読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Money Clip

お金に関するニュースをクリップ!

プレミアムフライデー(Premium Friday)の経済影響

ビジネス ニュース 経済
f:id:Money_Clip:20170116172253j:plain
出典:premium-friday.go.jp

平成29年2月24日金曜日、第一回『プレミアムフライデー』が実施予定となった。
以降も、原則月末金曜日の実施予定である。

“月末金曜日は、ちょっと豊かに” というキャッチフレーズでスタートするこの取り組みに、どんな経済的影響があるのだろうか?

プレミアムフライデーに消費増の効果はない?

経済産業省の主導するプレミアムフライデー(Premium Friday)は、毎月末金曜日の(原則)午後3時に退社し、ショッピングや外食、旅行などを楽しむ“豊かな金曜日”の享受を提唱している。
報道によれば、今年度補正予算にも既に予算計上され、一部企業への働きかけも始まっている。この試みについては、ある程度の話題になっているが、好意的ではない、否定的な意見が多い。

「月に一度、15時に早帰りできるからと言って、外食やショッピングなんか出来ない。早く帰って休みたい」
「月末実施というのが、官僚らしい非現実的発想。毎月末の金曜3時に社員が帰ったら倒産だ!」
「対応出来るのは一部の大企業だけ、格差が更に広がるだけ」
「使うお金なんか無い。早帰りしても消費なんかしない」
「月末金曜早帰りの結果は、他の日に更に過重な勤務が回るだけ」

www.huffingtonpost.jp
shijinblog.hatenablog.com

いずれも庶民感覚では納得できる声で、経産省の目論見通りの消費喚起には結びつかない気もする。
祝日増加でも、トータルの年間旅行支出増にはつながらなかった過去の経験も考え合わせると、月一回の時短程度では、大きな経済効果が発生する可能性は現時点では低い。
更に、経済のマイナス面として、時短参加企業の総労働生産時間減少による影響は(該当勤務時間について減給等の措置がない限り)ある程度免れない。

では、プラス側面はどうすれば期待できるのだろうか?
プレミアムフライデーで期待できる日本国内の経済効果について、消費拡大の可能性を、具体的な消費増加方策の提言も合わせて考えてみたい。

プレミアムフライデーが期待する消費増

現時点では、プレミアムフライデーの認知度は高いとは言えず、一部実施企業の動向だけでは、消費を増加させることは厳しいだろう。経産省においても、世耕大臣は記者会見でその経済効果を1200億円程度と述べているが、政府試算は存在しないことを認めており、経済効果の波及に自信は無い様だ。

www.meti.go.jp

しかし、経済効果の見込まれる業界・業種はいくつかある。
一例として、外食産業、百貨店などの小売業、旅行業、映画(鑑賞、コンテンツ購入等)・芸術(ライブコンサート、イベント等)、学習(市民講座、生涯学習、フィットネス・ジム利用等)、スポーツ(観戦、実施)等々があり、また、余暇を利用する副業やアルバイト、NPO活動等の活発化もあるかもしれない。
こうした経済効果は、本当に実現可能だろうか?

予想外だった『日本版ブラックフライデー』の消費

f:id:Money_Clip:20170116175326j:plain
出典:advertimes.com

昨年、イオングループでは、米国のブラックフライデー時期、月末の三日間にイオンモール等で、限定品や普段は値引きしない特価品を主体とした大規模な安売りセール『日本版ブラックフライデー』を打ち出した。
結果は、目玉商品の思い切った値引きも奏功し、予想以上の来店者と売り上げ増となった。

www.nikkei.com

このことから、消費マインド減衰下の日本国内においても、特別の動因さえあれば消費者は反応する事が分かる。年々加熱する国内ハロウィン消費の動向からも見て取れる事だ。
ただ、やみくもにセールを打っても即消費増にはならない。日本版ブラックフライデーの成功には、いくつかの要因がある。

従来型予測では読めない消費者動向

40年を越える歴史がある米国のブラックフライデーは、通常絶対に値下げをしない高級ブランド商品の値下げ等が評判を呼び、次第にお祭り騒ぎに近いイベント性を強めている。
日本版ブラックフライデーは、米国景気上昇期間である、ここ数年のセール成功の延長上にうまく乗った。
また、昨年11月のトランプ相場の上昇初動で前向きとなったメディア報道も、成功を後押しした。

更に、SNS等での拡散もセール認知に寄与した。「君の名は」や「ピコ太郎」人気が示すように、SNSでの拡散が爆発的な認知度向上につながる傾向は強まるばかりだ。
バレンタイン商戦から、ホワイトデー、恵方巻、ハロウィン等の事象から日本版ブラックフライデーの盛り上がりを俯瞰すると、インパクトのあるネーミング、消費者の認知上昇、加えて適切な消費コンテンツ(仮装、恵方等という新しい概念、価値など)の提供があれば消費者は予想以上の反応を見せることが見て取れる。

プレミアムフライデーによる経済効果の実現方策

こうした新たな盛り上がりが、プレミアムフライデーの経済効果として実現出来るだろうか。
実現には、政府、経済界の普及活動だけではなく、メディアも巻き込んだ、新しい仕掛け、新味のあるイベント等が必要だ。
実施企業に制度普及を無理矢理進めるよりも、新しい価値を生むイベントとして、盛り上げ、認知度を上げるのだ。
その結果、増加した消費の内容を分析し、永続的成長要素を根気よく定着させていけば、いずれ大きな経済効果を生む筈だ。(注意したいのは、最近の企業の商品開発姿勢が、短期の成果にとらわれすぎであること。未知の/新たなトレンドやイノベーションには、ある程度の時日が必要だ)

例えば、外食産業では、プレミアムフライデーだけでしか味わえない限定数販売のスペシャルディナーや、当日生産・輸送高級食材による時限(18時迄)格安メニューなどを、拡散しやすいネーミングとともに、前例の無い付加価値を付けた文字通りの「プレミアムメニュー」を提供する。(ショッピング関連でも同様趣旨の「スペシャル」「プレミアム」商品が望まれる)
旅行業においても、言われているような、2.5泊旅行や特別企画旅行より、近郊の0.5泊旅行(金曜夕食+温泉、朝食なしの格安企画など)など、従来の宿泊業の常識にないサービス提供であれば、これまでにない新たな需要を生む可能性がある。関連領域として、大規模テーマパークの15時から19時迄の入場者限定特別企画なども効果があるだろう。

プレミアムフライデーの消費と経済効果

他の業種・業態も含め、プレミアムフライデーによる、プラスの経済効果を期待するのであれば、単純にオフの時間増加分だけ消費が増えるという安易な予測を捨て、新たな需要を喚起する努力、新たな時間帯でニューコンセプトを創造するなどの姿勢が必要だ。

例えば、ブラックフライデーのような特別感のあるキーワードとのリンク、ハロウィンにおける「仮装」のようなキラーコンテンツに等の付加により、プレミアムフライデー消費」を一種のブランディング戦略として推進するのだ。
こうした取り組みが成功すれば、消費増加、そして、プレミアムフライデー関連の副次的経済効果、GDPの増加にまでつながる大きな経済的影響が期待できるのだろう。 

 

コラム執筆者

f:id:Money_Clip:20170111181053j:plainK. 和気
損害保険会社等で担当者約5年、決済責任者を含め通算10年以上にわたり数百億円に及ぶ単独資金決済運用(最終決定)を担当。現在は非常勤顧問として勤務の傍ら、マーケットや経済情報をタイムリーに取り入れ、株式・為替・債券等にて資産運用を行い、日々実益を出している。