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「つみたてNISA」や「iDeCo」から読み解く、国の制度の真意とは

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「あなたは国の制度に関してどれほどの関心がありますか?」
近年、日本人の政治離れや政治意識の希薄化などが問題視されています。これは国の制度についても例外ではありません。

例えば、今年1月より個人型確定拠出年金(愛称:iDeCo)が制度改善されたことを知っていますか?今年の制度改善によって、国民年金を納めている20歳以上の大多数の方が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できるようになったのです。
また、今年の税制改正でつみたてNISAという制度の新設が決まりました。つみたてNISAは来年2018年1月から施行されます。

つみたてNISAやiDeCoのように、国の制度は年々新設されたり改善されたりしているのです。新設や改善される制度の内容を知ることは大事なことです。しかし、それよりもさらに大事なことがあります。
それは「なぜ、つみたてNISAが新設されるのか?なぜ、iDeCoが制度改善されたのか?」と国の意図を考えることです。

国の新設制度や制度改善は国の考えを知る大きな指標になります。
そこには国から国民へのメッセージが隠されているのです。このメッセージにあなたが気付けるかどうかで、今後のあなたの人生が大きく変わってくるかもしれません。

今回は、つみたてNISAの新設と個人型確定拠出年金(iDeCo)の制度改善に注目し、これらの政策から国が国民にどのようなメッセージを伝えようとしているのか解説していきたいと思います。

2018年制度開始!「つみたてNISA」とは

平成29年度の税制改正で可決され新設された「つみたてNISA」を紹介します。
投資に詳しい人ならNISA(以後「現行NISA」と表記)という制度があるのをご存じでしょう。
現行NISAは少額非課税制度と言われ、年間投資額120万円を上限に運用によって生じた運用益や配当金、分配金が5年間非課税になる制度です。
基本的に運用益等には約20%の税金がかかってしまうのですが、現行NISAを利用すればゼロつまり非課税となるのです。

www.fsa.go.jp


現行NISAの設立には、現役世代の投資率を上げたいという国の意図があったといわれます。しかしながら、現行NISAによって増加したのは主に高齢者の投資家で、現役世代にはあまり普及しなかったのです。
そこで国は平成29年度の税制改正でこの現行NISAに並行して「つみたてNISA」という制度を新たに導入することに決めました。

 

現行NISA
つみたてNISA
対象年齢 20歳以上(日本在住) 20歳以上(日本在住)
投資対象商品 国内外上場株式/国内外ETF・ETN/国内外REIT/新株予約権付社債/公募株式投資信託 長期積立・分散投資に適した公募等株式投資信託
※信託期間20年以上または無期限、非毎月分配型
投資可能期間 10年間(2014年~2023年) 20年間(2018年~2037年)
非課税期間 投資開始から最長5年 投資開始から最長20年
年間投資上限 120万 40万
累計非課税投資額 600万 800万


つみたてNISAは年間の投資額40万円を上限に20年間、合計800万円までの資産を非課税で運用できる制度で、着実に資産形成できるように制度を整えてあります。

まず投資対象商品は、国の厳選なる基準をクリアし、積立・分散投資に適した公募等株式投資信託、ETF(上場投資信託)に限られます。これらの商品に積立投資及び分散投資を行うことによってリスクを軽減させることができ、比較的安定的な運用が見込めます。また、運用益は全て非課税になるので運用で得られた利益を全て享受できます。
つみたてNISAは投資初心者向けでもあり、資産運用を始めるのに最適な制度となるでしょう。

対象は全日本人に?個人型確定拠出年金(iDeCo)の制度改善

個人型確定拠出年金(以後「iDeCo」と表記)という制度をご存知でしょうか?
iDeCoは満20歳以上60歳未満であること、国民年金に加入していることを条件に加入できる私的年金制度です。個人が毎月掛け金を積立ていき、長期間で複利運用します。
運用できる金融商品は元本確保型商品(預金や保険等)か投資信託です。
iDeCoで積立てた資産は60歳になったときに受け取ることができます。

iDeCoの主なメリット
  • 積立てた掛け金はすべて所得控除として所得から差し引くことができる
  • 掛け金を運用した際に発生する利益はすべて非課税
  • 受け取るときに公的年金控除や退職金控除を受けることができる


などがあります。つまりiDeCoに利用によって税制面において多くの優遇措置を受けることができるのです。

さて、そんなiDeCoですが今年1月よりどのように制度が改善されたのでしょうか。
今年の制度改善により、制度に加入できる対象が大幅に拡大されました。iDeCoは今までは自営業の方など限られた人しか加入できない制度でした。
しかし、今年の制度改善で公務員や専業主婦、一部の企業年金(企業型DC)がある会社員でも加入ができるようになったのです。あなたがもし20歳以上なら、おそらく制度を利用できるでしょう。
制度改善によりiDeCoはかなり身近な制度になったといえます。

www.ideco-guide.jp
clip.money-book.jp

日本における、将来の経済リスクを考えよう

本記事のテーマは新設制度や制度改善から国の真意を探るというものでしたね。
つみたてNISAの新設やiDeCoの制度改善には国民に対するどのようなメッセージが込められているのでしょうか?
ヒントはつみたてNISAにiDeCo共に将来に向けた資産形成を行う制度であるという点です。

