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自撮りはドローンの時代へ進む?

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自撮り棒の大ヒットからおよそ3年。時代は進化し続けている。
ドローン規制が進む中でも様々な利用は拡大中だ。
行動的な若者の間で利用が増えているドローン自撮りと利用のニーズから、質・量ともにスケールアップする個人間のドローン利用が開く新時代を予想する。

そもそもドローンとは?

ドローンには色々な定義が考えられているが、本稿においては「自律性を持つ小型飛行機」と捉え、個人利用可能な市販タイプのドローンを中心に考える。

ドローンという名称は当初軍用無人機として使われることが多かったが、21世紀に入ってホビーユースのラジコンヘリに使われるようになり、2010年に仏社製の4回転翼タイプARドローンの登場で「民生用高性能小型無人ヘリ」というイメージが定着した。

最近では、操縦に熟練を要しない自立性のドローンが一般に流通し、普及が加速している。
産業用無人ヘリコプターの分野では、農水省の委託で農薬散布用ヘリが1983年にヤマハ(7951)により実用化されたが、現在は農薬以外にも種まき、測量等へ用途が広がり、コストと操縦性の利点からドローン利用が現在も拡大中だ。
ドローン本体の小型軽量化に加え、操作や位置測定にスマートフォンの利用が可能になったことが普及拡大の理由だろう。

ドローンの性能

ホビー用として登場した当時、ドローンの大半は基本的な姿勢制御システムと操縦者によるコントロールだった。
最近の高性能ドローンは高画質カメラと位置制御用センサー付きジャイロ、GPS、高度計等を装備し、視覚センサーや混信の少ない2.4Gヘルツ周波数を採用し自律飛行機能も大幅に向上している。
将来的には、電波法の規制外である衛星通信の利用が通信の高速化・大容量化も含め進むと見られている。

ドローン利用の現状

産業用ドローンでは農薬散布利用が7割以上という現状だが、5年後に市場規模は10倍の400億円超となり、倉庫・警備や災害・測量利用が過半を占めると予想されている。(シードプランニング調査資料抜粋)

そして今後は物流を始め、医療や商業プレゼンも含め多方面に利用が広がり、個人利用も飛躍的に伸びるだろう。FAA米連邦航空局発表数値では、2020年までに米国の産業用で5倍近く伸び、ホビーユースを加えても3倍近い伸びと見ている。日本では10倍近い伸びとの観測もある。

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(ドローンの用途一覧:日経BPクリーンテック研究所)
出典:nikkei.com

ドローンに適用される法規制

法規制はドローン普及に合わせて進んでいる。
小型、無人ではあるが、ドローンは「飛行機」であり各国で様々なルールが定められ、国際規則も有人機と無人機の関係を含めた新たな基準のガイドラインが作成され2019年に発効予定だ。

日本では従来の航空法にはドローンのような小型機の定義が無く、結果として飛行機の規制以下の高度では該当する規定がなかった。このため、2015年12月に、無人航空機の定義などを含む改正航空法が施行され、以下のような規定が定められた。

  1. 無人航空機の定義「航空の用に供する事が出来る飛行機、回転翼航空機、滑空機」
  2. 無人航空機から除外されるもの 「重量200グラム未満のもの」
  3. (原則)飛行禁止空域 「A:150メートル以上、B:空港周辺、C:人口密集地区の上空」


この他、日中飛行の禁止、目視範囲飛行の規定、危険物輸送禁止、物件投下禁止、イベント会場等での利用禁止、使用周波数帯等の規定がある。
※法規制を意識した200g未満のドローンも多く発売されている。

dronebiz.net

ドローンの個人利用

ドローンの産業利用は、今後の拡大が期待される一方、個人利用の普及は、ドローン性能の底上げにもつながりそうだ。
ドローンの個人利用は、趣味的な利用すなわち遊びという見方が一般的だが、主にアウトドア志向の若年層で、空撮での自撮り利用が増えている。
最近、本体重量199gという、ぎりぎり200g未満の小型・高機能ドローン(インテリジェントドローンと称している)が、5万円程度の価格で発売された。

自動追尾機能と顔認識機能等があり、静止画の画質に比べ動画のクオリィティはやや低いが基本的な自撮りには十分な性能を持っている。
小型機ながら「バードビュー」と呼ばれるドローンが撮影者から離れて斜行上昇し、次第に景色全体を俯瞰する情景が撮影可能だ。

SNSでの動画利用

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ドローン飛行では、FPV飛行というドローンの視点からの撮影可能な機種が人気だ。特に、空撮動画ではこの機能が迫力ある映像には欠かせない。
最近はSNSに動画をアップする割合が増加中で、YouTubeのストリーム視聴やFacebookのlive、ツイッター等での動画利用も目立つ。

さらに若い女性層を中心に利用者が急拡大しているのが写真アプリのinstagramだ。
現在、動画アップ可能時間が15秒から60秒へ移行中で、広告掲載も可能になったことから今後急速に利用が広がると見られている。
お洒落と冠されることの多いドローンによるinstagram投稿画像は、自撮り棒には不可能なアングルの静止画や動画にしか出来ない空撮効果があり、これが認知されると先進ユーザーに選好される可能性が高いと思われる。
動画投稿の場合は、静止画以上に投稿者のファッションセンスや構成力が問われるからだ。

ドローン自撮りの課題

しかし、まだドローン自撮りには多くの課題が残る。
自撮りドローン性能の限界もあるため、自撮りドローン普及説には若い世代にも賛否両論がある。

普及拡大の鍵は、自律性や映像(画像)性能向上等の高性能化だろう。言葉を変えれば、「自撮り棒以上にSNS映えする絵が撮れるか」がポイントになりそうだ。
現在の市販ドローンはGPS利用であっても位置決定精度が低く、撮影者の顔をSNS投稿画像で認識できる近距離画像では、動きをスムーズに自動追尾することはまだ難しい。

また人が往来する場所での撮影には、プライバシー保護や接触(落下)危険に加え、騒音発生の問題もある。当面、周りに人の少ない開けた場所での利用に限られそうだ。
肝心の画質についても普及が拡大すれば、飛躍的な画質の向上が期待出来そうだ。

av.watch.impress.co.jp

ドローン進化の可能性

関係者が期待する急成長が実現すれば、多くの課題がクリアできそうだ。
自動追尾については、DJI社が開発者向けキットを開発した「ガイダンス」は、超音波センサーとステレオカメラを利用した、センチ単位で位置制御可能な高度自動追尾システム機能があり、普及が期待される。

www.dji.com
japanese.engadget.com


さらに将来的にディープラーニング機能を搭載したコンパクトで高性能なAIドローンが開発されれば、シーンごとに適正な自動追尾撮影も可能になるかも知れない。
こうした高機能化ドローンが低コストで個人用ドローンとして普及すれば、ドローン全体に画質や追尾性能が向上するだろう。
また、こうした成果が産業用ドローンにもフィードバックし、様々な産業利用の進化も進むことになりそうだ。

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。