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【ゲーム業界の未来はどうなる】任天堂VSソニーVSソーシャルゲーム

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出典元:jp.gamesindustry.biz

スマホで手軽にゲームが楽しめる時代になり、ゲーム人口が増加している。特にスマホ(スマートフォン)でソーシャルゲームを楽しむ層が増加しているが、その一方で専用ゲーム機も底堅い人気を保っている。
「Nintendo Switch」好調で業績上向きの任天堂と、様々なメディア戦略を含め多角的なゲーム関連売り上げを狙うソニー、そしてスマホ中心に多数のゲームが展開するソーシャルゲーム関連企業、それぞれの戦略とゲーム業界の動向と将来をまとめてみたい。

任天堂VSソニーの20年戦争

家庭用ゲーム機の普及は、任天堂の据え置き機発売と遅れて追随したソニーとの競争の歴史ともいえるだろう。

1994年のプレイステーション発売から四半世紀近く、家庭用ゲーム機で任天堂とソニーは新機種発売の度に激しい競争を続けていた。
ソニーの初代プレイステーションから始まって、PS2、PS3、PS4と進み、携帯用のPSP等から最新のPSvitaに続くラインナップに対し、任天堂は1977年に家庭用ゲーム機を発売開始したパイオニアだ。

1983年のファミリーコンピュータで家庭用ゲーム機の爆発的な普及が始まり、以降スーパーファミコン、Nintendo64、ゲームキューブ、 Wii 等の据え置き型ゲーム機に加え、ゲーム&ウォッチから始まる携帯用ゲーム機は、ゲームボーイ、ゲームボーイアドバンス、DS、3DS等が発売された。
現在の「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」は、据え置き・携帯両用が可能な製品となっている。

最近の任天堂のゲーム機売上は、スイッチの人気上昇もあって、据置機累計で3億台を越えるライバルのソニーを年間販売台数で大きく上回っている。
ゲーム機の機能はこの間劇的に進化しており、ソフトの充実なども含め、両社は多額の研究開発費を継続的に投資してきたが、ゲーム利用スタイル等の変化やソニー全体の経営戦略見直しもあり、しのぎを削ってきた両者のゲームユーザー獲得を巡る競争の様相は変わりつつある。

ソーシャルゲームの台頭

ソーシャルゲームとは、SNS上で(ソーシャルアプリとして)配信されるゲームの総称だが、最近はSNSを活用するスマホ向けゲームアプリを指す語として定着しつつある。

本来のソーシャルゲームは、SNSに組み込まれた(SNSの機能として提供される)ゲームであり、SNSユーザー同士でゲームを楽しみ、コミュニケーションできるSNS上のソーシャルゲームとして発展した。
特に日本では、パソコンゲームからmixiやGREE等のSNSソーシャルゲームへの移行が進み、プラットフォームを戦略的な中心として強化した企業の努力で、サードパーティの開発も交えて爆発的な普及を遂げた。

既にゲーム専用機からスマホへ、ゲームの主役が移ったとも言われている。
さらに、最近は特定のSNSやプラットフォームに依存しないアプリとして配信されるゲームがソーシャルゲームとして一般化しつつある。
家庭用のゲーム専用機と違い、ソーシャルゲームは、元々ゲームの基盤(プラットフォーム)がSNS上にあり、まずSNSの会員登録からスタートし、その機能の1つとしてゲームがあった。そのため、SNS上の知り合いや友達の招待や、ゲーム中で協力または対戦するゲームスタイルが人気を得て普及した。

ゲーム進行にはアイテム収集を求めるものが多いことから、利用者が進行に有利なレアアイテム(高価)を集め、購入費用を収入源とする構造のアプリケーションが一般的だ。
こうしたことから、ゲーム流通を増加させるため大量流通可能な無料(又は低額)ゲームが、スマホ用オンラインゲームには多い。(ダウンロード数ランキングも注目されるので、ダウンロード数増加をSNSユーザーに働きかけ、ゲーム体験者の増加を目指している)

ゲーム業界の現況

この様なソーシャルゲーム利用者の増加に対抗する意味も含め、任天堂は端末分離で持ち運び可能なゲーム専用機「Nintendo Switch」を2017年3月に発売し、当初は月次販売を200万台と任天堂は想定していたが、その携帯性から人気が出て発売時から予想を超える売れ行きとなり、同年9月末までに800万台近く販売され、現在もなお販売店の抽選販売に1,000人単位の行列があるほどの品薄状態が続いている。

品薄理由は「スマホ用半導体受給が逼迫し、スイッチも部品需要で競合しているため需要に見合う増産が出来ない」こともあるが、高い人気が継続している事も大きい様だ。(任天堂は18年3月期末のスイッチ販売予想を1,400万台としている)
半導体需給が厳しい中、多数の部品が必要なスイッチの増産強化は難しく、部品不足解消がネックだが、スイッチのヒットで任天堂の18年3月期業績予想は引き上げられ、売上高は前年の約2倍の9600億円(従来7500億円)とし、営業利益1200億円、純利益850億円(従来比約2倍)と、それぞれ上方修正している。

一方、ソニーはゲーム戦略を多方面に展開している。ゲーム機の販売拡大・普及に集中しているわけではない。
ゲーム専用機としては、2016年発売開始のプレイステーション4が米国売上の好調などから発売初年度から黒字化しているが、一般ゲームファンがスマホに移行する中で、ゲーム専用機としての伸び悩みをストリーミングサービスの「PSNOW」等、家庭での手軽な利用増で補おうとしている。

