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メルカリだけじゃない?中古品取引市場の活況が示すもの

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画像出典元:excite.co.jp

中古品売買市場が活況と言われる。若い女性の人気を背景に急成長を続けるメルカリの勢いは、既存の中古販売市場を越えた社会的な広がりを見せ始めている。メルカリ以外の中古品販売企業にも、既存サイトや新規参入を含め多様化した取り組みが目立つ。
じわじわと進み始めたインフレ傾向に、究極の価格破壊とも言われる中古市場の活性化が関連しているのだろうか?中古品販売市場の現況と今後について考えてみたい。

メルカリの登場

中古販売全体の売上は、店舗販売が減少傾向であるのに対し、事業者のネット販売は大きく伸びており、フリマアプリ等で注目を集めるCtoC(個人間ネット販売)市場も急成長し、中古販売(リユース)市場全体の規模を押し上げている。

フリマアプリの誕生

スマホによるフリーマーケット(以下通称「フリマ」と略記)利用のアプリ(フリマアプリ)は、2012年の「フリル」のスタートに、GMO(3633)関連会社も追随し、翌年7月にはメルカリがスマホアプリの提供を開始した。「メルカリ」はフリマのスマホアプリ利用を定着させ、大きな社会現象と言える大市場にまでフリマを育て上げた企業となっている。

フリマアプリ市場はスマートフォンの利用拡大に合わせて急成長を続けている。経産省調査では、2016年に市場規模が3000億円を越えたと推計された。(ネットオークション市場は、現在の約3500億円規模に拡大するまで20年を要した)

メルカリの特徴

メルカリは、売買にクレジットカードや銀行口座が不要で、販売売上金を預けておくことができる。出品もスマホで商品撮影して簡単な説明を加えるだけで簡単に販売できる。
サイト上に充実した商品価格判定等のツールがあり、手続きや出品手順がやや煩雑な既存オークションサイト「ヤフオク」や「楽天フリマ」等よりも手軽ということで、若い女性を中心に評価された。(メルカリ利用者の3分の2が女性で、その6割が18歳~40歳未満の年齢層)この年代は中古品使用への抵抗感が少なく、衣料等のフリマ利用による使いまわしの合理性を評価していると言われる。

簡易な本人確認手続きと資金授受もメルカリのもう一つの特徴だ。メルカリ本体に売却資金をプール出来、取引上の金銭トラブルについて比較的不安が少ない。
メルカリは、爆発的とも言えそうな速度で普及し、売り上げは2015年度の約420億円に対し、2016年には1250億円、2017年度はさらに増加すると見られている。

創業者(CEO)は米国に拠点を移して海外事業の拡大に集中すると表明し、国内ではこれまでの個人間取引に加え「メルカリNOW」という買取事業も始め、開始当初は一時取引中止となるほどの人気となった。
但し、メルカリの簡便な資金授受システムには、資金決済法が定める「資金移動業者」ではないかとの指摘もあり、後述する上場等審査に関連し、金融当局から問題視されているようだ。(資金移動業者は預り資金の全額以上を金融庁に供託する資金保全策が義務付けられる)

拡がる中古販売取引

2010年には1兆1443億円だった中古品販売市場(中古自動車・住宅を除く)は、2015年には1兆6517億円と急成長し、2025年には2兆632億円になると予測されている(出所:リサイクル通信「中古市場データブック」)が、最近のメルカリの売上増加ペースを見ると、こうした予測を越えた拡大ペースになるかも知れない。近い将来、中古市場は7兆円を超える規模になるとも言われている。

メルカリ以外の中古商品取引

メルカリ以外の中古品販売業者でも新たなサイト構築等が進んでいる。
CD・書籍等のレンタル、リサイクル販売を直営店軸で展開している中古販売業首位のゲオHD(2681)傘下「2nd Street」は、全国に買い取り専門店を展開予定で、4店舗開業時点で売り上げが1割増加したと言う。

中古販売業で3位、中古ブランド衣料品販売を主力とするコメ兵(2780)は、これまでのノウハウを生かして中古品ブランドの鑑定を行うフリマアプリ「KANTE(カンテ)」を始め、ブランド品買取時の偽物判定を支援する。
これらの他にも、トレジャーファクトリー(3093)は、家電・家具・雑貨等の総合リサイクル店を展開する企業だが、主要都市への出店強化に加えウェブ上での買い取りも積極的に進めており、実店舗からウェブへの拡がりを戦略的に行っているなど、ウェブサイトへの攻勢や移行が目立つ企業が多い。

www.2ndstreet.jp
www.kante-jp.com
www.treasure-f.com

フリマアプリとECサイト等

パソコン主体でのオークションサイトは、最大手ヤフーオークションの本人確認手続きの厳格化などで、伸び悩んでおり、既にフリマアプリ市場と逆転しているとの見方もある。
この傾向から、様々なスマホアプリ利用のフリマサイトが出現している。

