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【長寿化による死亡保険値下げ】標準死亡率の引下げで保険商品への影響は?

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2018年4月、生命保険各社は長寿化に伴う保険商品の保険料の改定を行う予定だ。標準死亡率の減少による死亡保険料の値下げは11年ぶりとなる。
各保険会社は、保険料の見直しを迫られ、加入者を増やそうとする動きに出ることが予測される。死亡保険の今後の動向、保険商品への影響を確認する。

保険料を決める要素

保険料を決める要素には、予定死亡率予定利率予定事業費率の3つがある。
今回の死亡保険金の保険料の値下げは予定死亡率の低下が原因となっている。予定死亡率とは、1年間に死亡すると予想される被保険者の割合をいう。実際の死亡率と予定死亡率との差が死差益となり、保険会社の利益となる。

予定死亡率は、厚生労働省が発表する生命表により計算して決定する。生命表とは男女別・年齢別に死亡率が定められた表で、自分と同じ年齢の人が後何年生きるのかを予測して統計化した表だ。

〔厚生労働省が発表する生命表は簡易生命表という。簡易生命表は、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均余命を指標にしたものだ。この平均余命は年代で変化しており、2003年時点では、男性で78歳、女性で85歳となっている。〕

これに対して、公益社団法人日本アクチュアリー会は生保標準生命表を作成している。この生保標準生命表の死亡率をもとに生命保険の保険料は決められている。2018年4月に生保標準生命表が改定される予定だ。
平均寿命は2007年と比較し、男女とも1歳以上伸びており、各年齢で死亡率が減少している。この死亡率の低下により、死亡保険金の支払いが減ることになり、終身保険や定期保険などの死亡保険の保険料は下がる要因となる。

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予定利率とは、保険会社が加入者から預かった保険料を運用した結果、生じた利益の利回りを予想した数字である。予定利率は、国が定める標準利率をもとに生命保険各社が決定している。

標準利率とは、将来の保険金を支払うための充当金である責任準備金の積み立ての際に、適用が義務付けとなっている利率のことだ。生命保険各社はこの標準利率を上回る利率を予定利率としている。
標準利率は時期により見直しがされており、年を経過するごとに低下の現象となっている。具体的には、契約年月日が1996年4月2日~1999年4月1日までが2.75%、1999年4月2日~2001年4月1日までが2%、2001年4月2日~2013年4月1日までが1.5%、2013年4月2日以降が1%となっている。

標準利率が高くなると予定利率が高くなる。予定利率が高くなれば、保険料は安くなり、逆に低ければ低いほど保険料は高くなり加入者に還元される保険金や解約返戻金は高くなる。
よって、標準利率が高い時期に契約した保険は継続していくべきだ。特に標準利率が高い時期の1996年4月2日~1999年4月1日までの2.75%の時期に加入した保険は継続するべきだ。
なお、自分が加入している保険の予定利率は保険会社から送付されてくる契約内容のお知らせか、保険会社に問い合わせれば確認できる。予定利率を目安に今後の保険の見直しの指標とするべきだ。

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予定事業費率とは、保険会社が運営するためにかかる事業経費を見込んだ率のことを指す。事業経費とは、保険会社の営業社員・代理店への報酬・診査手数料などの保険事業に関する費用だ。よって、人件費が発生する代理店型の保険や自社で大量の営業員を雇っている生命保険会社の保険料は総じて高額となる。

一方で、ネット系列の生保は保険料が安く、代理店を介さずに自社のネットからのダイレクト販売のため、保険料が安くなり事業経費を抑制している点を節約している。保険契約者の保険料削減にプラスの効果をもたらしている。
予定事業費率が高ければ高いほど保険料は高くなり、逆に低ければ低いほど保険料は安くなるので、最近では予定事業費率を抑えているネット系列の生保に人気が集まっているのが現状だ。

