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Money Clip

お金に関するニュースをクリップ!

電子書籍とVRが創造する未来のメディア

ビジネス メディア
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出典:kakaku.com

電子書籍は、まだまだ普及途上だ。音楽や映像コンテンツに比べ、電子化の普及はさほど進んでいない。

そこで、電子書籍の普及を妨げる要因と紙媒体の格差を問題視し、よりリアルさを実現させるべく電子書籍とVRが創り出す未来のメディアを考えてみる。

電子書籍の現状

日本国内の電子書籍市場は、増加傾向にあって直近の推定では約2000億円になった。一方、従来型出版物市場(紙書籍)は減少傾向が続いているが、未だ1兆5千億円程度と、電子書籍を大きく上回り、電子書籍の増加速度は緩やかだ。

電子書籍は、当初はアマゾンのKINDLEなど専用端末でしか利用できなかったが、最近はスマホやタブレットなどの汎用端末での利用が増え、直近の調査では汎用端末利用が6割を越える。
電子書籍コンテンツの利用経験者も、増加傾向にある。(約25%)

anond.hatelabo.jp

電子書籍のメリット・デメリット(紙書籍との対比)

電子書籍の未来を考えるため、メリット・デメリットを整理してみた。

メリット

■ 持ち運びやすさ。読みやすさ(明りなしで読める、拡大縮小機能)
■ 価格が安く、購入場所、時間が自由
■ 辞書機能、検索機能があり、読書状況等の情報も豊富
■ 動画や音声等のコンテンツとの連動(組込)が可能

デメリット

■ ぱらぱらめくる動作が出来ず、章を読み飛ばす等の操作も面倒
■ 本屋や書棚で本を眺める楽しみがない
■ 貸し借りが困難(中古売買も出来ない)

電子書籍の意外な普及阻害要因

こうして整理してみると、電子書籍の利点は明確だ。
特に価格面での優位は、紙書籍とのコスト差が大きく、今後も更に拡大する可能性が大きい。米国での最近のベストセラーも、ネットにアップした作品から電子書籍化、紙書籍化という流れが一般的になりつつある。

一方、デメリット(紙書籍の利点)の方は、意外に情緒的だ。筆者の周辺の読書家、学者研究者等のいわゆるヘビーユーザーの声には、「リアルな書籍の味わいは手放せない」という意見が多い。その中でも、いわゆる “積ん読” の利点を強調する意見を紹介しよう。

「次に何を読むか、棚の本や、テーブルに置いた本、カバンにある読みかけ本、会社のデスクにしまい込んだ本・・・。これらが、表紙や、読みかけのしおり位置と一緒に、時あるごとに呼び掛けて来る。これが、読書のきっかけになる」
「すらりと並んだ本の背表紙を眺めているうちに、別の読みたい本が浮かんでくる」
「仕事が一段落して、まとめ買いして、放置していた本の山を整理すると、新たな視点から読むべき本が浮かんでくる」

愛書家、蔵書家、巷の読書家の声から見えてくるのは、書籍はデータだけの存在ではない、本の形が存在する事に意味があると言う事。
どうやら、紙書籍の魅力は、本棚に並ぶ様子や、インテリアの中にはまり込んだ表紙絵達の力なのかも知れない。音楽シーンでは、ライブコンサートの人気が高まっている事とも通じる、本物の香りへの志向が、紙書籍優位の一因だ。

blog.tinect.jp

電子書籍はどこまで紙書籍に近づけるか

ところが、VR(ヴァーチャルリアリティ)技術の急速な高度化とコストダウンにより、こうした電子書籍の普及ネック要因を部分的に解消出来る可能性が見えてきた。

紙の感触、香りを電子書籍でリアルに再現するのは、まだ難しい。しかし、紙書籍の存在感であれば、VRの世界で実現できるかも知れない。
また、音楽ゲーム市場では、近い将来、ゲーム機用「ギターヒーロー」などのソフトがVR対応に進化すると思われる。こうしたコンセプト・技術も電子書籍に応用され、ゲーム感覚の電子書籍なども発売される可能性がある。

VR型電子書籍の出来ること

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出典:vr-jpn.jp

ここでは、新たなメディアミックスガジェットとして、電子書籍とVRの融合が生む未来メディアの一例として、VR電子書籍の可能性を提示したい。
それは、“なんでもネット化” VR技術だ。個人が取り入れた電子書籍データが、VRを駆動するAIに情報提供され、様々な提案をする、VR端末のIOT化とも言える。

今や、スマートフォンの位置情報等の各種情報が、将来的にはAIによって統合され、個人を取り巻くウェブ世界が、広がっていくように、電子書籍ウェブリンクして、日常生活の一部として存在を主張するようになるだろう。
メガネ型ディスプレイVRなら、こうしたコンセプトでの常時参照が、既に技術駅には利用可能だ。日常の中にさりげなく、書籍だけでなくミュージックデータや、映画DVD等が現実の光景にオーバーラップされて呼びかけてくる訳だ。
映画原作本なら、表紙イラストはもちろん、挿絵すべてが、ユーザーの希望するタイミングで表示され、動画として再生される。原作者のイメージ通りにBGMや画像の再生も可能だ。電車で本を読む時は、周囲に癒しの光景を展開し、降車駅で自動停止し、本を閉じる事も出来る。

そして、電子書籍ライブラリとの連動が、未購入の書籍やAV利用について、生活シーンごとに様々な提案がAIから囁かれるだろう。
更に、今は端末を開かない限り個人の蔵書リストは認識できないが、将来的には購入履歴と同期して、SNSでのコンテンツ共有へ進化(無料・広告付き書籍コンテンツ)する事により、余暇や余裕資金など、個々人の状況に適した読書提案も可能になるだろう。

VRとコンテンツ利用の新たな可能性

最近は近未来のVR利用分野として、医療分野への応用、ゲームやドライブ・旅行・ファッション・建築等のデザイン・警備・交通案内などが挙げられている。

しかし、VR利用の未来は、音楽・映像、そして書籍等のコンテンツのAIによる提示、利用から、VRとコンテンツの相互補完的な高度化に向かうのではないだろうか。もはや、音楽や書籍という分野に収まり切れない新ジャンルのメディアが登場する未来は、意外に近いのかも知れない。

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。