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マイクロインフルエンサーがつくる?最新トレンドとは

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「マイクロインフルエンサー」の影響で、ネット広告の在り方が変わるのではないかと言われ始めた。インターネット上にあふれる広告の質や費用対効果を再検証し、効果的な広告には、不特定大多数向けよりも比較的少数でも特定のターゲットを含む範囲に的を絞った広告が求められるという観点から、最近TV番組等各種メディアでも取り上げられるようになったマイクロインフルエンサーが注目されている。
これからの広告と今後のネット広告の変化、そして経済への影響を考えてみたい。

マクロインフルエンサーとは?

インフルエンサーは本来「社会に影響を及ぼす人物」という意味だが、ネット上では主にSNSで多くのフォロワーを持ち、投稿閲覧者が多いことを指す場合が多い。
100万人以上のフォロワーを抱えているインフルエンサーの投稿が、シェアやリツイートされる「共感行動」により、関連した商品やサービス等を認識するユーザー数が増加し、さらに拡散を生む可能性から、多くの企業が新たな広告媒体・ツールとしてこうしたインフルエンサーを採用している。

マイクロインフルエンサーは、この広範なユーザー(フォロワー)を持つインフルエンサーに対して最近生まれた概念だ。特有のコミュニティで、主に写真共有サイトのインスタグラムユーザーとして強い拡散能力を持つ発信者が「マイクロインフルエンサー 」と呼ばれる。

「インフルエンサーマーケティング」のプラットフォーム提供企業のマーカリー社が行ったインフルエンサー対象の調査(SNS利用者の200万人を対象)によると、インスタグラム(スポンサーなし)のフォロワー数が1,000人未満の場合は、投稿への「いいね」割合が全体の8%だったが、フォロワー数が増加するにつれて閲覧者の「いいね」割合が減少し始めるという。

インフルエンサーのフォロワー数が増加すると、関心を持つ閲覧者割合は逓減するらしい。(フォロワー数が1万~10万では2.4%、100万以上では1.7%まで低下する)
この減少傾向は、付与コメントの割合でも同様に減少する。これは、インフルエンサーに比べてマイクロインフルエンサーが狭い範囲(ピークが1,000人程度のフォロワー数を持つ特定範囲のユーザー)に対して、より深い影響力を持っていると解釈されている。(特定範囲とは、フォロワーが概ね数千人から数万人の範囲内)

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d-marketing.yahoo.co.jp

マイクロインフルエンサーの具体例をあげると、一般企業勤務であるが投稿動画等のセンスや感覚が話題となり、インスタグラムで数万のフォロワーを持つアカウントユーザー(インフルエンサー)が、タイアップした化粧品会社の商品画像の投稿や広告等には、フォロワーがそのセンスやライフスタイル等に強い共感を抱き、同じ化粧品の購買行動につながったケースがある。

従来は知名度や閲覧者への訴求力等を重視し、より多数のフォロワー数をインフルエンサーの評価基準としていたが、原則としてフォロワーに比例するインフルエンサーへの広告費用を考慮すれば、企業が訴求したい特定の支持層を含む中小規模のフォロワーを有するマイクロインフルエンサーの方が、費用対効果が高く有効だと考えられ始めている。

digiday.jp

企業の取り組み例

こうした状況を機敏に取り入れ、このマイクロインフルセンサーを自社業務に取り込む企業がある。

宝島社×THECOO

インフルエンサーマーケティングを手掛けるTHECOOと提携して女性誌『sweet』『mini』等のインスタグラム公式アカウントと、THECOO社関連の契約マイクロインフルエンサーによる同時タイアップ投稿を行うパッケージ提供業務を開始した。
宝島のインスタグラムアカウントは広範な女性層が閲覧しており、THECOOは特定のユーザー層に親和性の高いマイクロインフルエンサーをリストアップ出来るデータ分析(収集)能力を持ち、両者の連携で多くの女性消費者へ効率の良い働きかけが可能という発想だ。