死亡保険の役割と必要性

日本の公的年金制度には国民年金や厚生年金があり、大黒柱が亡くなった場合には遺族に対して遺族年金が支給される。また、勤務している会社から死亡退職金が支給される場合もある。
これらのお金でも今まで通りの生活を送ることが困難な場合、補填資金として死亡保険の加入がある。死亡保険は遺族のための担保としての役割を持っている。

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例えば、大黒柱が亡くなった場合に遺族年金のみの収入の場合は生活が破たんするリスクがある。収入の減少を補てんするには、遺された奥さんが賢明に仕事をしていくしかない。奥さんが仮に専業主婦で働いた経験がないような場合はかなり苦しいといえる。

仮に40代前半で大黒柱が亡くなった場合に、子供を抱えて生活をしていくとなると、一般的に4,000万円ほど資金が不足するといわれている。年収200万円で20年以上働かないと補填で金額だ。よって、大黒柱の万が一を考えた場合、死亡保険金は必要であるといえる。

ただし、死亡保険はすべての人が加入する必要はない。特に高額な死亡保障は扶養家族や幼い子供がいる場合である。
子供の教育費は、こども保険(学資保険)等に加入して用意しておく必要がある。そして子供に死亡保険をかける必要もない。よって、ライフスタイルに合わせて死亡保険の加入をするべきかどうか検討するべきだ。

死亡保険金の保険料の値下げ

標準死亡率の引下げが原因で死亡保険金の保険料が11年ぶりに値下げとなる。
医療の技術の進歩による長寿化が進んだことで、標準死亡率が引下げになったことが要因だろう。

死亡保険以外では、定期保険が大幅な値下げが見込まれ、最高で25%引き下げの見込となっている。ここまでの値下げをする理由として、定期保険は契約期間が決められており、例えば35歳で契約期間10年の定期保険に加入した場合、35歳の死亡保険率が低いため10年間は保険料を安くできるためだ。

今回の死亡保険金の保険料の値下げは5%程度の値下げで、標準死亡率の引下げが大きい30代から40代が大きな値下げが見込まれる予定だ。
保険会社や商品により保険設計は異なるので、保険改定の際に自分が加入している保険の商品の保険料について確認する必要があるだろう。

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死亡保険金以外の保険商品への影響

長寿化により高齢者が増えてきている。死亡保険金の保険料は値下がりするが、医療保険は逆に値上がりが予測される。なぜなら、高齢者ほど病気になる確率が上がり、保険会社側としては入院給付金や手術給付金の支給する可能性が増大するためだ。想定の話ではあるが、医療保険も死亡保険とのバランスで商品設計がされていくため、今後の動きは各保険会社の動向を見る必要がある。

死亡保険の加入状況と見直し

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出典:jili.or.jp


死亡保険へ加入しているのは、約8割となっている。年齢別では男性と女性ともに、40代~50代の加入率が高くなっている。
40代~50代は働き盛りで、子供も独立していない年齢が多いため、死亡保障の必要性を感じる年齢であるということがいえる。
また男性と女性を比較した場合、男性の加入率のほうが若干高いが、最近では女性の加入率も増加傾向にある。働く女性(共働き)が増えたことや晩婚化によることが要因といえる。

今回の死亡保険の保険料の値下がりで、死亡保険への加入を検討する人が増えることが見込まれる。しかし、保険料の安さだけで加入するのは問題であるといえる。現在のライフスタイルによって、死亡保険に加入する必要があるかどうかをよく検討して加入するかどうかを決めるべきだろう。

加入を検討する側は、保険会社の営業に惑わされることなく、死亡保険への加入が必要な状況(扶養である妻や幼い子供がいる)であるかどうかを見極めるべきだ。
一方で、医療保険は値上りが予測され、高齢で加入する場合は保険料の負担が増える可能性があるだろう。

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170119115649j:plain 藤崎 徹(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所勤務を経て、上場企業にて内部統制コンサルティング業務に携わる。現在は資格学校にて日商簿記試験対策・経理実務講座・税法実務講座と、FP継続研修講座にて財務分析や決算書セミナーを担当。
<保有資格> AFP、CFP科目(タックス)、日商簿記1級、税理士会計科目