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生体スキャンで医療革命?第7世代超高周波レーザーの可能性

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出典:santec.com

光を使った医療検査といえば、眼底検査などでの走査光源利用に限られ、それ以外の用途は技術的な壁があって実用化されていなかった。
こうした状況の中、ジャスダック銘柄のSANTEC株式会社(6777)が発表した第7世代高周波長可変レーザーは、広帯域の高速波長による走査光源としての利用が理論的に可能で今後生体内部の詳細な三次元画像検査等への利用が期待されている。
SANTEC社の新技術発表で分かった科学技術開発の未来を探る。

超高周波長可変レーザーとは

レーザーダイオードとも呼ばれる半導体レーザーは、エネルギー密度が高く、高速のパルス発光が出来る。さらに従来型の固体レーザー等では困難だった、多種類の波長発信が可能な新開発レーザーだ。
この半導体レーザーの中でも電流制御により高周波のパルス光を高い効率で生成する高波長可変レーザーは、高出力かつ低い雑音レベルの広帯域可変光出力が可能で、精度の高い検物体内部査や医療分野への応用が始まっている。

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出典:TSL-770 | santec


SANTEC社は、電子部品、光通信機器製造からスタートし、1987年に世界で初めて「外部共振器型波長可変光源」を製品化し、以降数次にわたる性能改善や開発を進め、最近第7世代となる高性能・高速波長可変レーザーを開発した。
第7世代高周波長可変レーザーは、共振器と制御回路の新設計で従来比2倍の高速性と1.5倍の広帯域スキャンが可能であり、スペクトル線幅とノイズ特性の改良により生体内部などの画像生成が可能となる画期的な医療用レーザーへの応用が視野に入っていると報道された。

広帯域波長走査光源を用いる生体の光波センシング

生体・物体内部の物性(物質の示す物理的特性)変化や機能が、見えるように対応する(可視化)超広帯域の高速波長スキャンが可能な高出力パルスレーザーが開発されれば、生体組織や物質内部を三次元画像等で直接見ることができる。

やや専門的な話であるが、光超音波による生体組織内部(血管等)の可視化には、赤外領域を広くカバーする非線形波長変換(強度の光通過の際に起きる非連続的な波長変化)が可能な広帯域レーザーの開発が必要で、高速かつ高耐久で波長可変制御技術が実用化に向けて重要だ。

「波長走査光源による断層イメージング手法」として、既に眼底検査用機器が実用化されている。
レーザー光が生体組織に対し透過性が高いことを利用した、波長走査型OCT(光コヒーレンストモグラフィ)用光源で、人体透過性の高い波長を使った製品による循環器分野での臨床実験が始まっている。

www.systems-eng.co.jp


撮像原理として、レントゲンよりはMRI(核磁気共鳴画像法)検査に近いが、光を使うことにより放射線や高磁気等による生体への副作用がなく、完成すれば画像の鮮明度も格段に高くなると期待される新しい技術だ。
実用化には、生体などの観測対象に最適化させた可視化(対象観測に必要な光吸収波長が出来る)超広帯域波長可変レーザーを、医療システム搭載可能サイズに小型化することが必要だ。

さらに高解像度・リアルタイム検出機能も期待されており、この第7世代高周波長可変レーザーの開発によって臨床段階に一歩近づいたようだ。
これまでにも光超音波顕微鏡はあったが、リアルタイム三次元化の例は無く、医療現場での要請として、三次元画像化・広画角かつ高解像度の可視化システムとリアルタイムでの画像投影が求められている。

これらの実現により、医療診断の高速化と信頼性向上が期待されている。
なお、医療分野以外にも高分子部品内部の検査等の応用分野も検討されており、高周波長可変レーザーの可能性が多くの分野で期待されている。

MEMS -マイクロ エレクトロ メカニカル デバイス-

最近はIOTの進展などを受け、半導体の需給が非常にひっ迫している。半導体生産現場は非常に好況だ。

ところで、産業のマメと呼ばれるMEMSをご存じだろうか?
MEMS(Micro Electrical-Mechanical Systems)は、直訳では「微小電気機械システム」、すなわち電動微小機械で、体感ゲームコントローラ用の加速度センサやスマホの小型マイク等に利用されている。

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出典:MEMS | santec


MEMS作成はLSI生産用の半導体製造技術を応用し、ミクロン精度で様々な機械部品の小型化が可能なため、産業のコメと称されている半導体に対し産業のマメと言われている。
半導体同様、大量部品の同時生産が可能で部品価格も安価なため、最近生産と利用が急拡大中だ。
このMEMS利用の光通信システムにも、可変光減衰器という電気配線における可変抵抗器のような部品が使われているが、ここにもSANTECの技術が光通信網に広く使用されている。

日本企業の潜在能力

第7世代高周波長可変レーザー開発成功のニュース発表では、SANTEC社の株価が一時ストップ高まで買われたが、本稿はSANTEC社の業績を推奨することが目的ではない。

日本経済の新な発展を生むイノベーションは、国内企業の独創的で高度な「ものつくり」技術が、実現のカギになるのではないかと考えている。
こうした考えから企業の大小を問わず、現実に日々あらゆる分野でイノベーションを期待させる新技術が誕生している一例として紹介したものだ。

従来技術では不可能だった未来的な製品が、技術的なブレイクスルーの達成で可能になる実例は他にも多いだろう。
レイクスルーの積み重ねが、いつの日か産業構造全体に及ぶ大きな変化・イノベーションの起爆剤になるのかも知れない。

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。