Money Clip

お金に関するニュースをクリップ!

半導体活況から5G銘柄へ?人気テーマの関連銘柄を占う

f:id:Money_Clip:20170818154805j:plain

2020年からのサービス開始と言われていた次世代移動通信用の5Gシステムが、規格統一の進展で当初想定より早期の供用も浮上している。
大容量・高速通信を提供する5G関連で、「IoT」「ロボット・AI」「VR(AR)」「自動運転」「ドローン」などの次世代テクノロジーやクラウド上のビッグデータ高速処理等に必要な5G通信統一規格の決定が期待されている。

半導体市況の活況から半導体関連銘柄の物色が盛んだが、同様に広い分野の関連銘柄が期待されそうな5G関連の企業への注目も高まっている。そこで、検討されている5G規格の内容と注目したい関連銘柄の一部を紹介したい。

第5世代移動通信システムの内容と統一規格の検討状況

f:id:Money_Clip:20170818160243j:plain
5gmf.jp


第5世代と言われる移動通信システムは、普及が進んでいる4G(LTE)の次に主役となる次世代通信規格だ。
5Gの規格は、主なものだけでも4G通信の1000倍クラスの大容量、ピークデータレートの引上げ(10Gbps以上)、低遅延性向上、多数端末同時接続等の機能が予定され、一段の省電力も期待されている。

現在進められている規格標準化では、通信サービスのより高度なブロードバンド化の要望と全てのものがインターネットにつながるIoT実現の時代に適合する、より高度な規格への要望との双方が強く意識されているようだ。
また、新しい5G規格への移行にも既存の4Gシステムとの互換性を重視する意見と互換性による制約なしで、一気に性能改善を図る意見との対立もある。

NTTドコモはどちらかといえば後者の立場で、2020年の5G導入初期には大容量化が必要な都市部エリアなどを中心に飛躍的な超高速・大容量の次世代移動通信環境の実現先行を検討しており、2018年中の規格確定を提案した。

www.nttdocomo.co.jp


一方、国際的標準化勧告を行うITU-Tレビュー委員会(日本の要請により世界電気通信標準化総会で設置)の要求条件は、2019年末までの規格化完了で、段階的な標準化アプローチを想定している。当初から多機能化を実現するよりも、まず超高速・大容量等の基本的性能が優先的に実現できる設計が現実的という立場だ。
しかしIoT等での同時多数端末接続機能などはある程度サポートする予定だったが、時代の要請もあり、実際にはさらに多くの機能が盛りこまれそうな状況に進んでいる。
また既存の低い周波数帯から、将来的にはより高い周波数帯まで利用できる幅広い周波数帯が想定されているが、2020年頃(商用供用開始予定時期)の利用可能周波数帯には、大手キャリアや参加各国の戦略等の違いにより意見が分かれており、IoTのための規格最適化、多端末対応や高信頼・低遅延機能をどこまで規格に盛り込むかという点も議論されおり、最終形はまだ決まっていない。

そんな中でも、既に各国の研究プロジェクトや事業者等により様々な5G無線技術開発が先行的に進んでいる。
基地局と端末との通信方法には利用する通信ビームの組み合わせ選択や制御方に定められる規格内容によって、上述した二つの目的(超高速・大容量のブロードバンド化とあらゆる機器を無線ネットワーク接続で利用する高度なIoT等のサービス)をどこまで実現可能とするのかが、技術的な関心事だ。

いずれにせよ、5G標準化動向は流動的であるにも関わらず、少しでも早い実用化スタートに向け標準化前に前倒しで技術的課題解決に向け多方面で研究開発が進んでいる。
今後定められる標準規格の内容次第で、関連企業への影響度合い変化も予想されるところだ。

5G対応のインフラ整備及び製品関連企業

現段階では、スタート時の5Gの規格さえ決まっておらず、今後かなり変わる可能性はあるのだが、すでに多くの関連銘柄がリストアップされている。
第4次産業革命とも言われるIoT時代の実現に向けて、次世代通信技術の必須条件である5G通信は、教育や医療分野も含めた全産業が変革する契機にもなりそうで、産業の革命時代とも言われている。
この時代を制するための企業や国家間の競争激化も、5G規格の実現が急がれる背景だろう。

「5G標準化の早期策定に関する共同提案」には、世界の二十社を越える企業が参加しているが、日本のNTTドコモ(9437)KDDI(9433)、米国のAT&T、インテル、クアルコム、そしてソフトバンク(9984)傘下のスプリント等世界各国の有力携帯キャリアが入っており、それぞれ各種実証実験を進めているとみられる。

