Money Clip

お金に関するニュースをクリップ!

「SELL IN MAY!」本当に5月は売りの季節なのか? ~格言の知恵を探る~

f:id:Money_Clip:20170428112921j:plain

「SELL IN MAY(セルインメイ)」という株式格言がある。証券市場の相場変動サイクルなどの要因と過去の経験則から5月は売りの好適期だという。
では、今年も5月は売りの好機なのだろうか?
現段階では不安定な相場環境から脱し始め、適合するようにも見える反面、逆の動きの前兆とも思える。
様々な格言に秘められた相場の知恵を、最近の状況と合わせて紹介する。

相場格言とは

相場には株式や為替取引に加え様々な商品取引もあり、古くから多くの相場格言が残っている。
現在のような、地政学リスクにより大きく相場が(理論的水準、指標を無視)変動し、相場の方向性が見えにくい時には「休むも相場」という格言に従うのが賢い投資家のとるべき道かも知れない。

しかし様々な理由で、筆者の経験から考えても相場の急変時に“休む”のは難しい。
そこで、5月相場の今後予想される状況と「SELL IN MAY」に関連のありそうな格言をいくつかご紹介しよう。

ウォール街で流布している格言に「感謝祭で買い、新年に売って、X’masの債務を払おう」という1966年に過去約70年の相場動向から生み出されたものがある。
この格言は、統計的な整合性が立証されており、日本でも年末年始の相場に同様な「11月は買いの絶好機」という格言が兜町の相場師によって残された。
季節循環からの理論的な整合性があるこの鉄則は、11月からの一般的な信用期日となる半年後の5月の相場動向に影響がありそうだ。

一方、千利休の言葉に「人のゆく裏に道あり花の山、いずれを行くも散らぬ間に行け」という有名な一句がある。戦国堺の商人だった利休らしい言葉で、大暴落など相場付きの大きな変化の際には忘れてはならない言葉だろう。

同趣旨の格言に、ウォール街の大相場師ウォーレン・バフェットの「コマドリを待っていたら春は過ぎ去ってしまう」という言葉もある。彼は「株式投資は見逃し三振のない野球だ」とも言っている。
逆張りの好機をじっくり待つ利点を彼ほど実現している投資家はいないかも知れない。
そんな時に、相場格言は意外なよりどころになるかもしれない。

5月相場への期待と不安

本題に戻り「SELL IN MAY」は、今回も正しいということになるのだろうか。
4月の地政学リスク上昇、特にフランス大統領選の行方と北朝鮮情勢の複雑化により相場は下落基調だったが、仏大統領選については第一回投票が予想通りであったため、相場は戻り歩調にある。

今後、5月7日の仏大統領第二回投票や韓国大統領選挙もあり、引き続き北朝鮮の動向も不透明なことなど地政学リスクの顕在化は無視できない。
このため、引き続き5月の相場の展開は予断を許さないのだが、可能性としては5月中に今年の高値を狙う動きもありそうだ。

toyokeizai.net


米国市場は、例年実際に格言通りNYダウが5月近辺で高値を付けることが多い。
主な理由としては下記の事項が挙げられる。

  • ヘッジファンドの45日ルールに伴う換金売り
  • 年末高値の信用買い残増加の反対売買(6ヶ月)決済
  • 税制対策(12月の年度末に損出しの売り行為で年間所得を調整し、その還付額が翌々月から5月まで続くため、資金余剰となっている間は、相場が強い)
  • 6月中間期末の投資のポジション調整(特に先物取引の売却調整)
  • 5月は下がるという投資家心理による売り注文増


但し、いずれにも長期にわたる検証結果や学問的に立証された明確な理論はなさそうだ。もう一つ注意しておきたいのが「SELL IN MAY」の格言は、正確には下記の通りである。

“Sell in May and go away, don't come back until St.Leger day(9月の第2土曜日).”
「(株は)5月に売り払って、9月まで戻るな」となっており、いろいろな要因が考えられるが、結論として秋口までは相場閑散期・低迷期に入るので買いポジションは取りにくいということだ。

日本株の5月

では、日本の株式相場はどうか。
TOPIXによる最近の5月の相場(直近15年間)は8勝7敗(騰落幅の中間値)だが、騰落の平均値は約1%上昇しており、リーマンショック後の8.5%下落を除外すると2%弱のプラスでこの間の5月相場はおおむね強い。

日本株の5月は、年初からの上昇基調がピークとなる月になる可能性が高そうだ。加えて、6~8月は平均成績でマイナスとなり、逆に9~11月はプラスだった。
最近の実績は、格言を裏付ける動きが多くなっているようだ。

前述したように、今後の不透明要素が多く、地政学リスクやトランプ政権の政策などにより相場の急変動の可能性を考慮する必要はあるが、大きな波乱もなく5月に入っても上昇基調が続く場合は、日本株の場合も今年は売り時となるのかも知れない。
19世紀初めに、「戦争論」で名高いクラウゼヴィッツは「状況の4分の3は霧の中」という名言を残した。戦いの趨勢や判断の多くが、不確実な情報に基づくあいまいなものという格言だ。
これは、複雑な要因の絡む現代の株式市場にも当てはまる格言として知られている。
5月が売り時かどうかは、多くが不確実な情報に基づく自己判断によるものだということには留意したい。

マーク・トウェインの教訓

最後にもう一つだけ相場格言をご紹介しよう。
アメリカの文豪マーク・トウェインは、相場の損を埋めるために、小説を書き続けたという逸話が残る、相場好きの(あまり成功しなかったらしい)投資家として有名だ。

彼の次の言葉は、筆者のような一般投資家にとって印象的な相場格言である。
「10月は投資するには、最も危険な月である。これ以外に危険な月として、7月、1月、9月、4月、11月、5月、3月、6月、12月、8月、2月がある」


※『Pudd’nhead Wilson(原題)』マーク・トウェイン著に記載
※「SELL IN MAY」を除く格言は『株式投資は相場格言に学べ』前野靖男著 毎日新聞社刊を参照

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。