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CtoCによるビジネスモデル「シェアリングエコノミー」は今後どうなる?

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近年、国内のインターネット環境が整備されたことにより、ほとんどの方がスマートフォンやパソコンを利用できるようになりました。その結果、ITによる変化は普段の生活だけではなくビジネスにおいても大きく関係するようになりました。
日本でも、多くの企業が新しいビジネスモデルを模索するなか、今世界中で注目されているビジネスモデル「シェアリングエコノミー」について改めて注目してみたいと思います。

資産の共有をする「シェアリングエコノミー」

欧米を中心に急増しているビジネスモデルの「シェアリングエコノミー」ですが、皆さんはどういったものかご存じでしょうか?簡単にいうと、シェアリングエコノミーとは「使われずに眠っている遊休資産を貸し出しする」ビジネスモデルのことを指します。
普段使われていない遊休資産(空間、モノ、移動、人、カネなど)を、インターネット仲介サイトなどを通して提供者と活用したい人を結びつけることにより、提供者側は提供することにより収入などを獲得し、反対に活用したい側は専門業者などに頼むよりも安く利用することができ、双方にとってWin-Winな理想的なシステムになっています。

soumu.go.jp

シェアリングエコノミーのビジネスモデルは大きく5つ

シェアリングエコノミーのビジネスモデルですが、現在は大きく5つに分けることができます。

1.「空間」のシェア

「空間」のシェアですが、使用していない土地や駐車場、企業の会議室などをイベントスペースとして貸し出しするサービスのことです。代表的なものに、宿泊施設ではなく一般の民家に泊まる「民泊」サービスがあります。これは、2020年開催のオリンピック・パラリンピックの際に大いに活躍されるであろうと期待されています。

2.「モノ」のシェア

「モノ」のシェアですが、こちらは日本国内で主流のビジネスになっています。そもそもシェアリングエコノミーには厳密な定義はなく、レンタル以外にも「そのままあげてしまってもいいモノ・使わなくなったモノの売買」も含まれています。そのため、フリーマーケットアプリなどを利用した不用品の売買、ファッション系のレンタルサービスが盛んのようです。

3.「移動」のシェア

移動のシェアとは、同じ目的地の人に車など相乗りをさせてもらいます。こちらは少し前まで「白タク行為に該当するのでは?」といわれており、以前は国土交通省から中止するよう指導されてしまいましたが、現在では明確なルールが定められたことにより直接金銭を受け取らず、利用する側はガソリン代などの交通費を支払うといった形で可能となりました。ライドシェアサービスで有名なのですと、アメリカ発の「Uber」や日本発の「notteco」などが有名です。

notteco.jp

4.「人」のシェア

こちらは「人(スキル、時間)」をシェアすることにより、地方自治体が抱える課題解決へと導いてくれると期待されている分野です。例えば、時間を提供する人がいたら買い物を頼んだりペットの散歩に行ってもらったりといったことも可能になります。これを介護や子育て支援などに活かせないかと、政府や自治体が現在模索しています。

5.「カネ」のシェア

「カネ」のシェアですが、これは最近注目されている資金調達方法「クラウドファンディング」が該当します。クラウドファンディングとは、群衆(Crowd)と資金調達(Funding)を合わせた造語で、プロジェクトに共感した人からインターネット上で資金を募る仕組みになっています。

シェアリングエコノミーの国内市場規模

政府も前向きに検討しているシェアリングエコノミー、平成29年1月1日には内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内に「シェアリングエコノミー促進室」も設置されました。国が率先して、シェアリングエコノミーを推進しているのが分かります。
そこで気になるシェアリングエコノミーの国内市場規模ですが、矢野経済研究所の調査によると2016年度は前年度比26.6%増の503億4,000万円となりました。さらに、2017年には民泊新法が成立し2018年6月から規制が緩和されるため、さらなる市場拡大を期待されています。

www.yano.co.jp


これにより、2020年に向けて訪日外国人によるシェアリングエコノミーサービスの利用が増加することも予測されています。また、オリンピック・パラリンピックの効果もあり2015年度から2021年度の年平均成長率(CAGR)は18.0%を推移、2021年度は1,070億9,000万円にまで達すると考えれています。

日本では「シェア」が浸透するかがキーポイント

2021年度までに急成長が期待されているシェアリングエコノミーですが、実際の日本国内の浸透度はいかがなものでしょうか?総務省が発表した「平成28年度版情報通信白書」を参考に、代表ともいえる民泊サービスから見ていきたいと思います。

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総務省|平成28年版 情報通信白書|シェアリング・エコノミーの認知度・利用率・利用意向/