さらに5Gは無線規格にとどまらず、既存の無線通信網だけでなくネット接続のデバイス(IoT製品)数の飛躍的増加が可能になる規格であり、これが「2020年はIoT元年」とも言われる理由だ。すべてのデバイスに各種機器(ウェブ対応のコントローラ等)が組み込まれるIoTの可能性も広範囲で、5G関連銘柄はかなり幅広い業種にわたっている。
非常に広い分野に関連しているため全ての関連企業までは紹介しきれないが、市場で話題になっている銘柄の注目点を、5G規格の二つの方向性(高速・大容量化と機器の同時多数接続対応)によるメリットごとに紹介したい。(規格決定に意見が分かれているとはいっても、相反するものではないので、区分した銘柄の利点が規格決定次第で必ず大きく変動するとは限らない)

www.gizmodo.jp

高速・大容量での期待銘柄

ネクストジェン(3842)

通信サービス系ソフトの企画・開発等により、通信事業者向けソリューションを主力の同社は、5Gの制御システム開発も手掛けている。
従来からのNTTドコモとの連携に加え、2017年2月に電気工事大手の協和エクシオ (1951) と資本・業務提携した。
提携内容は「エン タープライズ向け音声ソリューションの販売、構築、保守などにおいて協業を進め(中略)キャリア、エンタープライズ向けに、より高度で広範な通信系サービスの一元的な開発、提供を目的に、資本提携及び業務提携に関する基本契約を締結(後略)」となっており、5G対応レベルの高付加価値サービスの提供等、次世代通信網への対応が期待されている。さらに5G関連事業として、病院・介護施設向け停電対策システム販売の進展も期待できそうだ。

www.nextgen.co.jp

サイバーコム(3852)

5Gによる飛躍的な通信速度上昇の恩恵を早期に享受出来そうな企業がサイバーコムだ。
通信分野を中心としたソフトウェア開発企業として、LTEネットワークやIP伝送装置、さらに次世代ルータ、ネットワーク監視システム等が以前から5G関連銘柄として人気化していた。
だが、これらに加え同社では自動運転に関連する受注や、5G通信向けソフトウェアの先行開発が始まっており、非常に広い分野で次世代通信関連の主役として期待されている。
特に最近話題の自動運転技術には超高速通信が可能な5G規格が必須であり、カーナビ等自動運転関連の技術・製品で強みを持つ同社の業績向上が注目される。

www.cy-com.co.jp

構造計画研究所(4748)

本業は、構造物の設計業務だが、東京オリンピックでのスマートロックやスマートハウス等の宿泊施設分野や情報通信利用で、5G導入に積極的な企業だ。(IoTで注目されている米国半導体企業との「NVIDIA」とも提携実績がある)
従来から、自動運転関連銘柄やドローン関連銘柄としても市場で注目されていた企業でもあり、この点からも5G関連としての人気上昇が期待出来そうだ。

www.kke.co.jp

村田製作所(6981)

通常携帯電話は、必要な信号波のみ受信し、不要な妨害波を遮断する「フィルター」を使用している。このフィルター製造で大きなシェアを持つのが村田製作所だ。
これからのIoT機器には、同様の理由で妨害波遮断用のフィルターが各製品に組み込まれる。
5G規格の進展で携帯電話等には膨大な買い替え需要が発生するだろう。
同社は部品のモジュール化を進めて、大量の製品組み込みに備えており、IoTの進展により5G進展後、急速に需要増加の可能性がある。

www.murata.com

アンリツ(6754)

5G実用化以降、IoTでの無線通信と有線通信の融合が進むと言われている。(速度やコストで両者を区分する意味がなくなる)
アンリツは、無線・有線双方で技術的優位を持ち、スマートホームや自動車の運転支援システムなどでの実績を持つ。今後のIoT特にM2Mと言われる機器間通信に、この技術開発のニーズがかなり高まりそうだと言われている。

高規格の5Gによる、より高度な通信機能の関連銘柄

高規格5Gの対応で特に注目されるのがセキュリティ対応関連技術で、自動運転やIoTを支える「低遅延化」と「多数同時接続」への対応だ。
例えば、自動運転では車間距離測定など多様なデータを瞬時に取得する必要がある。
取得遅延があるとブレーキ制御が遅れたりして事故につながるからだ。
さらに、膨大な数のデバイスがインターネットでつながるIoTでは膨大な数の機器について「多数同時接続」が必要だ。

