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「日本銀行のお仕事?」日銀業務とインフレ目標について

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経済等のニュースで日銀の文字を見かけることは多いが、政策金利・国債業務・日銀券発行以外の他にどのような仕事をしているのか正確に答えられる人は意外に少ない。
広範囲な日銀業務の中から主な業務紹介と、日本経済との関連、日銀に期待される役割について注目度の高い2%インフレ目標と量的緩和の今後の推移も含めて考えてみたい。

日銀の主要業務

日本の中央銀行である日本銀行(8301)は、日本銀行法により1882年に設立された法人で、ジャスダックに上場している。
日本銀行券の発行・流通に加え、日銀ネットシステム等による決済システム運営や金融機関の預金不足(=破綻)を未然に防ぐこと、国債の順調な発行(価格の維持)そして政策金利の決定と物価。金融システムの安定も日銀の大きな役割だ。

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出典:jiji.com


物価・金融システム安定のための金融政策は、政策委員会の多数決により意思決定(イギリスも同様な多数決方式だが、全員一致方式や総裁決定の中央銀行も多い)を行っている。
すなわち、日本銀行の最高意思決定機関は「政策委員会」であり、その中でも金融政策運営を審議決定する会合こそが、よく報道される「金融政策決定会合」である。

日銀業務の中で最近の注目事項は、経営指針に「対外コミュニケーションの充実」と「ネットワーク構築強化」が採用されたことだ。この背景には、政策金利決定後の市場混乱が米国と比べて大きいことについての反省と、2016年実施の「マイナス金利政策」の認知度に比べると、以前からの重要目標であった「2%インフレ目標」についての理解が一般に少ないことがあるだろう。
原点に戻って考えると、日銀の役割で最も重大なのは、“お金の価値”の安定だった。
これには、日銀券以外のお金、すなわち預金の信用保持も含まれる。
こうしたことを踏まえ、極端なインフレや長期のデフレが“お金の価値”の望ましくない変動に繋がるため、インフレ目標を日銀の金融政策に掲げている訳だ。

vdata.nikkei.com


日銀業務については、この他にも国の資金管理や国際業務(他の中央銀行との連絡や為替管理、為替介入等多岐にわたっている)などを行い、国内支店・事務所の他海外にもニューヨークやロンドン等に七つの事務所を設置している。

質的・量的緩和は日銀の業務か?

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出典:hbol.jp


よく知られているように、黒田バズーカで一気に拡大した現在の「質的・量的緩和」業務について日銀が公式に発表する考えは、2013年末以来、一貫して「日本経済は回復基調」と述べているが「デフレマインドが転換していない」ために、物価上昇(2%)マインドの醸成が、日銀政策(量的緩和)の目的だという。

そしてマイナス金利政策を経て、2016年9月からは「長短金利操作付き」という文言を加えて現在に至っている。
日銀の公式HPにおいても明らかにされている通り、これはあくまでも物価安定(2%インフレ)を目的とした金融政策だ。その意味において、現在の「長短金利操作付き質的・量的緩和」政策は日銀の本来業務であることになる。(為替操作や株高は目的ではない)

hbol.jp

日銀の国債発行事務と買いオペ(量的緩和実施策の一つ)

一方、日銀法等で国債業務も日銀の主要業務であり、そこには「国債発行は、主として金融機関や個人(一般投資家)向けの市中消化を原則とする」と規定されている。(日本銀行法第34条など)

現在の日銀の国債購入は買いオペという、民間が引き受けた発行済み国債の買い入れだ。
これは、その目的を金利の安定(10年物国債の金利0%への誘導目標と長短金利差の維持)においた国債直接引き受けとは別の日銀業務だ。
国債の直接引き受けは、日銀が国債を直接引き受けないという原則(財政規律保持のため)により、国会の議決がない限り行えない。
この二つのやり方の違いをどう見るかは専門家でも意見が分かれるところだが、少なくとも現在の買いオペ方法を続けた場合、市中で消化された国債の買い入れ可能金額には、銀行や事業会社、個人の保有国債もあるので国債の総発行額以下のレベルに買い入れ上限額があることは(大規模な財政出動、赤字国債増発等がない限り)間違いない。

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出典:news.mynavi.jp


2014年10月からの年間80兆円規模の国債買い入れにより、2017年1月発表の国債発行残高894兆円余に対し、日銀の保有額は358兆円余となり、保有比率は40%を越えている。
現状の年80兆円という買い入れ規模は、今後数年以内に限界に到達することは多くの識者が指摘しており、他の方法(すでに実施されているETF買い入れや、地方債等への買い入れ拡大)などにも問題点や規模的な限界があるため、「デフレマインドの転換」という日銀金融政策がいつまで続けられるかは疑問だ。
日銀の買いオペの頻度、買い入れ国債の対象年限等の変動やその後の実施時期の事前告知など、2017年に入って微妙にこれまでと違うスタンスが日銀の金融政策に見られることが今後の大きな変動につながるか注目だ。

今後の日銀が行う金融政策

勿論、日銀はインフレ目標の達成だけが“お金の価値”の安定施策と考えているわけではない。長期間にわたって続いているゼロ金利政策だが、本来は政策金利の決定も日銀の主要業務の一つで、日銀が「金利操作できる状況」を早期に達成することも期待されている。

冒頭に述べたように、金融政策は年に8回実施(臨時開催あり)される金融政策決定会合の多数決で決定されるため、今後国際情勢の変化など金融にかかわる大きな変化や経済指標の変動によって金融政策が変わる可能性は当然あるだろう。
今後の為替相場や景気動向次第だが、その時期は意外に早いのかも知れない。

日本銀行の仕事の重要性

長期間のデフレ継続は、今では日本だけに起こっている事態だ。
市中に資金が溢れ円安傾向になっても物価が上昇せず、インフレにならない原因を探ることは別の機会としたいが、日銀が「2%インフレ目標」を金融政策に掲げた以上、実施方法や達成時期、インフレ目標自体などに様々な議論はあるとしても、こうした「日銀のお仕事」の効果が経済全般に波及することも含めて、2017年の金融政策決定会合からは目が離せない。

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。