青いグラフが認知度、緑のグラフが利用意向を表したものになっています。このグラフを見てもらえば分かるように、各国に比べ日本は認知度も利用意向度も低いのが伺えます。
その理由に、海外にはB&B(ベッドアンドブレックファースト)といった宿泊と朝食のみを提供するサービスが昔からあるため価値があります。そのため、海外では民泊という文化が違和感なく受け入れられますが、反対にそういった文化がない日本では難しいのだと思います。

また、「一定の均一した質とサービス」を求める日本特有の文化も、サービス提供者によってクオリティが変わるシェアリングエコノミーの浸透を妨げている一因になっているといえるでしょう。
続いては、民泊と同じ様に代表的ともいえるライドシェアサービスの認知度と利用意向度です。

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総務省|平成28年版 情報通信白書|シェアリング・エコノミーの認知度・利用率・利用意向

民泊と比べると、日本の認知度・利用意向度が大幅に下がっているのが分かります。民泊の方は、よくも悪くもニュースなどで取り上げられる機会が多かったため、ある程度の認知度があったと考えられます。

この他にも「家事代行」「駐車場スペース」といったシェアサービスなどで、全て日本は最下位という結果になりました。そもそも、日本は消費社会が発達しており消費することに慣れています。
必要なモノよりも不要で捨てるモノが多い日本では、遊休資産をシェアしてもらうのではなく「捨てる・不要なモノをシェアする」といった方向に考え方をシフトしたほうが、ビジネスにおいて成功する可能性が高いといえます。

反対に、ほとんどの年代でトップの数字を出したのが中国です。では、なぜ中国はここまでシェアリングエコノミーが浸透したのか?まず、中国のシェアリングエコノミーはこれまでの概念とはかけ離れたものになっています。
元々は、遊休資産の貸し出しを「CtoC」で行い提供者と利用者が、あくまで台頭な関係を目指したビジネスモデルでした。
しかし、中国の場合は「偽シェアエコ」と呼ばれるように、そのほとんどが遊休資産ではなく企業がビジネスとして始めているケースが多いようです。そのため認知度や浸透率は高いですが、果たしてそれはシェアリングエコノミーと呼べるのか?と疑問を投げかけるメディアも多いようです。

ニーズがあるものをシェアするからこそ価値がある

例えば、日本で爆発的に急成長したサービスといえばフリマアプリの「メルカリ」があります。こちらは2013年7月に創業し、わずか3年ほどで100億円以上の売上を達成し大きな話題となりました。こちらも、シェアリングエコノミーのコンセプトである「CtoC(一般消費者と一般消費者の取引)」といえます。
このように、シェアリングエコノミーという考え方事態が全く受け入れられていないというわけではありません。

最近では、さらに面白いシェアリングエコノミーのビジネスモデルがあります。その名も「MOOVER」と呼ばれるサービス、これは毎月の余剰したデータ通信量の使用権を他の人に販売や購入することができるシェアリングエコノミーです。しかも、これは契約する通信キャリアに関係なくシェアすることが可能となっています。さらに素晴らしいのが、このMOOVERを利用することによりさまざまな理由から生まれてしまうデジタル・ディバイド(情報格差)を解決することも期待できます。地域によっては満足にIT環境がない地域もあるため、こういった地域課題の解決へ役立てることができます。

遂にはSNS情報発信型シェアリングエコノミーサービスも登場

さらに、日本では多くの人が使っているSNSを利用したシェアリングエコノミーサービスも登場しました。LIDDELL株式会社が運営する「SPIRIT(スピリット)」です。SPIRITでは、SNSで影響力を持つインフルエンサーとPRしたい企業を簡単にマッチングすることが可能になっています。現在、個人のスマートフォン保有率は56.8%といわれており、決して無視できる数字ではありません。今後もSNSの利用者数はさらに増加し、SPIRITのようなSNSを利用したシェアリングエコノミーサービスも増加することが予測されます。

www.spirit-japan.com

今後はさらなるクオリティ、安全性が高まると期待

今回、改めてシェアリングエコノミーについて注目してみましたがいかがでしたでしょうか? 2018年6月の民泊新法施行に向けて、再び注目を集めるであろうシェアリングエコノミー、現在筆者もシェアリングエコノミーをテーマにした執筆依頼が増えてきています。政府の推進だけではなく、多くの企業が注力しており今後さらなる成長を期待できるビジネスモデルといえます。もちろん、既存サービスの概念と根本にあるコンセプトが違います。そのため、シェアサービスに向けたガイドラインの作成や法整備がいち早く必要になります。

clip.money-book.jp

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180208132702j:plain松本 竜二/フリーライター
不動産営業として勤務の傍ら、フリーランスという働き方を知り退職を決意。ライターとして活躍している先人の著書物を読み漁り、独学と実戦によりライティングスキルや知識を身に付け、IT・ビジネス関連をメインとしたフリーライターとして数々のクライアントからの依頼を請け負い、現在に至る。