1機器当たりでは小さなデータ量を扱うIoTは、高速・大容量に特化したLTE技術向きではなかったが、大容量・高速化より多数接続対応が要請され、高度なセキュリティ等の新たな需要が生まれる。
5G実用化にはサイバーセキュリティ技術が特に重要だ。家庭のIoT製品や自動運転車等がハッキングされないよう、レベルアップしたセキュリティ技術が必須だろう。

ラック(3857)オプティム(3694)ブロードバンドタワー(3776)

5G関連セキュリティ分野への参入予定企業は多いが、データセンター等のセキュリティ対策で先行する「ラック」や、不正遠隔操作防止技術に注力の「オプティム」、そして都市型データセンターとしての各種サービスに強みを持つ「ブロードバンドタワー」に期待したい。
特に、ブロードバンドタワーは、都心の飲食店等のPOSシステム対応を中心に、IoT事業への進出を発表しており、決済関連のセキュリティは、実用化に不可欠なセキュリティ技術の提供として注目されている。

www.lac.co.jp
www.optim.co.jp
www.bbtower.co.jp

三菱電機(6503)

言わずと知れた総合電機企業だが、実はシーケンサ、プログラマブルコントローラーで大きなシェアを持つ。
5G利用のIoT機器では、様々なスイッチ・センサ類の制御用にこうした装置が必要であり、さらにデータ解析用のシーケンサも、5Gで需要が増大しそうだ。〔同様な需要は、オムロン(6645)富士電(6504)横河電(6841)キーエンス(6861)等にも波及するだろう〕

www.mitsubishielectric.co.jp

アルチザネットワークス(6778)

元来は高速データ通信向けなどに強みを持つ通信計測機メーカーで、LTE規格の携帯基地局の性能測定計測器で高シェアを持つ強みがあり、5G対応のデータ処理迅速化などの開発やデータセンター向けの製品も強化している。
多方面での5Gメリットを持つ同社だが、IoT実現技術、特に複数の機器群との通信技術での強みも注目だ。

PALTEK(7587)

5G関連の通信機器では、外国製半導体の販売を手掛けるPALTEKにも注目したい。
プログラム可能な半導体やIC・メモリーが主力商品だが、成長事業として、航空・宇宙分野での設計受託や病院・医療機器向け装置等の自社製品開発も手掛けている。
5G通信への転換は自動運転同様に、宇宙・軍事産業部門でも、これまで不可能だった高度な相互通信制御により大きな進展が見込まれており、同社の強みがこれら分野も含めた多方面で発揮される可能性もありそうだ。

www.paltek.co.jp

理経(8226)

官学との連携で強みをもつ技術商社で、同社は上記のアルチザネットワークス社と販売代理店契約を締結している。
無線通信では、送信機と受信機で複数のアンテナを使い通信品質を向上させるMIMOという技術で高速化することが一般的だが、5G通信実用化に関しては8本アンテナ対応の更なる高度化対応が必要と言われる。同社はこのMIMO製品取り扱いに強みを持ち、大手を含む通信機器関連メーカーからの需要増加を見込んでいる。

www.rikei.co.jp

5G通信関連銘柄への期待

ここでは5G期待銘柄のごく一部しか紹介できなかったが、上述した様に関連銘柄は非常に広範囲に渡る。また、高速・大容量実現規格を期待する銘柄と同時多端末接続規格が業績寄与する銘柄に便宜的に二分して紹介したが、上述したとおり相互に関連する規格であり、業績への寄与に早急な規格統一が望まれる状況は同じだ。

本稿の表題は「半導体から5G」だったが、当然のことながら5G規格が予想通り急速に進展した場合、関連する対応製品への代替需要も加わり、既に需要がタイトな半導体市況はさらに好況が期待できそうだ。
例えば、半導体ウェーハー大手のSUMCO(3436)が、最近高精度ウェーハー増強の設備投資増強を発表したことからも、中期的な半導体需要の強さがうかがえる。
今後の5G規格標準化動向に関連する銘柄選定を検討しつつ、半導体関連銘柄も含めて中長期のパフォーマンスが期待できる銘柄には引き続き注目していきたい。

参考:文中紹介以外の主な注目5G関連銘柄

JIG−SAW(3914)日立(6501)NEC(6701)富士通(6702)パナソニック(6752)ヨコオ(6800)デンソー(6902)原田工業(6904)アイレックス(6944)トヨタ(7203)アイ・エス・ビー(9702)

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。