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AIスピーカー(スマートスピーカー)はどのように進化するのか

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AIスピーカーの人気が上昇中だ。
日経トレンディ誌が選定する「2018年ヒット商品予想」の第1位に、スマートAIスピーカーが選定された。まだ発売前の機種も多いが、今後日本でも急速に普及が進むと考えられているAIスピーカーは、現状の限定的な機能・性能からどのようにひろがってゆくのだろう?
各社AIスピーカー製品の特長紹介と搭載AIの内容に加え、今後のAI進化についても考えてみたい。

AIスピーカーとは

AIスピーカー(スマートスピーカーとも呼ばれる)は、ユーザーの話しかけ等を内蔵AIシステムが認識し、対話や家電操作などを処理することが可能なスピーカーだ。機種によってかなり機能の差はあるが、代表的な機能は下記のようになっている。

  • 音楽再生(クラウドデータ取得での新楽曲取得を含む)
  • ニュースや天気予報等
  • ユーザーのスケジュール管理
  • 家電(基本的にスマート家電等、遠隔操作機能保有)の操作
  • オンライン(ネット)通販経由の商品注文
  • ピザ注文等の出前(ネット対応)注文
  • タクシーや宅配便集配の申し込み   等


別名「ホームアシスタント」とも呼ばれるAIスピーカーは、基本はユーザーとの対話により様々な生活サポート可能なアシスタント端末だ。現在は音声操作のみが基本機能の機種が大半だが、今後は液晶画面搭載機種も予定され、サポート機能等もさらに増加すると思われている。

発売中及び発売見込みの各社AIスピーカーとその特徴

現在発売中(発売予定を含む)の各社AIスピーカー製品とその特徴を下記に簡単にまとめた。

各社AIスピーカーの一覧
機種名
メーカー
主な特徴
日本での発売
発売価格
(予定)
利用AI
Google Home
Google
音声認識制度
10月
15,120円
Assistant
Amazon Echo
Amazon
米国シェア1位
2017年内
12,000円
Alexa
Harman Kardon Invoke
Microsoft
タッチセンサー搭載
未定
150ドル
Cortana
HomePod
Apple
高セキュリティ
12月米発売
未定
Siri
Clova Wave
LINE
家電操作性能
10月
14,000円
Clova
LF-S50G
SONY
高音質
ジェスチャー対応
12月
未定
Assistant
SC-GA10
Panasonic
高音質
未定
未定
Assistant
VC-PX30
ONKYO
温度等センサー
2018年(車載)
未定
Alexa
TH-GW10
東芝
高認識率
未定
未定
Alexa
Petoco
Docomo
ビデオ通話
未定
未発表
自社AI


各社が発表している報道資料等の一部を、抜粋・紹介する。
Googleの「Google Home」は、AIに自社の「Assistant」使用しており、質問応答比率・正答率で、最高評価≪米のストーンテンプル社の質問反応と回答正確性の調査データによる「日経新聞掲載」≫がされたように、質問への的確な対応が評価を得た様だ。
音声認識の精度も比較的高い、ただし家電操作機能については、現状での対応商品は少ない。

store.google.com


Amazonの「Echo」には、Amazon独自開発のAI「Alexa」を搭載しており、2014年秋という米国発売の先行アドバンテージにより、7割を越えるシェアを持つ機種だ。
日本での発売も発表されており、2017年中に発売見込みだ。(Alexa搭載機はEchoの他にも、ONKYOや台湾、韓国メーカーから発売予定で、AI「Alexa」単体も販売)

weekly.ascii.jp


Microsoft の「Harman Kardon Invoke」は、Windows10に搭載されているAI「Cortana」搭載予定で、先行製品と同様な機能を持つ。製品上部のタッチセンサーが特徴で「なぞる」操作が可能だが、日本での発売時期は現在未定だ。

