取組み・②買物弱者対策の取組み・③海外展開の取組みの場合のみ
受付期間

平成30年3月9日(金)~平成30年5月18日(金)当日消印有効


ご覧の通り、国が実施する補助制度ですが補助金の額が小さいことと、使用できる用途が多岐に渡るため、小規模事業者であればどなたでも使いやすい制度になっているのが特長です。

www.kawai-smec.com

小規模事業者持続化補助金で採択されるための重要ポイントは3つ

使いやすい上に対象になる事業者も多いため、毎回多数の応募がある制度です。昨年度に実施された前回の採択結果では全国的な採択率は30%台まで落ちてきました。認知されてきたことと2回目以降の申請の方が増えてきたためレベルも高くなってきたようで、競争率が高くなりはじめていると言えます。今後小規模事業者持続化補助金を申請する際には採択されるポイントを抑えた申請書類の作成が必要になってきます。採択される可能性を高めるポイントは3点です。

  1. 販路拡大を明確にうたうこと
  2. 設備投資のみの計画は弱い
  3. 事業計画には新規性が問われる

以下、3つのポイントを見ていきましょう。

販路拡大を明確にうたうこと

小規模事業者持続化補助金はその名の通り「小規模事業者の事業が継続されること」を最終的な目標として狙っている制度です。これは近年小規模事業者が事業主の高齢化と後継者不足により次々と廃業しており、事業者数・事業規模共に縮小傾向に歯止めが利かないためです。(このまま傍観していれば納税事業者数の減少、地域社会の衰退等の現象が生じてくるのは時間の問題ですから国としても何とかして小規模事業者に頑張ってもらいたいということなのでしょう。)

この制度では小規模事業者の事業継続には売上増が欠かせないと考えられています。それは制度を説明する様々な媒体にも販路拡大のキーワードが書かれていることからも明らかです。このため販路拡大に繋がる計画を立てているか否かが何よりも優先して判断されています。

機械や改修など、設備投資のみの計画は採択されにくい

補助金額が最大50万円(条件を満たす場合に限り最大100万円)ということで多すぎず・少な過ぎずという額ですから、皆さん設備投資をすぐ思いつくようです。私が現場で見る範囲では食品製造や流通に関する事業者ならばちょっとした製造機械を入れたい方が多いです。
また飲食店などテナントを構えて営業している事業者は老朽化した水回り・トイレなどの改修を希望してこの制度を活用する方が多いです。

ところがこれらの内容では私がご支援させていただいてきた経験上、まず採択されません。小規模事業者持続化補助金では単なる設備導入や老朽化による固定資産の導入では販路拡大には繋がらないと判断されているからです。とはいえ、設備投資をしたくて補助金を活用したいというお気持ちはすごく良く分かります。設備投資が本来の目的だとしても、それによってサービスの質や価格が変わったりすることをPRするための広告宣伝活動の展開という形で申請書に書かれる事業計画書の内容を組み立てていくことをお勧めします。当然のことながら広告宣伝活動に関する計画と実際に費用支出が発生することは想定しておきましょう。

新規性が問われます

小規模事業者持続化補助金の募集要項や公式サイトには記載されていないのですが、この制度では事業者が全く新しい展開になる事業に取り組む姿勢を非常に高く評価する傾向があります。例えば宿泊業を営む事業者が新たに地域の特産品を活用した郷土料理の食品を開発・販売をする計画等です。小規模事業者は日本全国至るところで旧態依然とした事業内容がジリ貧になってきている実情があるため、既存の業種に囚われない斬新な発想が求められているのです。

ただし、この新規性という要素については注意が必要です。従来から営んできた事業内容と異なる分野への進出は取組前に考えているよりも遥かにハードルが高いものです。結果として本業と新事業の業務負担に耐えきれずにあまり良い結果にならなかったケースも散見されます。一般的には経営の多角化は関連領域が無い分野への進出よりも既存の技術や知識を応用できる関連性の高い分野への進出のほうが成功する可能性は高いとされています。ご自分の既存の事業と新規性を持たせた新事業、本当に両立できるか厳しい目で判断していただきたいものです。

書類の作成方法

小規模事業者持続化補助金は国の制度ですから、申請に際して指定された書式に今回申請したい内容について記入して提出する必要があります。日頃の通常業務で精一杯の小規模事業者にとっては書類を準備するというのが大変ハードルの高い部分です。しかしながら何の苦労もなく50万円や100万円といった単位のお金がもらえるという美味しい話はあり得ませんので、ここは歯を食いしばってしっかりした書類を作成していただきたいです。書類作成についても採択を得るためのポイントがいくつかありますのでご紹介したいと思います。

下手でもいいから、まず自分で書いてみましょう

こういった書類の作成は正直なところ、事業者自らが書くよりは商工会や商工会議所の職員、経営コンサルタント等のプロが書いたほうが上手に仕上がります。しかし小規模事業者持続化補助金についてはまずご自分で書いてみることを私はおすすめしています。これには2つの理由があります。いずれも根拠となるデータがあるわけではないのですが私が実際に現場で数多の事業者様を見ていてはっきりわかる程度の傾向があります。

