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仮想通貨が将来とも世界から決して消滅しない理由

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今年に入って目立つのは仮想通貨がらみの事故・事件だ。メディアの取り上げ方も、自明の犯罪者のごとき扱いが多い。日増しに高まるのは“規制強化”の声ばかりである。
ただ仮想通貨の「悪者」論には、どんな悲観的な論者でも全否定は決してしない。中核技術のブロックチェーン(注1)が未来に向け発展しつづけることが容易に予想されるからだ。
そして、進化の過程で、高効率のデジタル通貨が出現し、法定通貨が駆逐されるというストーリーも組み立てられる。ともかく進化を遂げていくプロセスで形を変えるかも知れないが、仮想通貨は間違いなく消滅することはないのである。

(注1)仮想通貨を支える根幹技術。日本語では「分散型台帳」と訳される<詳細後述>

一気に強まった世界的な「仮想通貨」規制強化の流れ

今年1月、交換業者「コインチェック」が巨額の仮想通貨を流出させた事件が発生して以来、金融庁の監視の目は強まる一途にある。4月に入ると登録業者16社と、みなし業者16社の一部に立ち入り検査を進める一方、これまで7社に業務停止や改善命令を実施した。

昨年4月に改正資金決済法(注2)を施行した日本は、世界に先駆けて仮想通貨の法整備をしたことで国際的に評価されたが反面、この法制定によって仮想通貨に“お墨付き”を与えたような印象となり、その後の取引拡大につながった点は否めない。
(注2)通称「仮想通貨法」。交換業者の登録制を導入するとともに利用者の預けた資金と取引所の運営資金は別とする“分別管理”などを義務付けるなど、利用者保護のためのルールを規定した。

業界の中からの自主規制がうまく進まなかった点が今年に入って露呈された形になったのに加えて、世界的にも一気に規制の流れが強まってきたのも最近の特徴である。市場があまりに急ピッチに拡大していくために、どの国も法整備が追いついていけないのが実情だ。

www3.nhk.or.jp

中国は取引自体を禁止、取引所も全面閉鎖へ

米SEC(証券取引委員会)ではこの1月、ネット上での資金調達するICO(注3)の差し止めを発表、それを機に、フェイスブックもICO広告を全世界で禁止すると宣言した。また、インドでは「政府は仮想通貨を法定通貨とは見なさない」と財務相が議会で表明、それによる資金調達も認めない方針を打ちだした(2/1付)。
(注3)仮想通貨で資金を調達する方法。日本ではまだ規制を検討していない。ICOでは投資家が秘密鍵を紛失すると、鍵の復元は事実上不可能になるなどの技術的リスクを伴うのが問題視されている。

そして中国。かつては世界で最大の取引規模だったが昨年9月突然、しかも強硬な規制に踏み切った。ICOはもちろん、仮想通貨の取引自体も事実上禁止するとともに、取引所も全面閉鎖に進んだ。金融市場への悪影響を理由としているが、海外への資本流出に歯止めをかけたいというのが本音とみられている。

タイでは国内の全銀行に対し、仮想通貨への投資や決済手段としての利用自粛を要請。ベトナムでは国内での仮想通貨の発行や供給などを禁止、この違反者には罰金を課すことにした。またインドネシア中央銀行もこの1月、仮想通貨の取引を認めない方針を発表。

ethereum-japan.net

仮想通貨について否定的な懐疑を抱くようになった大勢の世論

このように今年になって以来、何やかんやと仮想通貨への“逆風”が世界で強まっていく一方の印象がある。各国ともに法体制の整備に時間がかかっている間に、負の部分ばかりが暴れまくった感じだ。そのため仮想通貨はすっかり「悪者」イメージが染みついてしまった。

これら世界的な規制強化の動きは、当然、仮想通貨の相場下落に拍車をかける結果となる。代表格のビットコインの価格(単位BTC)は3月に入って以降、コインチェックの流出事故もからんで100万円を割り込み、4/10現在72万円台。昨年12月中旬につけたピーク226万円強と比べると実に3分の1以下の水準となった。

世論の大勢は少なくとも仮想通貨について懐疑を抱いており、そして否定的である。仮想通貨では、暴落による損失は自己責任との認識はあるにしても、ペイオフ(注4)のような預けた資産を保護する制度もなく、取引所の破綻や今回のような不正アクセスによる流出事故などのリスクにも無力となれば、信頼を置けといわれても到底ムリな話といえよう。
(注4)金融機関が破綻した場合に預金保険機構が預金を保護する制度。普通預金の場合、預金者の元本1000万円とその利息が保護される。