Apple社の HomePodには、iPhone採用の音声認識AI「Siri」を搭載し、天気やスポーツ結果等を知らせる機能を持つ。
音楽再生や音声認識については、同社発表で「部屋のどこに(何が)置かれているかをすぐに学習し、数秒で最適化して没入感のある音楽が体験出来るうえ、高度なエコーキャンセレーションによりユーザーの位置に関係なく大音量で音楽が鳴っていてもSiriが人の声を理解することが可能」としている。
さらに他社製品は、利用者の個人情報を送信したり、外部サーバー等で保管したりするが、HomePodは端末内でのみのデータ保管で、セキュリティ信頼性が高い。
ただし、Google Homeの2倍以上の高価格で、Apple信奉者以外への人気については未知数と言われる。

www.apple.com


国内勢で最初に発売となったのは、通話アプリ大手のLINE(3938) の「LINE WAVE」だ。
フルレンジのステレオサウンドと高いノイズキャンセリング技術による、5m離れた距離からの音声認識が特徴で、対話機能を重視している模様だ。占いなど日本独自の機能もあり、アジア圏での発売が中心とみられている。

clova.line.me


ソニー(6758)の「LF-S50G」には、Google Homeと同じAIアシスタントを搭載した今後のソニーの方向性があらわれた製品かも知れない。
音質等に、独自のソニーらしさを追求した製品だが、多額の費用と開発期間を必要とするAIについての独自開発はこだわらずに、高性能で定評のある既存AIを採用している。
スピーカー音質以外にも、ジェスチャー操作や時刻を表示可能な画面表示、台所での利用も可能な生活防水機能等、他の製品にはない機能が多く搭載されており、予想実売価格は2万5千円と他製品より高いが、性能や独自機能から発売前から多くの関心を集めている模様だ。

www.sony.jp


パナソニック(6752)の「SC-GA10」は、家電見本市「IFA2017」で発表され、自社ノウハウを生かし「高音質」にこだわった製品だ。
2017年冬に英・仏・独で発売予定だが、日本への投入予定は「可能性はある」にとどまっている。

www.panasonic.com


オンキョー(6628)は「VC-PX30」を9月より米国で先行発売し、2018年国内発売予定の車載用スマートスピーカー向けの開発も進めている。
Webカメラ搭載とクラウドサービスの組み合わせで、自宅等の様子を確認・録画可能だ。
温度・湿度センサー、照度センサーも搭載して、家庭のスマートホーム機器との連携も可能にした。スピーカーに新開発の振動板を搭載し、音にもこだわったという。

www.jp.onkyo.com


東芝(6502)の「TH-GW10」は“充満する生活ノイズの中での音声認識性能向上”を重点にAI「Alexa」を使用し、起動するトリガーワード認識にニューラルネットワークを使う。自社TV開発のノウハウを用いてチューニングしたことで、音声検索などについての高い認識性能を獲得したという。
さらに、ナイトビジョン内蔵カメラの監視・録画、ストリーミング配信などのワイヤレス通信、水漏れや屋内警報の監視・通知、照明や空調の監視・コントロール、専用アプリによる端末の遠隔コントロール等の多くの機能を持つ。
当初発売は北米向けのみだが、国内販売も検討中で、その場合は独自開発の日本語音声認識エンジン「リカイアス」(理解+US【私たち】)を搭載すると見込まれる。また、国内社の各種プラットフォーム対応も視野に入れているという。

www.toshiba.co.jp


NTTドコモ(9437)の「Petoco」は、長年にわたり日本語の対話AIを開発し“人と人とのコミュニケーションのサポートに特化したAIスピーカー”と発表している。
外出先からの自宅家族向けメッセージの送付、音声読み上げ(音声をテキスト変換し、アプリにメッセージ表示)や、ビデオ通話、ルームライト機能等を搭載しており、「子供を持つ共働き世帯」が当面のターゲットだ。

www.petoco.jp


この他にもシャープなど多くの企業でも、AIスピーカーの開発・販売が計画されている模様だ。

AIスピーカーの技術的進展

その名の通り、AIスピーカーの最大の特徴はAIの性能に左右される。
参考に日本経済新聞が今年6月に掲載した、米ストーンテンプル・コンサルティング社調査のAIソフト自動応答技術の精度比較データを見てみたい。下表のように、グーグルのAIが高い評価だ。採点内容では、上位二機種と下位二機種の差はかなり大きい。