news.thecoo.co.jp

ツインプラネット

ECサイトを中心にファッションブランドを扱うツインプラネットは、今までリアル店舗のないフッションブランドや雑貨ブランドを中心に、著名なスタイリストとの連携等で広範なメディア露出と店舗コーディネート等の展開をしている会社で、インフルエンサーやタレント・モデルに表参道の店舗を開放している。
同社はマイクロインフルエンサーを専属で所属させた動画インフルエンサー事業を開始し、動画制作から配信、プロモーションの一括実施を提供するとともに、ファッション業界や音楽レーベルへの展開も併せ、マイクロインフルエンサーのフォロワー増加も含む様々な支援を行っている。

tp-co.jp

ネット広告の経済効果の再検証

NHKのマイクロインフルエンサー紹介番組(経済オンライン)中では、メディアの信頼度について、友人・家族の推薦は78%の信頼、企業ウェブサイトでは67%、テレビ広告は61%という調査が紹介されていた。マイクロインフルエンサーの評価は、この「家族・友人」への信頼度・共感と同等になっているという。

企業の依頼による商品紹介でも、商品がマイクロインフルエンサーのライフスタイルにマッチしていれば、購入行動に移る充分な共感を得られると分析された。
このため、従来型の大規模な検索サイトやポータルサイトよりも、閲覧者が特定少数であるサイトへの広告出稿の方が効率よく、費用対効果も高いと考える企業の増加につながっている。

こうしたマイクロインフルエンサーの効果が認知されるにつれ、ユーザーのサイトだけではなく販売サイトや出版物にも利用されるケースもある。1件当たりの出稿コストは、フォロワー1名あたり1円程度と低額であることが利用拡大につながっている。

マイクロインフルエンサーの及ぼす広告関連経済への影響

こうした傾向の拡大が、マクロレベルでテレビ広告や従来型ウェブサイトに関する広告経費が減少するかどうかは未だはっきりしていないが、個人に近い存在のマイクロインフルエンサーを企業が広告媒体として利用すると言うことは、広告に関する費用の再配分に関連するのではないかとも言われている。

広告の費用対効果自体は様々な観点があり、本当に現在企業が実施している広告費配分が今後どうなるかは見方が分かれている。
今後、AIスピーカー(スマートスピーカー)の普及やIOT家電の浸透などに関連した広告効果が注目されるであろうことは間違いなく、また従来型のポスティングやダイレクトメールの効果にも再評価の動きがある。

例えば、ダイレクトメールは開封率が8割を越え保存率も50%近く、購買等への「行動喚起率」は約2割というデータがあり、ネット広告に比べるとコストは高いが費用対効果も高いと言う指摘がされている。ダイレクトメール大手企業のDMS(9782)は、こうしたデータがメディアで紹介されたことなどから最近株価が急騰している
こうした状況から、早晩ネット広告の出稿対象は再検証され、将来的にはネット関連企業の収益や売上順位などに変動があるかも知れない。

広告媒体の未来

マイクロインフルエンサーの広告自体は、影響範囲が狭いこともあって、まだ広告全体に占める経済的影響は限定的だ。
また、マイクロインフルエンサーの広告活動は、消費者に宣伝行為を知られないように広告を行うステルスマーケット(ステマ)の一種ではないかという批判もある。口コミの書き込みやSNS投稿を企業や飲食店等が行うことや企業の依頼による偽ユーザーの同等行為は後を絶たないが、マイクロインフルエンサーの行動は、同じく消費者を欺く行為だろうか。

見方は様々だが、マイクロインフルエンサーの広告行動を擁護する側は、フォロワーはマイクロインフルエンサーを支持する特定層に限定されており、不特定多数を対象とするステマとは違うと言う。
結局、是非の議論よりも広告におけるマイクロインフルエンサーの有効性が今後の展開を左右しそうだ。これからの広告活動は、広告の質(費用対効果)が重視され、ECサイト購入者がサイトから関連商品を推奨されることが常態となっているように、商品等の提示・勧誘が消費者の(暗黙の)許諾があれば許されると言う見方が多数を占めてゆくだろう。

スマホ、スマート家電、AIスピーカー等やお気に入りサイトが、おすすめ商品を推奨する時代には、マイクロインフルエンサーの様な個人と不特定多数のはざまに位置する発信者の存在が大きくなるのかも知れない。
多くのネット企業が広告収入で成立していることから、こうした中間的な広告媒体は今後も増加する可能性があると思われる。

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。