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日本の造船業界の再編の動きが活発になったわけ

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最近の新聞の紙面で、日本の造船業界の再編の動きが活発になっている。
その背景として2010年以降、世界的に「船舶大量供給」が激化し、供給が過剰になり中国・韓国との競争に打ち勝つためだという。1956年以降の半世紀近く、日本が造船業界でトップの座を誇ってきた。その座が今や、中国や韓国に奪われている。
造船業界の再編により世界トップシェアを奪還し、日本経済にどのように恩恵があるのか検証してみたい。

日本の造船業の歴史

日本で船を建造・修理する造船所がつくられたのは、当時鎖国をしていた日本に艦隊を率いて黒船でペリーが来航した江戸時代の末期。
江戸幕府が「大船建造の禁」を解いて、幕府が海軍軍船の建造に尽力して海軍力の増強を急ぎ、浦賀造船所を設置したのが始まりだ。

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引用元:浦賀船渠 - Wikipedia

明治時代になると、世界で1位を誇る造船国のイギリスから技術を学び、本格的な造船業が始まる。
日本が近代化し急速に発展する過程で、造船業の役割は大変大きなものだった。船をつくるための部品の製造業や機械工業などの重工業の発展を押したからだ。現在までに発展した工業の原点は、造船業にあると言っても過言ではない。では、日本にどのような造船業があるのか。 

日本の造船業

平成29年6月に日本造船業界に登録している造船業者は以下の通り。

株式会社IHI

東京都江東区豊洲に本社を置く、重工業を主体とする製造会社。1960年に石川島造船所を系統とする石川島重工業と播磨造船所が合併し、「石川島播磨重工業」となり、2007年に世界的な企業として、社名を「IHI」に変更。資本金1071億円で、年間売上高7198億円(2017年3月期)。従業員数8630名、連結対象人員:29659名(2017年3月末)

www.ihi.co.jp

今治造船株式会社

愛媛県今治市に本社を置く造船メーカーで、今治市を中心にグループで瀬戸内海に9つの造船所を保有。建造量では、創業以来2450隻以上の実績を誇り、確かな技術と自信で新しい造船の可能性を開拓している。

www.imazo.co.jp

株式会社大島造船所

長崎県西海市に本社を置き、大島町にある日本の造船会社。大島町は炭鉱の島であったが、炭鉱の閉鎖に伴い、昭和48年に日本の科学メーカー・ダイゾー、住友グループの大手総合商社・住友商事、住友重機械工業が出資し、設立された。資本金56億円、売上高1270億円(平成29年3学期)、従業員1340名(平成29年4月1日)

www.osy.co.jp

尾道造船株式会社

1943年に創業し、2013年に創業70周年を迎えた。兵庫県神戸市に本社を置き、広島県の尾道市に製造拠点を置く。長年の歴史から最大限の技術と知識を発揮し、工場敷地単位面積あたりの生産高世界一を目指している。資本金1億円で、売上高405億円(2016年度実績)、事務技術社員204名、技能職社員249名の合計453名(2017年4月1日)

onozo.co.jp

川崎重工業株式会社

創業者の川崎正蔵が、「国家社会の発展・繁栄のため」に1878年に造船所を開設した。130年以上にわたり事業分野を拡充し、高い技術や技能でものづくりを培ってきた。資本金104484百万(2017年3月31日現在)、連結売上高1518830百万円(2017年3月期)、連結従業員35127人(2017年3月31日現在)

www.khi.co.jp

佐世保重工業株式会社

長崎県佐世保市に主要拠点を置き、名村造船所の完全子会社で重工業を生業とする。
資本金が84億1400万円、従業員数732名で、設立は1946年10月1日。通称SSK。

www.ssk-sasebo.co.jp

サノヤス造船株式会社

平成24年1月4日より事業を開始し、旧株式会社サノヤス・ヒシノ明昌の船舶事業及びプラント事業を引き継いだ。創業当時から「まごころこめて生きた船を造る」というのが企業精神で、資本金が20億円(サノヤスホールディングス株式会社 100%出資)

www.sanoyas.co.jp

ジャパン マリンユナイテッド株式会社

日本国の造船業界を担ってきた、ユニバーサル造船とIHIMUの2社が統合して誕生した。東京に本社を置き、創立が2013年1月1日で、資本金250億円。
両社の豊富な建造実績と高い技術などを生かし、業界トップの座を目指している。

www.jmuc.co.jp

株式会社新来島どっく

東京都千代田区に本社を置き、旧・来島どっく。独自方法でコスト削減を試みる経営手法で、愛媛県を中心に大企業グループを築き上げた。1980年に旧経営陣の坪内寿夫が退き、「新来島どっく」が誕生。

skdy.co.jp

株式会社新来島豊橋造船

愛媛県豊橋市の臨海地域に立地し、自動車運搬船世界一の実績を誇る。レクサス車の生産を行うトヨタ自動車がある田原工場に、艤装(ぎそう)岸壁を設置。立地条件とノウハウで、自動車運搬を行い、日本はもちろん海外へ輸出し、自動車業界に貢献。

www.toyozo.jp

住友重機械工業株式会社

世界で活躍する造船・各種製造装置や精密機械などが最先端の住友グループ。メカトロニクス分野で日本を代表する総合重機の企業。創業が明治21年11月20日で、設立は昭和9年11月1日。資本金308億7165万円(平成29年3月31日現在)、年間売上高連結:674328百万円(平成28年度)、従業員数・連結:19321名(平成29年3月31日現在)。