AIパフォーマンス順位

 

応答率
正答率
合計
Assistant
1
1
1
Cortana
2
3
2
Alexa
4
2
3
Siri
3
4
4


販売シェアでは発売先行のアマゾン製品が高いが、AI性能はグーグルやマイクロソフト製が上位でAIスピーカーの普及が進んだ時、この差が製品販売にどのように影響するかが注目だ。
しかしながら、現在のAIスピーカーは要求や質問に対する応答が主で、現状では人工知能に期待される対話レベルには達していないようだ。特に、複数ユーザーのいる家庭等の使用には個人ごとのデータから適切な対応を行う高度な知的レベルが要求され、今後より高い性能のAIスピーカーが発表されるだろう。

これからのAIスピーカーの進化

こうした現在の技術水準を大幅に超えるAI誕生に大きな影響がありそうなのが、量子コンピューターの実用化だ。
これまでは、かなり将来の夢と思われていた量子コンピューター実用化が、米国のベンチャー企業が開発した「D-Wave」の登場でにわかに現実のものとなっている。

D-Waveはすでに数社が導入したとはいえ、特殊な用途に限定された量子アニーリングという方式のコンピューターで、そのままAIに採用出来るわけではない。
しかしNASAやグーグル、大学や研究機関等が運用開始しており、最適な投資ポートフォリオ作成に利用する会社もある。

また、マイクロソフト等多くの企業が量子コンピューターへの投資を拡大中で、将来有望な分野であることは間違いない。D-Waveの実現によって世界中の量子コンピューター研究が加速し始めている状況だ。
現在のコンピューターより1億倍速いとも言われる量子コンピューターだが、極低温が必要であり、そもそも普通のコンピューターの様な汎用利用は当面不可能だ。ただ、AIスピーカーの進化に必須である人工知能のディープラーニング(画像認識等の分野での機械学習)が、量子コンピューター活用で急速に高度化する可能性が指摘されている。(グーグルとNASAは共同で「量子人工知能研究所」を設立している)
意外に近い将来に、高度な対話と実用性に優れた優秀なAIが誕生するかも知れない。

monoist.atmarkit.co.jp

AIスピーカーのある未来

2018年初に、ソニーは12年ぶりとなる「aibo」新型を発売する。
旧機種「aibo」よりも実際の犬に近いデザインフォルムで、動きもなめらかだ。
AI学習システムを搭載し、オーナー認識機能で飼い主用のふるまいや周辺環境を把握し、行動範囲を広げていくモデルだ。次世代のAIスピーカー=ホームアシスタントロボットには、こうした進んだ学習機能や行動変化機能が求められそうだ。

aibo.sony.jp


AIスピーカーは、置き場所変更は可能でも基本的に固定使用の家電製品として今後も一定の位置を占めるだろう。しかし、そのAI機能が進化すれば、オーナーとの親密なコミュニケーションが必須になり、ペットのような飼い主にとって家族同様の大事な存在としてのポジションが期待されるのではないだろうか。

ネットを通じた仮想現実拡張の進行に対する、リアルのコミュニケーションツールの一つとして、未来SFに登場する意識ある家(家の諸機能と一体化したホームロボット)に近い、人々の生活に不可欠な存在になる可能性もある。
こうした方向への進化の兆しが見えた場合には、単なる便利な家電、物珍しい新商品の域を越えた、爆発的な普及が起こるのかも知れない。

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。