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日経平均上値・下値の目処はどこまでか?

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強気予想が増えてきた日本の株価予想だが、市場の強気予想が揃った場合に急落することも多いとも言われる。上昇基調の調整局面と騰勢頭打ちから下落に向かう局面との見分けは難しい。
企業の業績は引き続き好調だが、上昇局面は外人買いが支える状況が進行する中で日本の株価はどこまで上昇余地があるのか?下落の場合、下値のめどはどこまでか?
株価に関連する経済指標や要素を交えて考えてみたい。

企業業績の動向

前回の日銀短観は強い内容だった。大企業DI(業況判断指数)は、日本企業の業績回復から強い数字が続いていることが日経平均上値トライの期待をつないでいる。
大企業製造業・非製造業DIは、企業業績よりも早く発表されるので決算発表の先行指標となっている。

実際に発表された上期(4-9月期)の決算や期末決算見込みも大半の企業業績は好調だった。(上場企業の2018年3月期末の連結業績は全体として上昇し、過去最高水準の見込)
特にDIが高いのは製造業(建設・素材・機械産業等)だが、全産業で見ても各社の決算見込みは押しなべて好調だ。
この時点で、アナリスト予測より各社業績見込みが保守的に低く設定されているのは、毎度のことだ。だが、為替動向に大きな変動(1ドル110円を大きく下回る円高等)がない限り、今期末にむかっての企業業績は堅調と見てよさそうだ。

さらに非製造業では、サービス産業や情報サービス業も深刻な人手不足の中、サービス供給不足が続き今後も中長期的な好調が続くだろう。業種として良くないのは、公益関連(電力等)と外食・小売業や物流関連企業で、人件費上昇による収益圧迫が引き続き懸念材料だ。

外部環境等

米国株の動向

米国株式市場も長期間の景気拡大局面の中、高値を追う展開が続いている。
S&P500の予想PERは18倍を越え、過去の振れ幅の中では標準偏差の上限に近い。また、ISM景況感指数も10月時点では製造業で59.7、非製造業で60.1と高水準であり、今後の業績進展を考えても高値圏にあることは間違いないだろう。

しかし、現在の水準を越えては上昇出来ない、あるいは間もなく下落に向かうと言うことは断言できない。これまでも、予想を越えてさらに上値を追う相場もあった。
ここからの上値は、結果としてはバブルに近い上昇かも知れないが、既に天井に達していると言う確証もなく、上院の可決から大詰めが近い税制改革法案の両院の審議結果次第では、上下どちらにも触れる可能性がある難しい局面だ。

為替動向

円/ドル相場は、最近1年間概ね110円~114円のレンジ内で動いており、レンジを越えた動きは短期的なものだった。
直近はドル安傾向だが、これは米国の減税法案審議進展を睨んだ動きという見方が強く、今後もレパトリ減税前の資金移動手控えに伴う一時的なドル安はあっても、中長期的にはドルは強い動きを見せるとの予想が支配的だ。

為替動向で最も注目される米国10年債の利率変動は限定的で、節目の2.4%を明確に抜けて、引き続きFRBの金融政策が予定通り穏やかな利上げが継続すれば、中長期的に長期金利が上昇傾向となる可能性が高い。この要素も日本企業全体としては業績向上要因の一つになる。

地政学リスク

最大の懸念材料は北朝鮮の動向だが、最近の市場反応はミサイル発射報道にも冷静であり、軍事衝突等の大きな変動がない限り当面は日経平均変動も限定的な影響にとどまりそうだ。懸念材料は、サウジアラビアやイラン等に絡む中東情勢の波乱だが、現時点では判断材料が揃っておらず、市場も消化しきれていない。
現時点のVIX指数も比較的低水準であり、当面、地政学リスクは大きな波乱要素とならないかも知れない。

外国人買いの動向

外国人投資家による日本株の買いはバブル崩壊後20年以上、外国人投資家の買いで日経平均が上がり、売りに出ると下がる傾向が続いている。
これは「外人買い」には上値を追い、売り時には下値を叩く「順張り」の傾向が強いことも関係がある。
例えば、2016年は年初一貫して外国人勢の売りが続き、日経平均は11月まで下落し、一転して11月以降の買いが急増し日経平均が上昇した。