www.shi.co.jp

常石造船株式会社

日本の大手造船メーカーで、広島県福山市に拠点を置く、造船事業会社、通称「つねぞう」。アジアを拠点にばら積み貨物船、タンカー、木材チップ運搬船、コンテナ運搬船など、市場のニーズを捉え、多様に船舶を開発・建造している。創業の常石を拠点に、フィリピン、中国など世界に顧客をもち、2017年11月で、創業100周年を迎えた。

www.tsuneishi.co.jp

内海造船株式会社

広島県尾道市に本社を置く、日本造船系の中堅造船メーカー。しまなみ海道がつなぐ、自然と文化に恵まれた因島・生口島にあり、船舶造船の立地条件としては、充分に恵まれた環境にある。船舶の出入りや係留(けいりゅう)に適しており、しまなみ海道がつなぐ近隣の自然や文化にも恵まれており、色々なロケーションを楽しめる。

www.naikaizosen.co.jp

株式会社名村造船所

大阪市西区に本社を置き、佐賀県伊万里市に製造拠点がある準大手造船会社。
創業が1911年で、2011年に創業110周年を迎えた。そして、2013年には 東京証券取引所(第一部)に株式上場を果たした。資本金8112百万円(2017年3月31日現在)、従業員数1032名 (2017年3月31日現在)、売上高94653百万円(2017年3月期)

www.namura.co.jp

函館どつく株式会社

北海道函館市にある企業で、東北以北では最大級の造船メーカー。函館と室蘭に造船所がある。創業は明治29年(1896年)で、2016年に創業120周年を迎えた。
資本金17億4600万円、従業員数1181名(平成29年4月1日現在)、売上高19302円(百万円) (平成28年度)

www.hakodate-dock.co.jp

三井造船株式会社

造船、機械、プラントなどを手掛ける三井系の重工業メーカーで、東京に本社を置く。
創業は三井物産の造船部で、現在の岡山県玉野市。1949年5月16日に東証一部上場した三井グループの重工業メーカー。

www.mes.co.jp

三菱重工業株式会社

三菱グループの三菱金曜会、三菱広報委員会に蔵している日本の企業。
明治3年(1870年)に創業者岩崎彌太郎の歴代の経営者、従業員の努力により所産。
三菱創業百年で、激動する70年代の幕開けにふさわしく、時代に応じて、新しく前進していく構え。

mhi.co.jp

世界の造船業

日本は造船王国であり1956年から半世紀の間、建造量がトップだったが、今や中国や韓国の造船業に追い抜かれている。では、中国や韓国にはどのような造船業社があるのか。

中国の造船業は、2016年2月に中国海運業界第1位の「中国遠洋運輸(集団)総公司「COSCO)」と第2位の「中国海運(集団)総公司(CHINA SHIPPING)」が合併し、現在「世界最大の造船大国」の座を占めている。
韓国は、本社が蔚山にある世界最大の造船会社・現代重工業。サムスングループで韓国の総合重工業企業・サムスン重工業。大宇造船海洋の造船大手3社がある。

日本造船業の再編

中国や韓国に対抗するため、日本の造船業社の再編が活発になっている。
2017年に、三菱重工業(東京)が今治造船(愛媛県)と、名村造船所(大阪府)、大島造船所(長崎県)と提携を進めている。今2月には、三井造船(東京)と常石造船(広島県)が提携に向けて協議中である。

なぜ、日本の造船業の再編が活発になったのか

日本の造船業は、明治から始まり造船の技術を磨き着実に発展をとげてきた。昭和31年(1956年)には、進水量において英国を抜いて世界一の造船国となった。
その後、数回のオイルショックで深刻な不況に陥ったが、日本の造船業は世界一を守り続けていた。

しかし、グローバル化する現代、世界的に船を必要とする人が増え、人件費の安い中国や韓国に造船大国の座を奪われそうになっている。その価格競争に打ち勝つために最近、造船業界の再編が活発になった。

今後日本の造船業界はトップの座を奪い返せるか

造船業界の受注が低迷し、中国・韓国との競争も激しいなか、国内大手同士の統合が必要だと国内の造船メーカーの再編の動きが活発になった。
現在、世界的に船が余っている状態。この状況は当分改善する予定はなく、トップの座を奪われている中国・韓国との競争も激化。

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大手企業が統合することが必要と、2013年にJFEホールディングスとIHIの傘下の造船会社が、お互いの技術を持ち寄り経営統合してJMUが誕生したのが、統合・再編の始まり。
日本船舶輸出組合が発表した2016年の国内の輸出船契約実績は、前年比83.3%減の約83.3%371万総トンと大幅に落ち込んだ。この状況の回復の出口は未だ見えてこない。
国内メーカーは生き残りをかけ、今後の行方を模索する必要がある。

日本は1956年に船の建造量で世界トップの座に輝き、90年代までその高いシェアを守り続けてきた。しかし、2000年代に入るや中国や韓国との規模やコスト面での競争が激化し、トップの座を奪われている。

半世紀近くの間、トップの座を誇った日本の造船業界が今回の造船業の再編激化で、お互いが高い技術を持ち寄り、人件費を抑えて価格競争に打ち勝ち、期待通りの世界のトップシェアNO.1を奪還することができると予想する。そして、日本の製造業や重工業が恩恵を受け、日本経済が活性化することを期待する。

www.sankei.com

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20180117131706j:plainS.大森/ニュース・ビジネスライター
大学英文科を卒業後、国際関係の仕事に長く携わる。執筆生活に入り、著書『小さな島国のおはなし』(文芸社刊)を刊行。時事問題を得意としニュース記事を依頼されたことを機に、ニュースライターに転身。経済に興味をもち始め、ニュース・ビジネスライターとして活躍中。将来は世界の金融都市から世界経済を配信するのが夢。