さて国からのメッセージを考える前に知っておくべきことがあります。
それは日本における、将来の経済リスクです。一旦話を逸らし、将来の経済リスクについて考えます。

インフレ化する日本

さて、現在の日本において有効な資産形成は主に預貯金ですよね。将来に向けて預金する。先見の明を持った素晴らしい行いだと思います。
しかし、預金だけでは資産が減ってしまう可能性があるということを知っていますか?
実はこれからの時代、現金や預金のみで資産形成していたら、お金が増えるどころか減っていく可能性があるのです。なぜ預貯金だけだと資産が減っていく可能性があるのでしょうか。

現在日本は深刻な少子高齢化に直面しています。人口減少によって予測されるのは消費の減少です。消費が落ち込むとどうなるでしょうか。企業の業績が悪化することが懸念され、日本経済も次第に悪化していくことになります。

また、消費が落ち込むと物価はどうなるでしょうか。物価は上昇します。つまりインフレになるのです。
因みにアベノミクスでは物価上昇をさせようと躍起になっていましたが、これはあくまで国の経済成長によってインフレを誘発させることを目標にしたものです。
経済の悪化によるインフレには悪影響しかありません。

人口減少などにより日本の経済が縮小していけば、自然と円は売られます。日本の通貨を持っておく価値がなくなるからです。円が売られるということは円安になるとういうことです。円安になれば、結果インフレになります。

さてこのようなメカニズムでインフレしたときにあなたが預金してるお金の価値はどうなるでしょうか?結論から言いますと、お金の価値は減ります。
インフレになった時に政府が利上げをしてくれたなら貨幣価値の減少を防ぐことができるのですが、これはあまり見込めません。というのも政府はイールドカーブ・コントロールにより「しばらくの間は物価が上がっても利上げを行わない」と宣言しているからです。
物価が上昇しても政府が利上げを行わなかった場合、実質的にお金の価値は減ります。
つまり、私たちはインフレによるお金の価値低下に負けない資産形成を行う必要があるのです。

社会保障制度の縮小

ずっと働き続けられればいいのですが、そうはいきません。事故等によって働けなくなる可能性もあります。定年退職を機に仕事からリタイヤを考えている人もいるでしょう。
このように日本では国民の生活を支えるために年金や医療などに様々な社会保障制度があります。

しかしながら人口減少によって、このような社会保障制度が維持できなくなってきている現実があるのです。しかし、社会保障制度をなくすことはできません。国の信用問題に関わってくるからです。
そこで政府は公的年金の支給額の減額や増税などの対策を行うことが予測されます。
つまりは社会保障制度の縮小が行われるのです。社会保障制度が縮小されると言うことは、その分の備えをあなたが行なわなくてはいけないと言うことです。

つみたてNISAやiDeCoから読み解く、国から国民へのメッセージとは

ここまで解説したらつみたてNISAの新設やiDeCoの制度改善にはどのようなメッセージが込められているのか気づくのではないでしょうか。
つまり政府は国民独自で資産形成を行なって欲しいのです。国は、「その為の手助けならするよ」と手を差し伸べてくれているのです。
つみたてNISAやiDeCoは将来に向けた資産形成ができる制度です。

これらの経済リスクを回避するには預金の一部を投資に回し資産運用を行うことです。
しかし多くの人は「資産運用は資産が減ってしまうかもしれないから預金の方がいい」と思うでしょう。確かに資産運用は元本割れのリスクが伴います。
しかし、先ほども述べたように預金していてもお金が減る可能性はあります。

例えば、つみたてNISAを利用し、月々3万円ずつ運用し、これを20年間利回り3.2%で運用できた場合、資産は20年後1000万円を超えます。
これはあくまで一例の数字であり。仮定の話にすぎませんが預金するよりは、いいでしょう。
iDeCoも毎月積立てた掛け金を運用しそれを60歳になって受け取る制度です。

何度も言いますが、国は国民が主体的に資産形成して欲しいと思っているのです。
このような資産形成を手助けする制度は今後増えていくと考えられます。
もっと“日本の制度に関心を持ちどのような意図で制度が作られたのか考える”必要があるでしょう。
国からのメッセージにはあなたが気づくか気づかないかなのです。
因みに、つみたてNISA(2018年1月から)やiDeCoはあなたの資産形成を手助けしてくれる良い制度だと思います。まずはつみたてNISAやiDeCoの利用から考えてみてはいかがでしょうか。

国の制度を味方につけるか手放すか。
あなたはどちらを選びますか?

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170512103840p:plain升屋 豊久/関西学院大学経済学部所属 (2017年4月現在)
音楽家を目指す傍ライター業を開始。ライター業中に20代からライフプランニングを行うことの重要性に気づき、年金制度や資産運用などFP分野に関連する勉強を始める。ライターとしての実績を積みながら、CFP資格の習得を目指している。コンセプトは「人の為になるライティング」