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相続を争続としないために遺言書の書き方のノウハウ

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現在の日本は多死社会に突入したといえる。どの家庭にとっても、相続の問題は避けきれない問題だ。
相続をスムーズに行うには遺言書が有効であるといわれているが、どのような遺言書を書いて家族に残していくべきかは悩みどころだ。遺言書の書き方、遺言書を残す意味について確認する。

遺言書とは

遺言書とは、被相続人が遺族の遺産相続をスムーズに行うために、遺産に関する指示を残した最後の意思表示を示したものである。遺言書には、遺産分割方法の指定や自分の財産の処分方法などを明記することができる。

相続では、財産だけでなく被相続人が残した債務や権利・義務まで引き継がれる。相続人となる遺族にはトラブル防止のために、きちんと遺言書を残しておかなければならない。

相続の対応を計画的に進めるためには相続トラブルを防ぐこともとても重要です。どのようなトラブルが多いのか、事前に把握しておくことで回避しやすくなるでしょう。
まず挙げられるのは遺産分割に関するトラブルです。誰がどの財産をどれくらいの割合で相続するのか、意見が対立しトラブルとなります。意見がまとまらないと最終的には裁判所で調停・審判をすることになってしまいます。遺言書が無い・兄弟姉妹が相続人に含まれる場合にトラブルになるケースが多いようです。
これらのトラブルを避けるためには、だれがどの相続財産の相続人になるのか・不動産をどう扱うのか等についてできる限り話し合いの機会を設けたり、被相続人が遺言書を用意しておくことが効果的です。

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遺言書には自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言の3つの種類がある。
遺言者はいずれかの方法を選択し、相続人たちに遺言を残すことができる。ただし、遺言書は書き方のルールを無視して作成した場合、遺言書としての効力が無効になるので、遺言書の書き方のルールを知っておく必要がある。
また遺言書がある場合は、遺産分割もスムーズに行えるので相続が発生した時に有効となる。

1. 自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書して押印を行う遺言方法だ。
この自筆証書遺言は、自分で文字が書けて押印ができる状態であれば作成できるので、3つの遺言方式の中で最も簡単な遺言方法であるといえる。
ただし、自筆証書遺言は15歳以上であることと、家庭裁判所での検認が必要になる。よって、無効にならないような書きかたを知っておく必要がある。

自筆証書遺言を行うには、以下の点を満たす必要がある。

  • 必ず、自分の直筆で書く(代筆やPCでの作成は不可)
  • 遺言書がいつの時点で書かれたのかを明記する
  • 署名と押印を必ず、行う。
  • 夫婦の共同遺言はできない

2. 公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が公証役場の公証人に遺言内容を伝えて公証人は遺言者から聞いた内容を遺言書に記載するという、共同で遺言書を作成していく遺言方法だ。
専門家である公証人役場の公証人のチェックがあるので、自筆証書遺言の場合と比較して確実性があり、遺言が無効になる事も無く、裁判所の検認も必要ない。 ただし、公正役場の公証人に依頼する必要があるため、費用が掛かりすぐに作成出来ないという点ではデメリットであるといえる。

また、公正証書遺言を行うには、以下の書類が必要となる。

  • 遺言者本人の印鑑証明書
  • 遺産に不動産が含まれる場合には、登記簿謄本及び固定資産の評価証明
  • 遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本
  • 財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票

3. 秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言者が遺言の内容を誰に知られたくない場合に利用する遺言方法だ。
遺言者が自分で書いた遺言書を公正役場に持って行き、間違いなく本人のものである事を明確に出来るという特徴がある。
ただし、秘密証書遺言は公証人も遺言内容を確認することができないため、専門家のチェックが無く、遺言書の不備が残る可能性が高い。また自筆証書と同様に、家庭裁判所での検認が必要なのがデメリットであるといえる。
よって、遺言書の存在を遺族に明確に残すには自筆証書遺言か公正証書遺言のほうが有効であるといえる。

遺言信託の活用

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出典:xls.co.jp


遺言信託とは、一般的には信託銀行が提供する遺言の作成や執行に関するサービスのことだ。
遺言信託を活用すると、遺産を信託銀行などの受託者に信託して老妻や認知症などの遺族の生活安定のために管理や運用を行ってもらうことができるため、遺言者の安心感を得られるというメリットがある。

また、信託銀行が行う遺言信託の主な業務としては、遺言執行業務がある。
遺言執行業務とは、遺言書作成の段階から遺言内容の実行までを引き受けるものだ。遺言書は公正証書遺言に限られる。
この業務を委託するには、信託銀行を受託者として遺言執行引受予諾契約を結ぶ必要がある。そして遺言者の死亡によって、信託銀行は遺言執行者として遺言内容の実現を実現させていく。
遺言書の作成方法や財産分与の方法が不明な場合や、自分の死後の遺言実行までをすべて、行って欲しいと考えている場合には遺言信託は有効であるといえる。

遺言控除の創設の検討

2015年に政府与党は、相続税の基礎控除の上に上乗せして控除する遺言控除の新設を固め、平成29年の税税制改正に盛り込む予定とした。
実際に遺言書を作成して相続を行っているのは全体の2割弱であり、公正証書遺言の作成は全体の8%程度にとどまっている。よって遺言書の作成を促進する狙いとして、遺言控除の新設を検討しているといえる。

相続の問題は相続勢が発生するかどうかに限らず、切実な問題だ。実際に相続の紛争が起きるのは、遺産が100万円以下の場合が多いといわれている。
相続トラブルを防ぐには、遺言書を作成しておいたほうがよい。ただし、遺言書を有効且つ確実に遺言を実行させるには、公正証書遺言を行うべきだ。そして万全を期すには、遺言信託の活用も検討するべきだろう。

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170119115649j:plain 藤崎 徹(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所勤務を経て、上場企業にて内部統制コンサルティング業務に携わる。現在は資格学校にて日商簿記試験対策・経理実務講座・税法実務講座と、FP継続研修講座にて財務分析や決算書セミナーを担当。
<保有資格> AFP、CFP科目(タックス)、日商簿記1級、税理士会計科目