女性向けサイト

女性をターゲットにしたフリマサイトでは、ブランド物買取サイト「RETRO」(個人間取引のリスクを避けたいブランド物の販売中心)、女性向けファッションアイテムに特化したフリマサイト「FRIL」、手作り自作品(服・手芸品等)中心の「Minne」等、ユニークなアイデアを持ち、起業したサイトが多く存在する。

fril.jpminne.com
ユニークなフリマサイト

地域の情報掲示板サービスを提供する「ジモティー」は、拠点とする地元とのつながりを生かして、原則として地元(地域)限定の掲示板等で不用品・中古品取引を仲介している。
「FASHION CHARITY PROJECT」は、フリマアプリとは言えないが、出品者の不要商品を寄付し、その販売売上がチャリティーに使われる。中古品を捨てずに有効利用できるとして一定の人気がある。

jmty.jp
www.waja.co.jp

中古流通市場の新しい形

中古販売には、さらに新しい形が生まれている。
倉庫で個人の売却希望品を一括保管し、写真撮影・データ作成等を受託する「minikura」等、急速なフリマアプリの普及と利用支援を前提とした新サービスが始まっている。
Amazon、Yahoo!ショッピング、楽天市場、ポンパレモール、DeNAショッピング等の大手ECサイトも新品販売以外に中古品買取やフリマ取引を併設し強化している。

minikura.com


Amazonは最近書籍の買取サービスを開始したが、既存の中古書籍取引に比べ、抜群の知名度と買取価格の目安がコンディション別に事前に表示されること等から好調なスタートだと言われている。(買取価格は申込時の価格が査定時まで保証される)

www.recommerce.co.jp


ネットオークション最大手のヤフオクは、古本買取販売のブックオフと提携し、ブックオフ店舗での書籍以外の中古品買取事業を始めている。

衣料品ネット通販「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥディ(3092)は、主力ブランドZOZO等の顧客に対し、サイトで商品下取り価格を提示して商品販売を行い、下取り価格分を値引きするサービスを行っている。(下取り品は中古販売市場で売却)

中古車の取引に特化した個人間取引のサイト「mieruCAR」は、ヤフオクとの同時出品など個人取引を支援する仕組みが充実しており、浸透したフリマアプリ取引利用者の取り込みを狙う。

他にも様々な規模でスマホ利用を中心とした新しい中古取引のスタイルが生み出されており、市場の拡大が経済的にも大きな影響を持ち始めているのではないかと観測されている。

これからの展望

メルカリの上場を巡る事情

金融庁は、メルカリ上場についての審査と証券取引所との協議を行っていると噂され「同社のユーザー売上金の保全方法が利用者保護には不十分」との指摘や、登録方法改善の実効性懸念等から年内を想定していたと言う東京証券取引所への上場は延期となり、年度内(2018年3月)実施も不透明と報じられた。メルカリは、売上金預かり期間短縮・自動振込等と出品時本人情報の登録を必須とし、本人名義が一致しない銀行口座利用を制限するなどの改善策に加え、盗品出品抑制策や捜査機関との連携等も図り、対応を進めている。

2017年中の予想IPO企業の筆頭はメルカリだと言われていた。国内唯一の「ユニコーン」(10億ドル以上の企業価値を持つ未上場の新興企業)と言われるメルカリ上場が株式市場の大きなテーマであることは間違いない。
他にも中古取引企業では、国内の中古自動車をニュージーランド等海外30カ国以上へ輸出・販売する企業オプティマスグループ(9268)が12月に上場する。

また、メルカリだけの問題ではないが、個人間取引CtoCでの中古品の販売にかかる税金に関して、フリマ(オークション含む)の所得額(売上-経費)に課税されるケースがあり、一部の利用者の所得について税務面からの問題も今後のフリマ運営の課題とされる。

中古品取引の拡大と消費

中古品取引は今後も着実に増加すると考えられるが、その反動で新品の売り上げが減少し、デフレ傾向がさらに強まるだろうか。あるいは、中古販売拡大でレンタルやダウンロードで売上が落ち込んだ音楽CD売り上げのように、物品販売全体の規模が縮小するのではないかとの懸念もある。

しかし、少なくともメルカリで衣料品を頻繁に売買するユーザーは、むしろ不要となった品物を換金でき、新たな消費に向かう動きが目立っている。
中古品に対する価値観は、以前の様な安物利用や低収入者の利用というイメージから様変わりし、むしろ合理的な使用形態だと言う感覚から利用拡大の動きとなっている。単なる安物志向という訳ではなさそうだ。

一方、上述したZOZOTOWNの売上等から見ても、逆に新品の持つ優位性が消えたわけではないようで、商品に競争力さえあれば価格転嫁も可能だろう。
音楽シーンで、CD等の売上減に代わってライブ演奏の人気が高まったように、衣料品や装飾品、実用品のレンタル利用を含む多様な生活スタイルから、新たな価値が生まれる可能性もありそうだ。日本の住宅建設サイクルが米国に比べ、長期的に全体として低水準である原因も日本人の「新築信仰」が強いからとも言われる。中古市場の活性化は、旺盛な新規需要を生むらしい。

モノの流通が活発になれば、関連産業が活性化し、生産自体にプラスのフィードバックをする。こうした中古品取引の活性化が、全体として消費拡大に結び付く可能性もあるだろう。
今後数年、中古品市場の展開は要注目だ。

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。