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【ディフェンシブ銘柄】優良内需企業のイノベーションと将来性

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北朝鮮をめぐる緊張の高まりから、不安定な動きを続けている株式市場では比較的地政学リスクの影響が少ない内需関連企業への関心も高くなっている。

内需関連企業は、予測し難い動きを続ける円相場にはあまり影響されず、安定した業績を示す優良企業は、成長期待も相対的に低い場合が多いので外人買いも入りにくい。
このため、相場下落時にもディフェンシブ銘柄として比較的下げ幅が少ないことが多い。
こうした銘柄への投資後、相場のトレンドが成長企業投資にシフトしても、中長期の視点で引き続き人気を集める可能性を持つ企業がないかを探ってみたい。

何故ディフェンシブ銘柄は下落時に買われるか?

内需関連株は、不動産市況や個人消費支出などの国内景気に左右されやすい、いわゆる景気敏感株は円高で株式相場が軟調の場合になると、連れ安(ほかの株式につられて値下がり)することも多い。
こうした相場で比較的抵抗感を持つのが、内需関連銘柄の中でもディフェンシブ銘柄と言われる、通信・薬品・電力・ガス・鉄道等の企業だ。

比較的好不況に影響を受けにくく、一定の需要が見込めるとして値を保つことが多い。
輸出比率の高い電機や自動車関連企業は、円高での相場下降時には真っ先に株価が低下する。
これに対しディフェンシブ銘柄は、景気に関わらず購入される製品が多く、売上低下による業績への悪影響は少ないので、不況時で買われる傾向が強い。
買いの主体は、日本株の組み入れ比率が一定割合決まっている海外ファンドや年金資金等の銘柄入れ替え、逆張り投資を狙う国内個人等が目立ち、もともと外人保有比率の低い内需関連株には、外人売りも少ないために、値を保つあるいは逆行高を示す理由だろう。

zuuonline.com

内需優良企業の革新への動き

相場下落時に集中するこうした銘柄への人気は、相場反転時にはおおむね逆方向に向かう。(停滞又は下落)
ただし、その時期の見極めは難しい。相場反転時期の判断が難しければ、ディフェンシブ銘柄からの乗り換えタイミングも分かり難くい。だが、景気上昇や外需好調時にも追随して上昇する銘柄なら、乗換は不要で長期保有でも良好なパフォーマンスが期待できる。

そんな銘柄は、やはり将来的に業績革新期待の材料がある銘柄だろう。
具体的には、内需重点から海外販売比率を増やす可能性や研究投資を含む設備投資等に成長可能性が感じられる銘柄ではないだろうか。

内需から輸出産業へ

現在、内需関連の売上が多い企業でも、将来的に海外売上比率が上昇しそうな企業は数多く存在する。

フロイント産業(6312)は、医薬品等の錠剤に関する、造粒・コーティング装置等の開発・製造・販売企業だが、創業以来53年連続黒字経営を続ける優良内需企業だ。
錠剤コーティングとは、薬品の表面に薬品名や記号を印字するもので、同社は国内では約7割のシェアを持っている。
薬剤に関しては、類似薬品名の多さなどから医療機関等での処方ミスや配剤誤り、患者の誤用問題が以前から指摘されており、同社のコーティング技術が医療機関との連携でさらに進化した印字(例えば飲み忘れ防止に曜日を印字する等。さらに、将来現在のマイクロQRコードの7割程度5ミリ未満のQRコードに10桁程度の数字情報が盛り込めるような規格が実現出来れば、必要な薬情報が常時本体に記載することも可能)が期待できる。

現状の海外売上比率は26%だが、その高い技術力は錠剤製造装置を中心に海外でも評価が高く、介護ニーズの高まりそうな中国も含め、今後の海外比重拡大が予想される。

富士電気(6504)は、発電機等のインフラに強みを持つ大手電機企業だが、自販機製造でも大きなシェアを持っている。セブンイレブンのコーヒーマシンは自販機ではないが、同社製品であり、海外展開が進むコンビニチェーンの拡大に関連した売り上げ拡大と比重の高いインフラ技術も含めた、将来的な海外関連事業の増勢が期待できる。

ソフトバンク(9984)は、移動体通信大手として内需型企業と分類されているが、話題になっている米スプリント等海外への大型投資や海外投資ファンド等に関連し、海外売り上げが増進しており、将来的には国際的な金融グループとしての可能性も注目されている。
借入金比率の高さなど懸念材料はあるが、飽和状態で採算向上が見込めない国内通信事業に代わり、グループの海外売り上げが好調なら、現在利益ベースでは1割以下の海外事業収益も将来の向上期待で、さらなる人気化があるかも知れない。

その他にも、海外展開や海外売り上げ増加が期待できる企業として大成建設(1801)は、東京オリンピック関連銘柄として人気化したが、アジアと欧州を結ぶトルコボスフォラス海峡トンネル建設で示した技術力が海外で高く評価されており、五輪後の海外展開が期待される。
パラマウントベッド(7817)は、中国での介護用ベッドの進展に期待、新幹線技術のインド等への海外展開に関連し、海外売上増進期待のナブテスコ(6268)等も注目企業だ。

kabu-maga.com

将来的なイノベーション期待をはらむ企業

ディフェンシブ銘柄でも、本業関連の事業において、革新的な事業計画を持つ企業は数多く存在する。

宇宙エレベーター計画を推進する大林組(1802)