「PSミュージック」や「PSVIEW」などの追加サービスや、PS4のカメラやウェブ接続機能を使う「リビングでのスマホ」化で、家庭内の2~3台目TVでのゲーム利用や体感ゲーム、友人たちとのパーティ等でのシェアリング体験等を含む多様なニーズを、PS4を中核として展開し、収益も拡大する戦略だ。
日本と違い有料視聴の多いTV等の米国流利用スタイルにも溶け込んで、支持を伸ばしている様だ。

また、スマホでのソーシャルゲームでは、「Fate/Grand Order」に代表される人気ソーシャルゲームに関連したマルチメディアへの展開を、音楽やビデオも含めたソニー全体の多角的なメディア戦略と融合させ、収益化が進んでいる。
こうしたマルチメディア戦略は、米国の本社を移し社名も変えたSIE(ソニーインタラクティブエンタテインメント)の中心戦略であり、ソニーの最高益更新要素でもある様だ。
これらの米国をターゲットにしたエンタテイメント関連のソニーの戦略は、輸出企業には珍しいドル高で減益(連結決算)となる体質の一因でもあるようで、これまでも一定の成功を生み出しており、今後も徹底したマーケティングで更なる収益向上を目指している。

一方、ソーシャルゲームを中心とするモバイルゲーム分野では、企業ごとに戦略も異なり、状況は複雑だ。
モバイルゲームの課金売上で首位となったのは、配信以来4年経過の「モンスターストライク」で、一ヶ月平均で100億円以上の売上を計上している。
売上2位の「Fate/Grand Order」も、3位の「パズル&ドラゴンズ」以下のユーザー数だが、熱心なファンが多く売り上げ好調だ。

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なお、APPストアのアンドロイドアプリ売上集計では上記の1・2位が逆転しており、またゲームアプリ売上のランキングでの首位はモンスターストライクだが、以下クイズRPG魔法使いと黒猫のウィズ、Game of War - Fire Ageと続くなど、ランキング集計や選定方法等により様々なランキング集計があり正確な実態把握は難しく、また変動も激しい。

また、モバイルゲームのユーザーはスマホ利用率が7割を越えており、その大半がソーシャルゲームの利用者だが、今後スイッチ等のハイブリッド製品がこれに食い込んでゆくかどうかも注目される。

これから伸びるゲーム関連企業はどこか

2017年の任天堂の株価は、スイッチ好調を契機にTOPIXの上げを牽引する勢いで、急上昇した。一方、ソニーも2018年3月末決算で最高益更新が見込まれることなどから、株価は急伸している。

これに対し、ソーシャルゲーム関連の分野で先行したガンホーやmixi、LINE等は若干利益が伸び悩んでいる。一方、バンダイナムコエンターテインメントがドラゴンボール関連スマホゲーム等のヒットで好調、GREEも新規タイトル投入で業績上向き等、企業ごとに好不調の波が大きく、全体としては伸び悩みの感も受ける。
スマホゲームに関して今後の成長性に疑問が出れば、これらの企業の株価のうち、期待先行で上げていた部分は見直しになる可能性はあるだろう。

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サイバーエージェント(4751)はゲーム関係の決算数値


では、今後ゲーム業界の業績はどうなって行くのだろう。これから伸びるゲーム関連のソフト・ハードには、何らかの形でAIを利用したゲームが伸びると予想するのではないかと予想する関係者が多い。
その理由は、複数参加のゲームに慣れたユーザーが、SNS等の参加者限定のゲームを志向しており、これに対応して「AIが好みの人格を仮想したプレーヤー(従来のマシンプレイとは全く異なる)」となって協力プレイを行ったり、対戦相手になったりすることで、SNS構築に頼らずにより利用しやすいソーシャルゲームの開発が想定されている。

さらに、VR(仮想現実)関連技術の進展により、スマホゲームであってもより臨場感の高いアクションゲームやRPGが作成可能だ。ここでも課題は人材不足となる。
従来のゲーム開発者がそのまま高度AIや関連機器のゲーム利用開発スキルを持つわけではなく、教育や新規採用が必要だが、高騰したモバイルゲーム関連の人件費と労働環境等からくる採用難が、新しいスタイルのゲーム開発には課題になりそうだ。

ゲームの未来

米国でのゲーム事情は、スマホゲームやスイッチの様な持ち歩き機器ばかり注目される日本とは少し違うようだ。長時間の電車通勤なども一般的ではなく、むしろすき間時間でエンタテイメントの一環として家庭でゲームを楽しんだり、パーティで多人数の企画の一部としてゲームを使ったりすることも多く、前述したAI等の新技術の展開が期待されている。

特に仮想現実関連のゲームは、東京ゲームショー2017でも一般参加者には人気が高く、これに「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」競技なども含めたマルチエンターテイメント志向が世界的には広がるかも知れない。(日本ではプロのゲーム対戦者が高額な賞金獲得を目指して戦うeスポーツは様々な理由で普及が遅れているが、特に米国では大きな広がりを見せている)

また、AIスピーカーなど高度なIT機器が普通に家庭に入ってくれば、スマホも含む特定の機器でゲームを楽しむライフスタイルから、スキマ時間で手元の機器(TV、AIスピーカー、ゲーム専用機、スマホ)等を使って、家庭でも外出先でもプレイ中のゲームが継続できる機能が徐々に付加され、ゲームという特定分野ではなくマルチエンターテイメントとして統合されていくではないだろうか。

jp.gamesindustry.biz

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。