  1. 実際に採択率に影響がある
  2. 採択後の事業が成功しやすくなる

まず、1つめの傾向についてですが、文章の書きぶりが上手・下手に関わらず事業者自らが手がけた部分が軸にあるほうが採択されやすいです。これは推測の域を出ないのですが…採択・不採択を決める審査をする方も人間です。膨大な数の申請書類に目を通すわけですから、ただ行儀のよいものよりも書類から熱意・想い・意気込み等の要素が感じられないと採択させてあげたいという気持ちにはなれないものかもしれません。私も経営コンサルタントの立場で補助金申請の書類を作成するお手伝いを日頃行っていますが、熱意や想いについては自分の事ではないのでどれだけ丁寧に書いたとしても、やはり当事者自らが書いた文章に勝るものなしです。

次に2つ目の傾向についてですが、事業計画書を誰かに丸投げして上手に書いてもらった場合は補助金の採択に至ったとしてもその後の事業展開が思わしくないケースが多く見られます。申請時にさほど苦労した感覚がないからなのでしょうか、特に機械導入や施設改修のみを目的とした申請書を何とか体裁を整えて誰かに書いてもらったケースで事業展開がうまくいかない傾向がグッと高まります。

大変高価で高性能の機械を導入して「さあこれから稼ぐぞ!」って話になるはずなのですが…不思議と事業者の勢いが続かないのです。あの手この手で応援させていただくのですが、徐々に稼働が落ちていき1年後には埃をかぶった機械が事務所の片隅に置かれていたりします。この傾向を個人的には「機械を導入した時点で満足してしまうんだろうなぁ」と推測しています。小規模事業者持続化補助金に申請して機械の導入を考える事業者ならば、やはり新しい機械を活用して事業をうまくいかせたいと思うはずです。明確な理屈はないのですが、実情としてかなり明確に差があるので是非とも最初は自分で書いてもらいたいです。

ferret-plus.com

事業計画書内に具体的な数値目標を明記してください

申請書の中でメインとなるのは事業計画書の欄です。事業計画書と書いてある以上、少なくとも3年間、できれば5年間の計画を立てましょう。事業者は決して安くはない金額を頂戴して事業を行います。お金を出す側(この場合は国)としてはお金をかけた結果、どのような成果が得られるのかに関心があります。事業計画書に書かれる売上予測は数字の積み上げになりますから、作業としては難しく感じるでしょうが、補助金の申請書ではそこまで難しい数値を要求されるわけではありません。

例えば3年後に売上高を3%上げたいという計画をたてるのならば、直近1年間の売上実績を元に毎年1%ずつの売上高前年比増を計画値とすればよいでしょう。経費については同様に1%ずつ上がるとあまり旨みのない計画になってしまいますし、現実には売上高とそれほど連動するものではありませんからもう少し低く見積もっていいでしょう。
もちろん先に書いたのはあくまでも例ですから、事業者が確証を持てるならばもっと大胆な計画を立てても構いません。その際には何故大胆な数値計画が立てられるのか、その理由は事業計画書の中に明記しておいてください。

事業計画書はビジュアルも少し気にしてください

事業計画書が文章のみになってしまう方も非常に多いです。採択の審査をする方は半端じゃない数の申請書に目を通します。もし導入したい機械や店舗装飾などのカタログや実際に使われている場面が掲載されている画像などがあればそれらを事業計画書には挿入しておいてください。「百聞は一見にしかず」です。そして使用前・使用後ではないですが改善したい箇所が既に存在しているケースが多いですから現状の写真も準備できればそれも申請書内に挿入していただきたいですね。

最後の仕上げは商工会や商工会議所の担当者に協力してもらう

先に自分で書けといいましたが、仕上がりが悪いよりはキレイに体裁が整っていたほうが見やすいのも事実です。また、記載内容の弱い部分や書類の不備等もアドバイスしていただけますから、大まかな骨組みが完成したら是非商工会や商工会議所の担当者の目を通しておいたほうがよいでしょう。

次回はトレンドともいうべきポイントについてお伝えします

小規模事業者持続化補助金も何回かの実施を経て、いくつかの修正点が発生しています。今後申請をされる方にとっては大事な話になりますので現在抑えておくべきポイントについても解説いたします。

clip.money-book.jp

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180226141801j:plain涼宮 ぷらち
大学卒業後にIT専門量販店へ就職。30代で社会人向資格専門学校に転職し、運営と公務員受験講座講師を担当。40代を目前に「本当に必要とされる場所で働きたい」と考えた結果、最初にスカウトされた経営コンサルタント会社に勤務。中小企業様の経営・金融・助成金制度・新事業等に関する支援を行う。