大林組(1802)は4大ゼネコンの一角、業績は好調でもPERが比較的低い代表的な内需優良企業だが、極めてユニークな事業構想を発表している。
大林組が構想する宇宙エレベーターとは地球の静止軌道まで連結したケーブル等で人や物を運ぶもので、海外旅行程度の費用負担で特別な訓練もなく宇宙への旅が出来る夢の構想だ。

宇宙エレベーター建設には、静止衛星と同じ速度・軌道の静止軌道ステーションから地上駅までテザー(ワイヤー又は帯状の紐)を降ろすのだが、ケーブル全長が10万キロにもなり、構造物全体も含む膨大な重さを支えるケーブルに要求される強度の材料がなかったことが建設のネックだった。
だが、カーボンナノチューブの発明によって構想は夢想から実現に変わり始めている。
同社では2050年頃の構想実現を発表しており、技術的な課題が無数にあるが、壮大な構想には多くの注目が集まっている。
今後いくつかの課題が解決し実現可能性が高まれば、宇宙エレベーター建設事業が国内建設業界に限らず、世界的にも例を見ない巨大プロジェクトに発展する可能性を秘めている。

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www.obayashi.co.jp

セルロースナノファイバーの可能性を追求する王子HD(3861)

セルロースナノファイバーは、鋼鉄の5分の1程度の軽さで、5倍以上の強度を持つナノ繊維だ。木質パルプ等の原料から、植物繊維をナノレベルに精製して作成する。
原料細胞の主成分セルロースをナノレベルに微細化して、軽さ・強度以外にガラスの2%と言われる熱変形の少ない特性を持つ優良な素材だ。
木材由来のため、日本でも原料輸入なしで生産可能で環境負荷も少なく、自動車鋼板等への利用も検討される注目の新素材だ。
一昨年から実用製品も発売されて実用化段階へ進みつつあるが、現状の生産コストは1kg当り5千円程度で、自動車部品加工にはさらに樹脂との混合化学処理も必要なため、1kg/1万円程度と高額だ。

日本製紙はこのセルロースナノファイバーを、新製法により1000円程度(樹脂コスト除く)で量産可能とし、さらに2030年度には300円まで下げたいとの目標を公表している。
自動車部品等に使われ始めた炭素繊維は3000円程度なので、この新製法が実用化されれば不利だったコスト面で炭素繊維を上回ることが期待できる。
日本製紙は、内需中心の優良企業でPBR1倍以下、最近株価は上昇基調だがPERも平均的レベルにとどまっている。

最近、炭素繊維関連株は東レ(3402)をはじめ関連銘柄に人気が集まり始めているが、セルロースナノファイバーの低価格実用化に成功すれば、日本製紙の新たな収益源になる可能性もありそうだ。

www.sankei.com

三菱ケミカルホールディングス(4188) 生命科学インスティテュートの再生医療の実現化に向けた取り組み

生命科学インスティテュートは、傘下のClioが多能性幹細胞のMUSE細胞による再生医療の事業化に取り組んでいる。
人工多能性幹細胞(IPS細胞)利用のIPS細胞技術では、他人の細胞由来のIPS細胞を安価に製造する加齢黄斑変性治療薬開発を進めている、マザーズ銘柄のヘリオス(4593)が株式市場で注目されているが、ClioはMUSE細胞の機能性評価、非臨床試験および臨床試験に向けた製剤製造法の構築等と製剤の早期事業化に向けた事業基盤や体制の強化を進めている。

www.lsii.co.jp


MUSE細胞は、骨髄や線維芽細胞などの細胞に発見されて、IPS細胞の様な腫瘍性を持たない多能性幹細胞だ。この細胞は、がん化しにくいという安全性と生体内投与によって必要部位に到着後生着し、自発的に部位細胞に分化して組織修復・機能回復になるというもので、現在各方面で脳梗塞や心疾患、腎臓病等への臨床応用、再生医療への応用研究が進められている。

実用化成功の場合には大きな医療革新が期待され、IPS細胞に続く次世代医療のテーマとも言われる。
現在、Clioや親会社生命科学インスティテュートが三菱ケミカルホールディングス全体の売り上げに占める割合は低いが、将来MUSE細胞の完成、治験開始段階に入れば、同社のこの分野での急成長を期待する人気も高まりそうだ。

優良内需企業への投資妙味

ここでとりあげた企業以外にも、新規海外展開計画を持つ企業や興味深いプロジェクトや研究開発等を有する企業は数多くある。
上記企業も含め、海外展開や革新技術の実用化は当分先で、未解決課題や長い開発期間を要したりするものも多く、これらの要因が業績に寄与するまでには少し時間がかかりそうだ。

こうした銘柄を発見し、割安な間に購入して長期的に保有出来れば、こうした企業の多くが配当利回りも高い優良企業であり、将来への夢もあわせて中長期の高い投資パフォーマンスを得られる期待が持てるのではないのだろうか。
(海外比率・株価指標等:9月5日現在のYahooファイナンスデータを参照)

 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。