中核技術のブロックチェーンは未来に向け発展しつづける

だが、肝心なポイントがある。
仮想通貨への「悪者」論には、どんな悲観的な論者でも全否定できない部分が残っている点だ。仮想通貨を悪しざまに罵っても「中核技術のブロックチェーンは残り、未来に向け発展しつづけていくだろう」と一様に付加することである。

ブロックチェーンは、日本語で「分散型台帳」と訳す。複数のコンピュータで取引を共有し、分散管理する仕組みのことだ。1つのブロックの中に一定期間内の取引データが格納され、ブロック同士がつながってチェーン状態になっていることから、この名前が付いた。

このブロックチェーンの優れているのは、いったん入力したデータは決して消失することがないという点にある。しかも仕組みとして、正しく取引されているかどうかについて相互に監視し合っているため、そのデータ改ざんができないことだ。

「森友学園」改ざんを機に ブロックチェーン仕組み検討に入った政府

改ざんが不可能なのは、ブロックがそれぞれ前のブロックのデータと連鎖しているためで、1つでも異常なデータがあれば、たちまち検知されるという特性による。したがって仮想通貨のような経済的価値の記録だけでなく、所有者の移転データなどの記録にも最適となる。

取引は全員にオープンだから、それを管理・監視する膨大な組織も要らなくなる。偽造も二重取引も不可能、第三者の介在がなくとも安心しシステム利用が可能なことから今後、公的機関、金融取引など様々な分野への応用が期待される革命的仕組みといえよう。

最近の国会で「森友学園」の文書改ざん問題が大きくクローズアップされたが、今後の措置として政府当局では、紙媒体ではなく、このブロックチェーンによるデータ保管の仕組みを真剣に利用する方向を検討しはじめたのも、当システムへの絶対の「信頼」によるものだ。

diamond.jp

日本の金融業界もまず送金サービスの商用化から着手の方向

最近、日本でも送金業務について実証テストを済ませた複数の銀行が、米リップル社のシステムを使った送金サービスを商用化する試みが推進されている。これまで複雑な中継プロセスを経て長い時間と高い手数料がかかっていた送金業務が一気に改善される日は近い。

ブロックチェーン技術の本格活用にはまだ時日はかかるものの、各分野でますますその必要性は確実に高まる機運にある。である限り、この技術をベースにして立ち上がった仮想通貨が消滅するはずがない。ただ、絶え間なく仮想通貨も進化していくということだ。

japanese.engadget.com

ブロックチェーン技術の進化とともにデジタル通貨は存在しつづける

ビットコインが分裂し、昨年8月にビットコインキャッシュ(BCH)が、続いて10月にビットコインゴールド(BTG)が誕生。今後も分裂の可能性が伝えられている。希少性が損なわれたことから価値が次第に減衰し、「やがて利用者が急減して消滅する」と唱える人もいる。

代表格のビットコインのそのような「消滅論」の真偽はともかく、世界でざっと1400種類を超すといわれる仮想通貨は、それぞれに長所と短所も兼ね備えるという特徴をもつために、やはり日々変化を遂げている。当然、生成・消滅を繰り返すことになろう。

あるいは、現在の仮想通貨の存在理由を根底から覆す進化が、ブロックチェーン技術を中核として発生する公算もある。万事に優れたデジタル通貨の誕生が前提になるのだが、国家が保証していた法定通貨の否定、というストーリーで、出現する可能性はむしろ大きい。
だが、それもネット上に足跡をもった仮想通貨の進化形にすぎない。ブロックチェーン技術の存続、そして飛躍的な発展とともに、仮想通貨も形を変え、機能を向上させながら、未来永劫に向け進化を遂げていくということだ。決して消滅することはない。

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180209143106j:plain藤沢 佑吉
1948年生まれ。昭和45年に㈱野田経済研究所 編集部に入社、平成4年に経済誌『野田経済』 編集長、同8年に編集主幹、同12年に退任・退職。平成15年㈱インタープレス編集長(常務待遇)に就任、同26年に退任・退社。『建設オピニオン』(建設公論社)、『サイクルプレスジャパン』(インタープレス)にて連載執筆経験がある。