2017年は、年初こそ外国人買いの勢いが止まりボックス圏を推移していた日経平均だが、3月からの外国人売りでの一時的な下抜け後、4月後半以降の外国人買い増により上昇を続けている。
こうした外人勢の動きは、先物取引の動向から今後もその傾向がある程度予測できるだろう。

高値・安値の目処(2017年内)

結論として、2017年12月までは調整局面が続いても大きな悪材料が出ない限り、個人投資家の買いが集中した日経平均22,000円割れ(11月15日の週)時点で、個人投資家の実株購入が1,000億円を越えて急回復しており、この22,000円水準が当面の下値目途である可能性が高そうだ。

一方、高値については、結局海外勢の買い頼みなので、米国株やヨーロッパ、新興国関連の投資との綱引きの結果で、日本買いの継続が決まりそうだ。
日本株への長期資金の流入は、好調な経済指標を背景に長期波動を思わせる上昇だが、短期的に注目されるのは外人買いの付随する空売りの比率だ。空売り比率が高い場合は4割近くになり、短期的な高値警戒を示す場合が多い。

11月30日の日経平均の上げでは、米市場は高安まちまちを受けて米市場のIT関連株下落傾向から、半導体関連を中心にハイテク株は売りが継続した。一方、金融や小売など内需系の出遅れ銘柄には買いが入り、全体として続伸し株価指数銘柄入れ替えに伴う売買で商いは膨らんだが、相場の勢いは弱くしばらくは調整が続きそうな局面にも見える。転換点があるとすれば、米国の税制改革法案だろう。

年内に修正協議決着しないか大幅な減税圧縮修正の場合、トランプ政権の「ロシア疑惑」操作もあり、年内の日経平均は年末の利益調整売りも含めて一定の下落となる可能性が高い。
反対に、減税法案が想定内の修正で上下両院が合意すれば、日経平均23,000を意識した強含みの推移が期待できるだろう。

高値・安値のめど(2018年以降)と日経平均の中長期トレンド

日本企業の業績は好調で過去最高益更新の企業が目立っている。米国の好調な株式相場は、主にハイテク株の息の長い上昇が支えていた。
最近はナスダック絵銘柄を中心に弱含みだが、これが上げ相場の中の調整なのか、今後のハイテク関連銘柄の成長鈍化を見込んでいるかが来年の相場の行方を決めそうだ。

日本企業の来期業績見通しや景気動向は、現段階の各種指標からはプラス要素が多く、米国株式がはっきりとした下落に向かうか米国景気が拡大から縮小に反転しない限り、上値追いのエネルギーは外人頼みでも、日経平均は一部アナリストが予測する30,000円に向けた動きが続くかもしれない。

来期の企業業績については、3月期決算企業の10-12月期決算と12月期決算企業の2017年度決算が年明け1月に明らかになるが、昨年2016年10-12月期決算から、業績が上向いた企業が多く、もし年初の決算数値等が前年比較でさらに好調なら、来期の企業業績が好調を持続する可能性は高いだろう。

しかし、半導体需要やハイテク関係企業の先行き不透明感が明確になれば、ボックス圏の調整や下落傾向になる可能性は残っている。

今後の株式相場、日本経済を左右するもの

上記の見通しには、大きな地政学リスクの発生は入っていない。例えば、北朝鮮を巡って軍事衝突が起こったり、中東などで予期せぬ混乱が発生したりすれば、全世界の市場で株式が売られることになるだろう。その影響期間や下落幅そして為替の動向は、発生したリスク内容によってかなり変動しそうだ。

長期的には、こうしたリスクがあっても、IoT進展や生活・産業全般に浸透しそうなAI利用が、今後これまでの相場とは質的に変わった新しい企業・新しい需要を生む期待として相場を支えることになりそうだ。
またそうならない限り、世界経済とりわけ少子化問題をはらむ日本経済が、拡大・上昇を維持するのは難しいだろう。

現段階では断言できないことだが、日本経済で全産業にイノベーションが起こる可能性は十分あり(少子化等による一部産業の縮小・撤退はあっても)、株式市場のどこかにイノベーションと成長の兆しが見え始めているのではないかと、筆者は考えている。

fudousan-kyokasho.com

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。