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Money Clip

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相続財産の賢い生前贈与対策と上手な活用方法

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相続税を節税する方法として、有効なのが生前贈与だ。
贈与を行った場合には贈与税がかかるが、相続財産の金額により、贈与税のほうが得になる場合がある。また贈与には一定の要件を満たした場合に、贈与税が非課税となるケースもある。具体的に生前贈与によって、節税する方法を確認する。

贈与税の課税と非課税枠

生前贈与を行った場合、贈与された側に贈与税が課せられる。

(例) 親が未成年の子供に対して、1,000万円の財産を相続または贈与した場合
相続税
1,000万円×10%=100万円
贈与税
1,000万円×40%=400万円

税金に300万もの差があるが、相続は親の死後1回であるのに対して、贈与は親が生前の間であれば何回でも行うことができる。
そして、贈与税には年間で基礎控除110万円という非課税枠がある。年間110万円の範囲であれば贈与税がかからないのだ。

よって、この生前贈与を毎年継続して行うことで節税効果が生まれる。毎年行う贈与は暦年贈与といわれる。

(例) 相続財産が5,000万円、相続人が1人の場合
相続税の基礎控除
3,000万円+600万円=3,600万円
相続税の課税価格
5,000万円-3,600万円=1,400万円
相続税
1,400万円×15%-50万円=160万円

 

これに対して、以下の通り継続して贈与した場合、相続財産を減らすことができる。

(例) 10年間継続して贈与し、合計金額が1,100万円となった場合
相続財産
5,000万円-1,100万円=3,900万円
相続税の課税価格
3,900万円-基礎控除3,600万円=300万円
相続税
300万円×10%=30万円

結果的に10年間継続した結果の1,100万円の贈与で、相続税は160万円-30万円=130万円節税できることになる。

www.asahi.com

贈与を行う場合の注意点

贈与を行う場合に注意しなければならないのが、定期贈与だ。定期贈与とは、初めから、定期的に複数年で贈与する契約のことだ。
毎年100万円を10年間贈与すると定期贈与とみなされて、贈与税が課せられる。ただし、分割による定期贈与ではなく、結果的に1,000万円の贈与を行った場合は、贈与税がゼロとなる。

定期贈与とみなされないためには、贈与の際に毎回贈与契約書を作成して金額や時期を変動させて贈与を行い、口座振込にして、証拠を残しておくことが必要だ。
また、相続開始前の3年前からは相続開始までにされた贈与は、贈与税ではなくて相続税の課税対象となる。よって、生前贈与は早めに行う必要がある。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、贈与時に贈与税を支払い、相続時に精算する制度だ。贈与税が払いすぎであれば、過払い分が返還され、納付不足分があれば、追加で納付する。
この制度は、60歳以上の親から20歳以上への子か孫への贈与に適用できる制度だ。
贈与税は、贈与された側が毎年、申告を行う暦年課税か、この相続時精算課税制度を利用するか、有利なほうを選択することができる。

この相続時精算課税制度を利用すると、贈与者1人につき、2,500万円までは、贈与税が非課税となり、2,500万を超えた部分については、贈与税は一律20%となる。
よって、贈与税の課税負担を軽くすることができる。
ただし、いったん、相続時精算課税制度を利用した場合、暦年課税への変更を行うことができない。
また、贈与した時の財産を戻して精算する時は相続税を計算することになる。結果的には、税金の支払いを繰り延べていることになるので注意が必要だ。

居住用不動産の配偶者控除

自分の居住用不動産を配偶者に残したい場、生前に贈与を行うことで、居住用不動産の配偶者控除を受けることができる。この居住用不動産の配偶者控除は最大で2,000万円であり、基礎控除110万円と併用できる。
また、通常、相続開始前の3年前からは相続開始までにされた贈与は、贈与税ではなくて相続税の課税対象となるが、この対象からも外れる。よって、居住用不動産が2,110万円以下であれば、結果的に贈与税の相続税も非課税となる。
ただし、以下の要件を満たす必要がある。

(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと

(2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること

(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日迄に、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

参考:贈与税|国税庁

教育資金の一括贈与

現在、子や孫が学校で学習中の場合、贈与した金額の1,500万円までは非課税となる制度がある。この制度を利用するには、金融機関に受贈者側の名義を用意しておく必要がある。その口座に贈与者がお金を振りこみ、教育目的で受贈者側がお金を引き出すことになる。
ただし、受贈者が未成年の場合、親が口座を管理する必要がある。また、30歳時点で資金が残った場合、贈与税がかかるので注意が必要だ。

また、もともと高校や大学の入学金や授業料は贈与税がかからない。したがって、この制度は必ずしも通常の学校関連の資金に関し、この制度を利用しなくても問題ない。
学校以外の塾や習いごとにお金がかかり、1,500万円までトータルで資金を要するのであれば、相続財産を減らす効果はあるので検討してもよいだろう。

www.zeiri4.com

相続の問題は誰もが直面する問題だ。生前の間に家族で財産の問題について、話し合い、生前贈与を行うのであれば早めに対策を検討して、場合によっては税理士やFPなどの専門家に相談するべきだ。

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170119115649j:plain 藤崎 徹(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所勤務を経て、上場企業にて内部統制コンサルティング業務に携わる。現在は資格学校にて日商簿記試験対策・経理実務講座・税法実務講座と、FP継続研修講座にて財務分析や決算書セミナーを担当。
<保有資格> AFP、CFP科目(タックス)、日商簿記1級、税理士会計科目